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33話 話が違う

それではどうぞ。

メリッサに連れられて奥までやってくると、そこには地面に描かれた魔法陣のようなものの上に陣取って、人の腕よりも太い樹の枝の先端に樹でできた竜の頭がくっつけられたものが置かれていた。

気のせいか、あの顎、動いてない?


メリッサもおっさんも緊張した面持ちでゆっくりと近づいていく。


え?ちょっとさっきまでと雰囲気が全然違うんですけど。

おい、メリッサ!俺に何をさせる気なんだよ。


魔法陣の前まで近づいたメリッサはこちらに少し顔を向ける。


「どうぞ、リトさん。お望みの樹竜です。」


いやいや、そう言われても、あれどうすんの。


俺はメリッサの方を見た。

彼女は俺の視線に気づくと、深く頷いた。

次に俺はバーケルンを見る。

彼も俺の視線に気づくと、腕を前に組んだまま、深く頷いた。


……いやいや、おまえら、うん、じゃねえよ。


ほら見て、あの顎、なんかかくかく動いているよね。

生命力があるとは言っていたけど、あれ、まだ生きてるんじゃないのか?

それに地面の魔法陣って踏んでもいいのか?


そもそもあれをどうやって持って帰ろうか。

手では……なんとか持てるか。


疑問しかないよな。

よし、一個ずつ聞いていくか。


「あー、メリッサ、まず一つ聞きたいんだけど。」


「はい、何でしょうか。」


「えーっと、あの地面に書いてある魔術は踏んでも大丈夫なのか?」


彼女は今気づいたというように地面を見てはっとした後、こちらを見てにこりと笑みを浮かべた。


「大丈夫ですよ。」


「え?」


「大丈夫ですよ。」


「……そうですか。」


大丈夫らしい。信用できないが。


「魔術陣、あの地面に書いてあるあれは言わば檻のようなものです。中から外には出れませんが外から中には入れます。」


「……それって、俺が入った後はどうやって外に出ればいいんだ?」


「リトさんが中に入ってあの竜を抑え込んだら魔術陣を解きますので。」


……それって俺は外に逃げられないよね。それに今竜って言ったよね、あれ。

あれって竜を倒した後の素材じゃなかったの?


「あれ竜なの?死んでるんじゃなかったの?」


俺はあえて聞いてみた。

メリッサは全く動じずに。


「ええ、一度倒していますよ。ただ、樹竜のやっかいなところは力の源である竜玉を消し切らないと何度でも復活するんです。樹が成長するようなものですからもちろん時間はすごくかかるんですけどね。」


「そうか。……で、あれって噛まないのか?」


「いえ、噛みますよ。」


「……じゃあ、どうするんだよ!」


「いえ、リトさんなら木彫り職人の力でなんとかできるかなーと思って。ほら、木彫り職人にとって木って素材じゃないですか。だから相性がいいかと思いまして。」


メリッサ、そんなわけないだろ。

……とはいえ、さてどうするか。

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