24話 リアの話(上)
三部に分かれます。
それではどうぞ。
俺たちは目的を達成すると、一度休憩するために、少し開けた場所まで移動し、地面に腰を下ろした。
「それでは、少し休んでから帰りましょうか。」
「そうだな。」
俺も少し疲れていたところだ。リアに同意した。
まあ、リアについて歩いていただけだが……。
心地よい風を感じながら、ぼーっと空を見ていると、リアが遠慮がちに話しかけていた。
「……少し聞いてもらってもいいですか。」
「え?何をだ?」
「ギルドで会ったヒルデガルドさんが言っていた、貧乏魔術師っていう話です。」
「ああ、別に構わないけど。」
「ありがとうございます。魔術師ギルドだと愚痴を言う相手もいなくて……。」
リアは前を向いたまま苦笑する。
「ミーナは?あいつだったら聞いてくれるだろ。年も近いし。」
リアは俺を見ると、横に首を振る。
「いえいえ、ミーナさんはリトさんの前にいる時は全然そんな風に見えないですけど、普段はそんな話ができるような雰囲気を出してないですよ。もっと、ピリッとした空気が漂っていて話しかけづらいんですから。」
手を胸の前で握り、強く主張した。
「リトさんの前にいるときのミーナさんを見て、最初はほんと驚きましたよ。え? これがあの聖女様?って。」
うーん、ピリッとした空気を漂わせたミーナ……。想像がつかない。
今はミーナのことではなくて、リアの話だったか。
俺は視線でリアの話の続きを促した。
「ああ、そうでした。私の話です。ヒルデガルドさんが言うように私、他の魔術師に比べるとお金がないんです。あっ、生活していく分には全然困らない額のお金は持っていますよ。魔術師は魔術を高めていくための研究もしないといけませんから。」
ああ、なるほど。つまり、研究費用が足りないってことか。
「ええ、魔術師ギルドに所属する魔術師のほとんどは貴族出身です、それも比較的古くから代々続く。なので、家から研究費や代々続く魔道具を持っていたりするんですよ。それに比べて私にはそんな後ろ盾はありませんし。」
「リアって貴族出身じゃないのか?」
彼女はぶんぶんと音が出るぐらいに首を横に振る。
「そんなわけないじゃないですか。私は元々、王都にある孤児院出身なんです。なぜか魔力が生まれつき高かったみたいで、たまたま孤児院のシスターと古い知り合いだった引退した宮廷魔術師のお師匠様に拾われて魔術師になったんです。まあ、孤児院を出た後の働き口も探さないと駄目でしたしね。」
なるほどな。って、けっこう重たい話じゃないか、これ。
でも、あの金髪縦ロール娘と比べるとリアって貴族って感じではないよな、たしかに。




