16話 旅立ち
いつも評価を頂きありがとうございます。
やる気に繋がります。これからもどうぞよろしくお願いします。
しばし待っていると、アミスとミーナがやってきた。
ふたりの腕には渡した腕輪が既に付けてあった。
横にいたリアがバッと音がするような勢い顔を交互に二人の腕に向けると、その腕輪を凝視した。
ジーっと音が聞こえるような気がする。
「(なに? あの腕輪も。ただの木の腕輪とは思えないくらいの魔力。昨日まであんなのしてなかったよね。)」
ぼそぼそ独り言を言っているが、なんとなく腕輪って聞こえた気がする。
すると、次いでリアはこちらにバッと顔を向けると、今度はジトーっと俺の顔を見てきた。
「(っていうか、絶対この人だよね、あれの製作者。この人、隠しているようだけど隠しているつもりなのかしら。見る人が見れば明らかにばれるよね。)」
なんか、ばれてるわよ、あなたって言われている気がする。
その時、俺は彼女と心がつながった気がした。
その後、彼女はメリッサの方を見た。
「(メリッサさんは気づいているよね、ぜったい。分からないわけないし。でも広める気はないみたい、どうして……。はっ!? もしかしてこの人も実はすごいレア職? いやそんなことないか木彫り職人だし。)」
メリッサを見ると、俺が見ていることに気が付くとにっこりと笑顔を見せた。
(だいじょうぶですから。)
心のメリッサが俺に話しかけた。
心のメリッサって何?
俺は慌てて浮かんだメリッサをかき消した。
あ、拗ねた。
◇
かなり遅れてユウヤがやってきた。
後ろには村長と男たち、横にはミリカを連れ立っている。
「おう、揃っているな。 それじゃあ行くか。」
そう言うと、後ろを見ずに手を上げると村の外に歩き出した。
え? 挨拶なし?
それを見たミーナとリアはため息をついた。
ユウヤ以外は村長たちに軽くお礼をした後、ユウヤの後を続く。
ミリカを見ると、ポーっとユウヤを見たまま、特に何も返さない。
うーん、どうなってるんだ?
彼女を見ていると、突然、後ろから声をかけられる。
「どうしました? リトさん。 あ、もしかして彼女のこと気に入りましたか?」
ドキッとして後ろを見ると、メリッサが立っていた。
「いやいや、そんなわけないだろ。ちょっと気になって。」
「気になったですか。……ああ、彼女、ユウヤさんの魅力にやられちゃったんですね、きっと。」
「まあ、なんと言っても勇者ですからね。それに顔もいい。」
「うふふ。」
彼女はにっこりとほほ笑んだままだ。
「でも、リトさんなら治せるんじゃないんですか?」
俺はドキッとするも慌てて返す。
「い、いやー、何を言ってるんですか? 俺はしがない木彫り職人です。」
そうですかー、そう言って、彼女はそれ以上追及はせず、みんなの後を追いかけた。
俺も振り返らずに、みんなの後を追いかけることにした。
ようやく旅立ちました。本来は前話で旅立つはずだったんですが……。
お楽しみ頂けましたら、ポイント評価をよろしくお願いいたします。
やる気に繋がります。




