9話 勇者へのお願い
少し短いですが、投稿します。
俺たちが村にやってきたその夜。
この村の規模にしては盛大な宴が催された。
どうもご飯と一緒に酒も振る舞われるようだ。
俺は勇者のメンバと一緒に盛大に歓迎してもらうのは気が引けたので、みんなからは少し離れた端の方で、村の人に注いでもらった酒を一人で飲んでいた。
ちらっと宴の上座に当たる席を見ると、村長やほかの勇者パーティの面々が思い思いに酒やジュースを飲んでいる。
ユウヤは片方に世話係を任された娘さんを座らせて、酒を注いでもらって愉快そうに飲んでいた。
アミスはというとミーナとリアに挟まれて楽しそうに話をしている。
当初、アミスはユウヤに横に座すようにしつこく誘われていたようだったが、ミーナとリアがうまく連れ出してくれたようだ。
三人がこちらに気づく。
アミスが軽く手を振っていた。
俺も頷き返す。
ん? 村長が態度を改めるとユウヤに話しかける。
「勇者様、いかがでしょうか。宴は楽しんでおられますか?」
「そうだな、酒もうまいし、この娘もかわいい。楽しませてもらっている。」
「それはようございました。ミリカ、しっかり勇者様に楽しんでもらうようにな。」
「はい、お爺さま。」
「村長、なかなか良いこと言うじゃないか。」
そういって娘さんの肩を抱きよせながらさらに愉快そうに笑うユウヤ。
こいつ、娘さんをあからさまに狙っているよな。
……まあ、勇者の特権ってやつか。
ていうか明らかにアミスも狙っているよな。
うーん、兄としてはひどく複雑な気分だ。
そう思っていると村長がユウヤに問いかける。
「ところで勇者様、この村には何日ぐらい滞在される予定ですか?」
「うーん、そうだな、メリッサ、どうする?」
ユウヤはメリッサの方を見る。
彼女は一人で静かにお酒を飲んでいた。
うーん、絵になる。大人の女性って感じだな。
メリッサはユウヤを見ると。
「はい、そうですね。とくに急ぎというわけではありませんし、数日ぐらいであれば滞在しても問題はないですよ。」
そう返す。
「そうか、それじゃあ数日世話になるかな。」
それを聞いたメリッサはこちらを向いてにこりと微笑み、目立たないように手を小さく振る。
……もしかして、俺に気を使ってくれた?
ちょっと優しいじゃないか、いつもとは違うそのギャップに惚れ……はさすがにしない。
あ、こちらを見ていたメリッサが拗ね始めた。
手を振り返さなかったから? いや、もしかして考えていることがばれたってことないよね?
ただ、意外に拗ねた姿はかわいかった。
これがギャップ萌えというやつか。




