32話 倉庫へ
それではどうぞ。
誤字報告ありがとうございます。
改めておっさんに自己紹介をする。
「えっと、リトと言います。木彫り職人をしています。」
「ああ、俺はバーケルン。格闘家だ。あと、メリッサと同様、副ギルド長をしている。」
うん、その筋肉そうですよね。やっぱり。
……ん? 副ギルド長? この筋肉が?
俺は驚く。
「ん?まあ、驚くのも仕方がない。副ギルド長は三人置かれるんだ。前衛、後衛、そして事務方からそれぞれ一人ずつな。」
ほう。なるほど。
後衛から選ばれたのがメリッサ、前衛から選ばれたのがバーケルンか。
俺は一つ頷いた。
「で、何を相談していたんだ?」
「まあ、隠すことでもないですしね。」
メリッサはそう言うと、リアの話、そして素材の話を説明した。
「ほう、そうか。まあ決闘はいいことだ。はっきり決めれるしな。」
やはり脳筋か。
いや、はっきり決めれるし、後腐れはないかもしれないけどね、確かに。
「それにしても、あのリア嬢ちゃんがねえ。もっと冷静かと思っていたが。」
「うふふ、ちょっと見栄を張りたい相手でも近くにいたんじゃないですか。」
そう言いながら意味ありげにこちらを見るメリッサ。
いや何言ってんの?
「そう言わけで、ちょっと倉庫まで行こうと思っていたところなんですよ。」
「ああ、あの奥にある樹の塊か。……あの竜の頭、たしか、近づいたら喰らいついてくるんじゃなかったか。」
俺はメリッサの方に勢いよく顔を向ける。
ちょっと、初耳なんだけど、それ!
そんな俺の視線を、彼女は気にした風もなく。
「うふふ、そうでしたか。」
そうのたまわった。
◇
三人連れ立って倉庫に向かう。
「バーケルン、あなたも来るんですか?」
メリッサは言外に帰れといったふうにおっさんに話しかける。
「ああ?いいじゃねえか。それにこいつが危なくなったら助けないといけないだろ。前途ある若者をお前の実験で死なすわけにはいかないしなあ。」
おお、おっさんいい人だ。
「ふん、まあいいです。」
悪びれないメリッサお前は許さない!
っていうか、知らずに近づいてぱっくりいかれてたらどうするつもりだったんだ?
一度部屋から出て更に来た道と反対側に向かい奥にあるドアから出ると、そこはギルドの建物の裏側へと繋がっていた。
「ここが倉庫ですよ。」
そこにある大きな建屋を指す。
ほうほう。これがそうか。
「さあ、中に入りましょう。あ、そうそう、周りの物には触らないでくださいね。中には触るだけで呪われるものもありますから。」
え!?




