27話 決意
少し短いですが、切りが良いので。
それではどうぞ。
森から王都に戻ってきた俺は、リアと別れて宿に戻ると部屋のベッドの上で一人、考えていた。
一週間後にリアは、ヒルデガルドと魔術で戦うんだよな。
あの話しっぷりだと、杖の性能は相手の方が圧倒的に上のようだった。
なんとなく、リアは勝てる自信がないんだろうと思う。
もし、杖の性能に影響されずに勝てるんだったら、そんなに杖にこだわる必要もないだろうしな。
それに、もしリアが負けたらどうなるんだろう。
やっぱり、勇者パーティは首か……。
まあ、俺はパーティメンバーでもないから、そんなに気にすることでもないのかもしれないが……。
うーん、俺はどうするべきか……。
俺はひどく悩んでいた。
ましてや、精神操作系の魔眼持ちがどんな扱いを受けているかを聞いた後だと、とくに下手なことはしない方がいい。
やっぱり、関わらないで放置、がいいんだろうな。
思えば、村を出てから魔眼を使いすぎのような気がする。
村にいたときは使う機会なんてほとんどなかったし、使っても人の目に触れる機会なんてなかった。
使えばそれだけばれる機会が増えるのは必然だ。
よし! 放置で行こう。
俺は心のなかのもやもやを振り切るように、ベッドに転がる。
ベッドの上で目を閉じて、ふと頭の中で、リアが抜けてヒルデガルドがパーティメンバーになったことを想像してみた。
リアの代わりにヒルデガルド……。ミーナやアミスがうまくやれるのか?
パーティは連携が大切だ。もし連携が悪くなると、彼女たちの命に係わってくるかもしれない。
うーん、もやもやする。
ああ、もう!
がばっと、その場で起き上がる。
「だめだな、やっぱり連携にひびを入れるわけにはいかないだろう。ミーナとアミスの命に係わる。うん、大丈夫、うまくやればばれないはずだ。」
俺は自分にそう言い聞かせるように呟く。
「……杖、作るか。とびっきりのを。」
今から作ればぎりぎり決闘の日には間に合うだろう。
そうと決まれば素材だ。
せっかく作るんだったら素材ももっとこだわるべきだろう。
メリッサに相談するか。
俺は明日の朝一番にメリッサに会いに冒険者ギルドに向かうことを決めたのだった。
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