18話 採取
それではどうぞ。
薬草を採り終えて二人で並んで座る。
採取の途中に薬草は採りすぎてはいけないとミーナから教えてもらった。
「いい?リト、薬草は採りすぎてはだめよ。それにまだ若い芽は採らずにおいておくようにするの。」
「それも聖女の教育で教えてもらったの?」
彼女は頷くと自慢げに胸を張る。
「ええ、そうよ。」
なるほど、たしかに前世の記憶でも乱獲はよくないことだったと思う。
そう思い、俺は深く頷く。
ミーナはそんな俺を見ると不思議そうに首をかしげる。
あれ?……いまのやりとりでそんな不思議なことあったか?
彼女は聞こうか聞くまいか少し迷うようなしぐさを見せた後、こちらを向くと口を開く。
「……リトって時々すごく理解が早いのよね。さっきのだって私が先生から教えられたときには理由を言われるまで分からなかったもの。ねえ、どうして?」
ミーナが俺を問い詰めるようにジーっと見てくる。
うっ、この目の時は隠し事がないかを探るときの目だ。
村での記憶が思い出される。
長年の付き合いからか、あの目で見られたときは隠し事があるかないか、大概ばれたものだ。
ミーナの察する通りに隠し事がある俺は少し気まずくなりながらも彼女から目をそらさないように見つめ返す。
うーん、さてどうしたものか。
ミーナにだったら前世の記憶があることを話してもいいように思う。
なんとなく、「あ、そうなの」と軽く流しそうな気もするしな。
それに他の人に話さないように言ってもそのとおりにしてくれるだろう。
前世があの勇者と同じ世界だということがばれると、いろいろ厄介なことに巻き込まれそうな気もするし。
まあ、いざとなったらこのスキルで……っていやいやそれはやめておこう。
きっと歯止めが効かなくなっていくだろう。
ミーナは少しの間こちらを見てきた後、目をそらすとあっけらかんと言った。
「ま、いいわ。」
「へ?」
いいの?
「うーん、なんか隠し事している気もするけど、悪いことじゃないようだし。そのうち教えてくれるでしょ、きっと。」
あはは。
思わず笑ってしまう。
「なによ、突然笑ったりして。」
ミーナはちょっとむすっとした顔でこちらを睨む。
俺は笑いながら彼女にちゃんと返事をする。
「いや、ミーナにはそのうち教えるから。」
「うん。」
ミーナは気にした風もなく笑顔で一つ頷いた。
いや、この幼馴染には勝てない気がした……。




