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30話 素材候補

それではどうぞ。

誤字報告ありがとうございます。

「それでどうしましたか?リトさん。」


改めてそう言うと、メリッサは手を止めてこちらを見た。

俺は机の前にいるメリッサをじっと見る。


……メリッサ、ちゃんと仕事してるんだな。

なんか真面目に仕事をしているメリッサって違和感があるんだよな。


「?」


俺の視線を受けて、不思議そうな顔をするメリッサ。


「あ、いやちゃんと働いているんだなと思って。」


彼女は少し笑うと。


「それはもちろんですよ。なにせ副ギルド長をさせられてましてね。ほんとうは、机の上でする書類仕事よりフィールドワークの方が好きなんですけどね。ユウヤさんさっさと外に出かけてくれればいいんですけどね。」


それを聞くと俺は苦笑いするしかない。


まあ、でもこの人、賢者で、しかも鑑定の魔眼持ちなんだよな。

鑑定の魔眼って国から重宝されるっていうし。


……でも性格は黒そうだよな。

地位は高いけど性格は悪いってやつか。


あ!?


メリッサがこちらの方をジト目で見ていた。


俺は心の中で謝る。


「はあ、まあいいです。それで?」


メリッサは溜息を一つつくと先を促してきた。


俺はリアの置かれている状況と杖を作るための素材を探していることを説明した。

それを聞いたメリッサは顎に手を当てて考え込む。


「決闘、それに杖の素材ですか……。」


「ああ、木が良いんだけど何かいい素材はないかな?」


「うーん、木ですか……。」


「俺にはよくわからないんだけど、できれば魔力がこもっているものがいいんだ。」


「あっ!」


彼女は少し悩んだ後にはっとした顔をする。


えーっと何かあったのか?


「リトさん、樹竜ってご存じですか?」


メリッサはそんなことを聞いてきたのだった。


「樹竜?」


彼女は一つ頷くと。


「そうです。竜種の一つなんですけれど、樹の体を持つ竜です。ただ、火竜や氷竜といった他の竜種と違って樹ですから生命力が高く、倒した後の体の一部分だけでもまだ生きているために扱うことがひどく難しいんです。」


うーん、なるほど。たしかに樹って挿し木にしても生えてくるしね。


「樹竜の素材の使い方は削って粉にするしかないのですが、これを素材にして杖をつくることができれば……。」


「とんでもない杖になるかもしれないってことか。」


俺はメリッサの後に繋げる。


「はい、なにせ、竜の素材を使った杖はそれこそ特級品ですからね。」


うーん、たしかに魅力的だ。

なんか、メリッサに嵌められているような気がしなくもないけど。


あっ!?


俺は気が付いたことを聞いてみる。


「でも、リアって火が得意なんだろ。だったら木の杖って相性がよくなかったりするのか?」


「いえいえ、樹竜の素材であれば問題はないでしょう。なにせ、あれは炎を吐きますから。」


忌々しそうに語るメリッサ。


あ、そうなんだ。

って見たことがあるような口ぶりだな。


「? ああ、私が若い時に倒して手に入れた素材なんですよ。使い道がなくて倉庫の奥に仕舞いっ放しになってるんです。」


ああ、そうなんだ。

うん、なんだかんだ言ってメリッサも大概強いよね。


とりあえずそう思うことにした。

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