19話 戦闘
ひさびさの戦闘回。とはいえ主人公は……。
それではどうぞ。
あの後、二人で並んで座ったまま、ぼーっと休憩していた。
「こうやって森で二人、座っているのも久しぶりね。」
「ああ、そうだな。」
俺は村でのことを懐かしく思い出す。
まあそう思うだけでも来たかいがあったよな。
突然、向かいの少し背の高い草むらからがさがさと音がした。
ミーナは俺より早く気づいていたようで、既に立ち上がってこん棒を手にしていた。
草むらから緑色をした子供ぐらいの背丈の生き物が4匹飛び出してきた。
あれは……
「「ゴブリン!」」
俺とミーナの声が重なる。
俺も立ち上がり応戦しようと構えようとしてミーナから声がかかる。
「リトはそのままそこにいて!」
俺に声をかけると同時にミーナは前方にいるゴブリンの方へ駆け出していた。
ゴブリン達が身構えるよりも先にミーナがこん棒を横手に構えて、勢いのままに一匹のゴブリンに対して振りぬいた。
フオンッ。
「ごぎゃっ!?」
不幸にも他のやつらより少し手前にいたゴブリンはミーナのこん棒に殴られ、うめき声ととも横手に飛んでいく。
彼女は振りぬいた勢いのままで止まることなく、くるりとその場で回転し、もう一匹のゴブリンの顎へと下から上へと振り上げたこん棒で叩き飛ばす。
ごぎっ。
「ぐぎょ。」
何かが砕ける音とともに声を上げたゴブリンは俺の背の高さ前、宙に浮く。
一瞬の出来事にうろたえるゴブリンたち。
「でやあ!」
既にミーナはこん棒を上へと振りかぶり、もう一匹のゴブリンに狙いを定め、そして振りおろすところだった。
ドンッ!!
そいつの頭へと振り降ろされたこん棒はその勢いのまま地面をたたき割った。
一瞬にして一匹となり形勢が逆転したゴブリンは後ろにじりじりと後ずさろうとする。
ミーナは迷うことなくそいつに駆け寄りこん棒を真横に振りぬく。
ブオンッ!
ゴン。
「ぐびゃ。」
残ったゴブリンもこん棒で殴られるとまるで重さのないように水平に吹き飛ばされ木にぶつかると、そのまま地面に崩れ落ちた。
「ふう、終わったわね。」
辺り一面、撲殺されたゴブリン……。
俺は唖然としながら辺りを見回した。
ミーナは服の裾で軽く顔の汗を拭く。
「はあ、すっきりしたわ。あ、リトはけがはないわよね。」
そう言いながらこちらを見る。
いやいやあるわけないじゃん。
だってゴブリン、可哀そうなぐらいなにもできずに倒されたからね……。
「ああ、だいじょうぶだ。」
「そう、良かったわ。」
こちらを見てにっこりと笑顔を見せる。
……ミーナ恐るべし。それに俺はとんでもない武器をミーナに渡してしまったのかもしれない。
いや、ミーナがケガをすることを思えば、渡しておいて後悔はないな。うん。
まあミーナをできるだけ怒らせないようにしよう。
俺はそう固く誓った。




