12話 やりすぎた
よろしくお願いいたします。
誤字報告ありがとうございます。
いくつかの木を受け取ると、柵の崩れた個所に戻る。
「さて、まずはここから直すか。」
そういって、木を手に取ると工具で削る。
せっかくだから、ただ直すだけじゃなくて、細工もしておこう。
ジョブは木彫り職人だしな。
そう思い、彫り物を木に施す。
「そうだ!」
せっかくだから、この眼を使って。
久々に魔眼を使った。
◇
あらかた崩れていたところは直せただろう。
出来栄えに一人満足していると、後ろから声をかけられる。
「すごいんですね。」
「え?」
振り返るとそこには村長の孫娘の……、たしかミリカがいた。
「あ、すいません。」
「あぁ、いや。構わないです。」
うーん、なんか気まずい。
とくに悪いことをしているわけではないのだが、昨日のユウヤとの関係を見ているとちょっと……。
彼女は俺の直した柵を見ながら。
「見違えましたね。あのぼろぼろだった柵がこんなに綺麗になるなんて。」
ん?
たしかに補修した部分だけじゃなく、他の箇所もなんとなく綺麗なような……。
俺は柵を直す部分の使った木に、汚れがつかないように念じながら彫り物を施した。
まさか!? それが他の箇所にも影響を……。
俺は、冷や汗をかく。
彼女が聞いてきたことに生返事をしながら、これが、とくにメリッサにばれたらどうしよう、そう思った。
リアもまずい。たぶん、この柵、魔力があふれているのでは?
俺には魔力が見えないけれど……。
「それでリトさんはユウヤ様のパーティの一員なんですか?」
「へ?」
名前を呼ばれ我に返る。
俺、名前教えたっけ? あ、そういえばさっき名前を聞かれて答えていたような気も……。
いや、それより、パーティの一員かって?
うーん、俺ってどういった関係だろう。
「いや、パーティってわけじゃないよ。女の子が二人いただろ? あの二人が幼馴染と妹なんだ。俺はその付き添い。」
まあ、妹の方は義理なんだけど。
「まぁ、そうなんですか。えっと、聖女様と少し背の低い女の子ですよね。」
「うん、そうなんだ。」
へぇーっと感心していた。
感心されるようなことかな。
まあ、普通の村に住んでいると出会うことなんてまずないもんな。
そんな話をしていると、村の入り口の方から声が聞こえてきた。
「えーーーー! どういうことなんですか?」
あの声はリアだ。嫌な予感がする。
俺は自分で直した柵を見ながらそう思った。
次の投稿は明後日になります。




