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26話 他よりも強いということ

少し長いですが切りが良いのでここまで。

念のために家々を一軒ずつ見て回る。


あらかた回って家の外に出たとき。


ん?


視界の端を銀色の影が横切ったような気がした。


その影の走った先に向かう。


あ、いた。


そこにはあの夜にあった銀色の髪の女の子が数体のグールに追いかけられていた。


え? なんでグールが。



周りを見て光の膜に覆われているのを確認する。

まだ結界の中だ。



あ!? 初めから入っていたのか?

どこかに隠れていた?



グールは女の子に追いつき倒すと、後ろから押さえつけた。


「きゃ!?」



と同時に。


パリン!



え? 何の音?


慌てて周りを見る。



「あ!?」


ない、光の膜がなくなっていた。


結界が壊された。



「きゃあ。」



声の方を見ると、その子の腕を片手で掴み上げる上等そうな服を着た若い金髪の男が立っていた。





村長の家の方から、ユウヤ、メリッサ、ミーナ、アミスが走ってきた。


「ミーナ、結界が。」


「大丈夫。村長の家にもう一つ結界を張っていたの。それに、リアとラキさんが残ったグールの対処をしているわ。」


向こうから大きな爆発音が聞こえる。


「リアね、あれ。あの子、殲滅戦の方が得意なのよね。」


……リアも結構すごいのね。


「どうもあれが親玉みたいだな。」


不敵そうに笑うユウヤ。

メリッサもその男から目を離さないようにしながら。


「そうですね。……あの格好、結界を壊した魔力の量から見て階級持ちかもしれませんね。」


よく見ると、メリッサ、ミーナは額に汗が出ていた。

あの男、もしかしてすごいやつ?



「階級持ち?」


俺はメリッサの方を見る。


「はい。魔物の中にも我々と同じように知恵を持つ者がいます。さらにそれらを統率するものたちがいます。それらを階級持ちと我々は呼んでいるのです。」


ミーナが続ける。


「私たち勇者パーティにはそういった存在を率先して討伐する使命が与えられているのよ。」


「ええ。ただ、階級持ちの中には国を形成し、我々では簡単に討伐できない者たちもいます。まあそういった存在は人間の国にはめったにでてこないんですけどね。」


そう言って、メリッサはその男を睨みつける。



剣を構えるユウヤ。


「なかなか骨がありそうじゃないか。楽しませてくれよ。」



「ん? ああ、人間か。まったく、じっとしていればいいものを。」


「なに!」


歯をむき出して吠えるユウヤ。



男の青かった眼が瞬時に赤い色に染まる。



「うっ。」


ユウヤが動きを止める。


周りからもうめき声、見てみると周りのみんなも若干苦しそうにしていた。



男が若干不思議そうにこちらを見る。



「ん? 効いていないのか?」



え? どういうこと?

えっと、色付きの眼が魔眼、赤は……、あっ、魅了じゃん!?


俺は「ぐっ」と言ってその場で蹲る。



「……気のせいか。」


男の視線が若干逸れた気がした。



「リト、大丈夫!?」


「ミ、ミーナ。ミーナは大丈夫なのか?」


「ええ、私、なぜか魅了耐性が他の人より高いみたいなの。まあ、リトのおかげかもね。」


ドキッ!?


「そ、それってどういう……。」


「リトを思う心よ!」


あ、そう言うこと。

もう、てっきりばれているのかと思ったじゃん。


なんか後ろでメリッサがジト目で見ている気がする、が気にしない。

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― 新着の感想 ―
[一言] 実際の所はごく僅かに漏れていたリトの魔眼を日常的に受けていた結果耐性が出来ていたという感じなのかな? 勇者の魔眼が効果ないのも同じ理由な気がしますし…
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