3話 増える借り
ちょっと短いですが、よろしくお願いいたします。
また、誤字報告もありがとうございます。
俺がミーナの家に住み込みで働くか悩んでいると、前からローブをかぶった怪しげな人物が近づいてきた。
「……リト、調子はどうですか?」
その人物から急に声をかけられ驚く。
へ?
聞いたことのある女性の声と俺の名前を知っていることから正体に当たりをつける。
「……ああ、リア? もしかして。」
「そうです。」
ローブの中の顔を覗き込むと、勇者パーティの一人、魔導士のリアだった。
◇
「リア、どうしたんだ? もしかして何か買ってくれる?」
「へ? ああ、いえ。」
もう一つ売れるチャンスと思い、軽く聞いてみたらあっさりと断れた……。
若干落ち込んでいると、焦った様子で。
「ああ、すいません、ちょっと用が、 いえ、お願いがあって。」
お願い、何だろうか。
あ、そういえば俺、借りをまだ返していなかったな。
「なに? まあ、たしか借りをまだ返してなかったよね、俺にできることであれば大丈夫だよ。」
俺の返答を聞くと、リアはあからさまにホッとした様子を見せると。
「良かった。」
短くそう返し、この後の予定を聞いてきた。
「それではリト、お店はいつ頃終わりますか。それに夕飯はどうするか決まっているんですか?」
まあ、今日は何とか売れたし宿に泊まるお金も少し貯めれた。少しだけ早めだけれどもう閉めてもいいかな。
明日頑張ろう、そう思う。
「そうだな、もう閉めようかな。それに夕飯は特には決まってないよ。いつもは帰りがけに露店で買って食べたり、かな。」
それを聞いたリアは少し考えるふりを見せる。
そしてうれしいお誘いをしてくれた。
「そうですか、……それではいっしょにご飯を食べに行きましょう。その時にお願いの内容は詳しく話します。ああそうだ、夕飯のお代は私が持ちますよ。」
マジか! ぜひ行かせてもらおう。
「もう、そんなにうれしいんですか?」
そりゃ、おごりで夕飯が食べれるならうれしいよね。
最近は露店で串の日々だったし、久しぶりにお皿に乗ったご飯が食べたい……。
……あれ? そういえば、俺、借りを返す方じゃなかったっけ?
いや、おごりは借りじゃないよね。




