14話 プレゼント
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久々の幼馴染回。
あのゴブリン退治から3日後の今日、俺たちはいよいよ旅を再開することになった。
出発の準備をすると泊っていた仮の我が家から出ると、ミーナが外で軽く鍛錬をしていた。
彼女に近づいて声をかけると、後どれくらいの道のりか聞いてため息をつきたくなった。
「え? 王都までの距離? うーん、私たちの村からここまでをあと2回ぐらいかな。」
そんなにか……。
「もう、そんな顔しないの。次の村に着いたらまた休めるから。それまでがんばろ?」
にっこり笑って俺を元気つけるミーナ。
……よし、がんばるか。
まあ、少しは体力も付いた、はず。
ここまでの道のりよりはちょっとはマシだろう。
あ、そうだ。
ミーナに渡すものがあったんだ。
「ミーナ、これ。」
そういって袋の中から取り出してミーナの手に渡す。
「え? なにこれ?」
そう言ってミーナは手の中のものを見た。
ミーナたちと旅を一緒にして、村の中にいたらわからなかったが、危険が数多いことが改めて分かった。
今回の討伐だって、もしもっと強い魔物がいたら、だれかケガをしていたかもしれない。
まあ、俺がみんなを助けるなんて烏滸がましいことは言わないが、親しいやつらには何か助けをしてあげたい。
渡したのは木で作られた腕輪だ。
使った素材は、ただの木だが込めたのは、彼女の持つこん棒と同じ。
もし、こん棒を落とした時でも助けになるようにと作ることにしたのだった。
最初はもっと小さい指輪にしようかと思ったけれど、さすがにみんなに冷やかされそうだし、ユウヤもまた噛みついてきそうだ。
とういか、俺の婚約話ってどうなったんだろう……。
なんか有耶無耶になっていたような。
「リト……。」
ふと気が付くと、彼女は目を潤ませ頬を赤らめてこちらを見ていた。
うっ!?
いつも元気な彼女と違ったギャップに思わず戸惑う。
「あ、ああ。お守り代わりに作ったんだ。ミーナの助けになればと思って……。」
そう言って目を逸らす。
ぼすっ。
へ?
気が付くとミーナに抱きつかれていた。
「リト、うれしい。最近あんまり話せてなかったし。それでもちゃんと私のことを考えていてくれたなんて……。」
「そ、そりゃそうだろ。大切な……。」
「……大切な?」
「あ、えーと……。」
離れたミーナはこちらをジーっと見ている。
やば、なんて言おう。
「そ、そう、大切な幼馴染だから。」
目線がジーっから、ジトーに変わった。
うーん、前世だったら婚約者だから、とかするっと言えたような気がする。
ていうか、俺、だれと婚約していることになっているんだろう……。
あれ以降、ミーナとアミスに聞けていない、揉めそうだから。
これが前世でのお得意技、先送りだ。
そうこうしていると、ミーナはジトーっとみた後、はあ、とあからさまにため息をつくと、こちらに笑顔を見せた。
「よーし、元気が出たわ! 王都までの道のりも私に任せなさい。何が出てもリトには指一本触れさせないから。」
そう言って、持っていたこん棒を真横に振った。
ひゅん!
……彼女の振ったこん棒が見えなかった。
お守りがなくても大丈夫だったかな?
あ、アミスにも渡さないと。
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