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11話 身内

それではどうぞ。

「それでは、名前とジョブをこの用紙に書いてください。……えっと文字は書けますか? 代筆でもいいですよ。」


この世界の識字率は高くない。かく言う俺も文字を書けたりはしないのだ。

……前世の文字は書けるけれど、書くと目立つことになるだろう。


「私が書くわ。」


さっと、紙に記載していくリア。

いくつか記載内容について確認された後。


「よし、できたわ。 これでお願い。ああ、身分証明者は……、まあ私でいいわよね。」


そう言って、リアはフーリエに紙を渡す。



身分証明者?



耳慣れない言葉に、フーリエが教えてくれる。



「あ、はい。新しく冒険者登録をする際にその人の身分を証明する人のことですよ。さすがに犯罪者を登録するわけにはいきませんからねぇ。」



はあ。まあ、たしかに。



「身分証明者が用意できない人は、どこかのパーティに入って信頼を得てから証明者になってもらうんですよ。」



リアが補足で教えてくれる。



なるほどな。


それで今回はリアが証明者になってくれたってわけか。



「でもよかったのか?」



リアが証明者になってくれるのはありがたいけれど、迷惑ではなかっただろうか。


それに、おそらく身分を証明すること以外に、初めての冒険者の教育も兼ねているのでは?

そう思って聞いてみる。



「え? ああ、問題ないですよ。リトの素性ははっきりしてますし。」



それに、っとこちらに顔を向けて笑顔を見せて続けた。



「もし何か依頼を受けることになったとしてもリトの性格だったら一人で受けることはないでしょ? だれかいっしょにいれて行くでしょうし。」



……たしかに。

ひとりで行くことはぜったいないな。


ん?



ちらちらと俺とリアの顔を見るフーリエ。



どうしたんだ?



「えっと、一つ聞いてもいいですかぁ?」


「なに?」



リアが訝しげに聞く。



「あ、あのー、リア様とリトさんはどういった関係なんですかぁ? 勇者パーティのメンバーってわけでもないですよね、さすがに。」



彼女の言いたいことも分かる。 さすがに木彫り職人で勇者パーティの一員はないだろう。



フーリエは少し顔を赤くすると食いつき気味に


「も、も、もしかして……、男女の仲ですか?」



「「へ?」」



俺とリアの声が重なった。



い、いやいやないない。



リアはというと、ポカーンと口を開けた顔をした後、勢いよく顔を横に振った。



「ち、違うわよ。 彼はうちのパーティメンバーの身内よ。」



リアは目を瞑って、何度も頷く素振りを見せる。



「身内……ですかぁ?」


「そう、うちの聖女様と、今度新しく入る剣聖と同じ村出身なんですよ、リトは。」


「へえー、そうだったんですかぁ。」



こちらをまじまじと見るフーリエ。

ほうほう、ふむふむとか呟く声が聞こえる。



なにか観察されているような気がするが……。

そんなに気になるようなところあったっけ?



彼女は最後に何度が頷くと。



「分かりましたぁ。それでは登録しちゃいますねぇ。」



フーリエは紙を持って奥へと入って行ったのだった。

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