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28話 ギルド

それではどうぞ。

俺は朝早くに宿を出るとギルドに向かう。


メリッサいるかな?

まあ、いなかったらいつだったらいるかを聞けばいいか。


ギルドの建物の前に着くと、もうお馴染みになったドアを開ける。


カランコロン。


中に入り受付を見ると、既に数人の受付嬢が待機していて、依頼の受付だろうか、冒険者の相手をしている人もいた。

その中の一人がぐでって受付台に倒れ伏している。


ああ、あれだ。


俺はまっすぐに、だらしなく倒れ伏している受付嬢のもとに向かう。


「フーリエ、おはよう。」


俺が声をかけると、彼女は少し顔を上げた。


「ほえ? だれですか?」


眠たそうな顔を上げた後、俺の顔を確認すると、何度か目をぱちぱちとさせる。


「……おほん、おはようございますぅ。リトさん、御用ですかぁ?」


彼女はさっきまでの態度がなかったかのように話し始めた。


「ああ、ちょっと相談したいことがあって。」


彼女は訝し気にこちらを見ると。


「相談……ですかぁ?リトさん一人では依頼は任せられませんよぉ?」


「いやいや、依頼じゃないよ。そんな危ないことはしないって。」


「冒険者としてその言葉もどうかと思いますが……。まあ、いいですよぉ。それでぇ?」


「えっと、メリッサに相談したいことがあって、……取り次いで欲しいんだ。ここってメリッサが働いているんだろ?」


「はあ、メリッサ様ですかぁ?たしかにいますけどぉ、」


フーリエは再度、訝しげな顔をした。

彼女の隣にいた受付嬢も俺の話が聞こえたのかぎょっとした顔をする。


「どうしても欲しい素材があって、メリッサなら知っていると思うんだ。もし難しいなら、いつならいいかだけでも聞いてみてもらえないか?」


「はあ……。」


彼女は何か悩んでいるようなしぐさを見せた。

俺は駄目押しでもう一度お願いした。


「な、頼むよ。」


それを聞いていたフーリエの横にいた受付嬢が口を出してきた。


「あなた、突然やってきて副ギルド長に会わせろって、それは無理でしょ。ほら、帰ってください。」


俺は彼女の話を聞き流して、ちらっとフーリエの方を見る。


「……分かりましたぁ。ちょっと聞いてきますぅ。」


「ちょっとフーリエ!」


フーリエはその受付嬢の方を見ると。


「いえ、聞いてくるだけです。それにリトさんとメリッサ様は知らない仲ではないみたいですしぃ。」


そう言って、ギルドの奥に走っていった。


「もう!」


残された受付嬢は嘆息すると、俺を睨みつけていた。


俺はごめん、とフーリエの方に手を合わせて謝った。

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