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28話 ようやく到着

いわゆる、後日談というか今回のオチ、というお話です。

ようやく2章は終わりです。

あの後、村人総出で片付けが行われて次の日の晩。


村の脅威が去ったということで、勇者一行への感謝と祝いの宴が催された。



みんなが思い思いに酒を飲んでいるようだ。


俺もみんなから少し離れた場所で一人酒を飲んでいた。



「兄さん、大丈夫?」



声のした方に顔を向けると、アミスとミーナが心配そうに立っていた。


「リト、あれは仕方ないの。どうしようもないわ。」



きっとあの子のことだろう。


「大丈夫だよ。」



「そう、あまり思いつめたらだめよ。……アミス、今は一人にしてあげましょう。」


そう言ってアミスを連れていくミーナ。

アミスはまだこちらが気になるのか、ちらちらと顔を向けながら連れられていった。



傍目から見ると思いつめているように見えただろう。


確かに少し疲れていたのは事実だ。


目の前で魔物とはいえ人の形をしたものが殺されるのは初めてだった。

ただ、死んだ人を見る経験はこの世界にいればよくあること。


それほどショックというわけではない。


疲れていたのは別のことだった。



はあ、やってしまった……。



俺は一人少し離れた場所、先日、あの戦いがあった場所に向かう。


とつぜん声がかかる。


「どうして?」


え?


「あなたが助けてくれたんでしょ? どうやったのかは分からなかったけれど。」



そう、あの時、ユウヤはだれもしゃがみ込んでいない場所を剣で凪いだ。


「驚いたわ。だって、あの勇者様、突然誰もいない場所に向かって剣を振るって、みんな満足したように帰っていったんだもの。まるで、幻惑でも見せられているように。」


そう、俺が疲れていたのはこのことだった。

関わらないでおこう、そう思っていたのについつい助けてしまった。


「ねえ、どうして助けてくれたの?」


俺も分からない。

勢いだったのかもしれない。

いくら平穏に暮らしたいとは言え、後悔はしたくはなかったのだろう。


「なんでだろうな、分からないや。」


そう答えた。


「あなた、名前は?」


「リト。」


「そう、リトはこの後、この国の王都に行くの?」


「ああ、そうだよ。」


「そう。そろそろ時間みたいね。ここにいると怖いお姉さんに襲われそうだからもう行くわね。それじゃあまた。」


「ああ。」


「あっ、私の名前。 私の名前はアンナっていうの、覚えておいてね。……それじゃ今度こそ。」


そして声は消える。

それ以降、俺に話しかける声はなかった。



後ろから足音がして振り返る。


「メリッサ、えと、いつから?」


笑みを浮かべるだけで教えてくれないメリッサ。


「えっと、さっきの聞いてました?」


「最後の方だけですけどね。声の聞こえるところまで近づいたら気づかれたみたいで。」


えっと……。


「ああ、大丈夫ですよ。まあ悪さはしていないようですしね。リトさんに貸しもできますし。うふふ。」


うっ。


「ああ、前にアミスさんを手助けした時の貸しもありましたね。それと合わせて何をしてもらいましょうか。王都に着いたら楽しみです、うふふ。」


はあ、高い貸しになりそうだ。




あの村を出てから数日が立った、遠目からでも石造りの壁、村では見かけない背の高い家々とその中央に大きな城が見える。


この世界に来て初めて見る街と言える景色だろう。


圧倒され思わずぼーっと眺めていると、



「リト、あれが王都よ!王都に着いたら、私の友達を紹介してあげるわね。」



横から覗き込むようにして俺の顔を見てきたミーナが話しかけてきた。


さあ、行こう。


さて、どんな出会いになるのやら。

ここまで読んでくださった皆様ありがとうございました。

吸血鬼の彼女はこの話で一時退場、かなり先に再登場となる、……はずです。また、これまでに立ったフラグは次章以降、回収していきます。


この投稿は少し前の予約投稿でして、投稿される頃にはおそらく次の章が書けて……いればいいな。


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