15話 再び
それではどうぞ。
誤字報告ありがとうございます。
冒険者ギルドへ向かう道をミーナと二人で歩く。
ミーナはここに来るまでずっと楽しそうにしていた。
「ミーナ、楽しそうだね。」
「それはそうよ。」
何を当たり前なことをといった顔でこちらを見るミーナ。
「どうして?」
「だって、王都をリトとこうやって歩けるなんて思ってなかったんだもの。」
いや、そこまで直接的に言われるとちょっと恥ずかしい。
まあでも……。
「たしかにそうだな。」
そう、まさか王都を一緒に歩くなんてミーナが連れていかれたときには思いもしなかったことだ。
「リト、ギルドに着いたわよ。入りましょ。」
ミーナに言われて着いた建物をよく見る。
もう着いたのか、あっと言う間だったな。
二人でギルドの建物に入る。
ギルド中は昨日と同じく冒険者が何組かのグループを作り、依頼を選んだり雑談に興じていた。
近くの冒険者からの声が耳に入る。
「おいおい、なんか貧弱な奴がきたぜ。」
「ほんとうだな。俺がちょっと遊んできて、」
「あ、あいつ。おい!やめとけ、あいつ焼尽の知り合いだぞ。」
「おい、あの隣の女って、聖女じゃないのか?」
どうやら今日は絡まれることはなさそうだ。
リアの効果おそるべしだな。
……ミーナの影響もありそうだけど。
そう思いながら、二人受付へ向かう。
お!? 今日もフーリエがいるみたいだ。
彼女は昨日のようにだらけていた。
近づいてきた俺たちを見ると、おっくうそうに起き上がる。
「リトさん、おはようございますぅ。」
「おはよう、フーリエ。」
「宿はどうでしたか?」
「良かったよ。ありがとう。」
まだ泊ったのは一日だけだけど、ほんとうにいい宿だと思う。
朝食はついているし、ベッドはしっかりしている。
「そうですか、それはよかったですぅ。……えっと、それで今日はどんな御用で?」
彼女は話しかけながらちらちらと俺の隣を見る。
「えっと、今日は聖女様もいっしょなんですねぇ。」
うーん、さすがに聖女ってわかるのか。
ミーナはというと、俺とフーリエのやりとりを興味深そうに見ていた。
「ああ、そうなんだ。」
俺はそう返す。
フーリエはそこで思い出したかのように。
「ああ、そういえばリア様がリトさんは聖女様と同じ村出身だとおっしゃってましたねぇ。」
そこでミーナが俺とフーリエの会話に入ってきた。
「そうなの。私とリトは幼馴染なのよ。」
自慢するように胸を張るミーナ。
……いや自慢するようなことじゃないだろ、それ。
フーリエもそれについての反応はあまりない。
ミーナは俺たちの雰囲気を気にした様子もなく。
「それで今日はリトと依頼を受けたいと思って来たのだけれど。依頼って選んでもらっていい?」
フーリエはミーナの話を聞いた後、俺の様子をうかがう。
俺は頷き返す。
「依頼ですかぁ……。リトさんは戦闘職ではないのですけれどぉ。……まあ、大丈夫ですねぇ。あの聖女様がいっしょですしねぇ。」
そういって彼女は横目でミーナの腰にぶら下がっているこん棒を見る。
……あのこん棒ってそんなに有名なの?
「それではぁ、どんな依頼がいいですかぁ?」
フーリエは俺とミーナを交互に見た。




