16話 依頼
それではどうぞ。
誤字報告ありがとうございます。
「そうねぇ……。日数のかかるものは避けたいし。だからといって街中の依頼はちょっとねえ。」
「そうですねぇ。討伐系の依頼も避けた方がいいでしょうねぇ。」
うーん、とミーナとフーリエの二人が頭を悩ましている。
俺が口を挟む余地がないな。まあ、下手に口を挟まない方がいいのかもしれない。
そう思い、二人が話し終えるのをじっと待つ。
「やっぱり、採取系かしら。何か日帰りでできそうな採取系の依頼はない?」
それを聞いたフーリエは手元の書類をごそごそとかき分ける。
目的のものを探し当てたのか一枚の紙を取り上げた。
「ああ、ありましたぁ。それでは、これはどうでしょうかぁ。」
そう言ってミーナに紙を渡した。
彼女は紙を手に取って見ながら、ふむふむと頷く。
何の依頼だろうと、フーリエを見ると、俺の視線に気づいたのか説明をしてくれた。
「王都の東門から出た先にある森での薬草の採取の依頼ですよ、リトさん。」
よく聞く薬草の採取依頼か。
「ちょうど教会関係なんですよぉ。王都の西の端にある教会からの依頼で薬草が足りなくなっているから採ってきてほしいそうですぅ。ただ、報酬金額もそれほど高くないので残ってしまっていて……。」
なるほど。教会っていうとミーナの所属しているところってことか。
そう思いミーナを見る。
「えっと、西の端の教会っていうと、ちょっと古くてすぐ横に孤児院のあるところかしら。」
「そうです、聖女様。」
おお、すごいな、ミーナ。
場所を聞いただけでどんなところか分かるなんて。
俺はミーナの成長?に感心する。
「分かったわ。リト、これにしましょう。……って何よその目は。」
こっちを見たミーナは俺の視線に気づいて、少しむすっとする。
……まさか、ミーナまで俺の心を読むようになったのか!?
もちろん、常習犯はメリッサである。
ミーナはあからさまにため息をついた様子を見せる。
「はぁ、なによその驚いた顔は。リトが何を考えていたかぐらい分かるわよ。私が教会の場所を聞いただけでどんなところか知っていたから驚いたんでしょ、どうせ。」
俺は再度、驚愕の顔を浮かべた。
「はいはい、私もいちおう聖女ですから。まったくもう。」
そう言って再度ため息をついた。
「うふふ。」
俺とミーナは同時にフーリエを見る。
彼女は手を口に当てて笑っていた。
俺たちの視線に気づくと、はっとして謝る。
「あ、すいません。いえ、お二人があまりにも仲が良さそうでしたので。それでは、その依頼にされますかぁ?」
「ああ、いいよこれで。」
俺はミーナとフーリエを見ると頷いた。
「それではぁ、よろしくお願いしますぅ。採取依頼とはいえ魔物が出ないとも限りませんので気を付けてくださいねぇ。」
「ああ。」「はい。」
俺とミーナは返事をすると、ギルドの建物から出ていた。
あ、薬草ってどんなのだ? いやここで戻るのはちょっと恥ずかしい……。
うん、ミーナが知っているだろう。聖女だし、きっと。
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