8話 第一の村
よろしくお願いいたします。
追記、誤字報告いつもありがとうございます。
村を出てからすでに日数が経ち、俺の疲れがだいぶたまってきた。
道中、何度か魔物に襲われることもあったが、さすが勇者パーティ、難なく切り抜けていた。
俺はといえば、スキルを使って逃げに徹していた。
きっとばれてない……、メリッサは時々怪しい笑みを浮かべていたけど。
他のメンバーはというと、同様に疲れてはいるけれども俺ほどではない。
やっぱり鍛え方が違うからかな?
俺もアミスと一緒に練習しようかな。
いや、原因はジョブの補正か?
そんな俺を見かねてか、メリッサが横からうれしい情報を教えてくれる。
「リトさん、もう少ししたら村が見えてきます。そうすれば、村で数日休憩しますのでがんばりましょう。」
横でミーナも頷いていた。
「……そうだ、がんばれリト。」
ラキもそう励ましてくれた。
それを聞いて俺は元気を振り絞って返す。
「ああ。」
よし頑張るか。
そう言えばラキの声、久々に聞いた。
◇
ようやく村が見えた。
これまでの旅を思い出すと、これぐらいもう目と鼻の先。
もう俺はへとへとだ。
周りを見ると、ユウヤは疲れを見せずに歩いていた。
こういうところは素直に尊敬する。
例えジョブの恩恵があったとしても。
ミーナ、リアも疲れた様子を見せていない。
アミスも疲れた様子は見えるけど、俺ほどではない。
……やっぱり鍛えよう。
……村についてから。
◇
村に着くと、メリッサとラキが先に入っていった。
「お疲れ、リト。メリッサさんとラキさんが交渉してくれるからちょっと待っててね。」
ミーナがそう教えてくれる。
地位がありそうな二人が交渉役に向いているのだろう。
ただメリッサは分かるけれど、ラキも?
……無言のままメリッサの横に佇むラキを思い浮かべる。
果たして交渉できるのか?
少ししたら、隣に老人と数名の壮年の男性と一人の女の子を連れ立って二人が歩いてきた。
女の子は十分にかわいいと言える。
年は分からないが、俺とそれほど変わらないだろう。
老人が俺たちに挨拶をしてきた。
「ようこそ勇者様。この村の長をやっておりますラダと言います。よくいらっしゃいました、我々は歓迎いたします。」
「ふん、当然だろ。」
横柄な態度で答えるユウヤ。
とくに気にした風もなく笑みを浮かべる村長。
まぁ、勇者といえば場合によっては王侯貴族並みに権限を持つという。
そういえば、ミーナも聖女。
聖女も勇者と同種の権限、場合によっては勇者より強い権限を持つこともあるらしい。
そう思い出しながらミーナを見る。
「ん?どうしたの?」
こんなのにそんな権限持たせても良いのか? 聖女に選んだ神様。……、そう強く強く思った。
村長とユウヤ、メリッサとラキ(は立っているだけだが)の4人で話し合いが続く。
「それでは勇者様のお世話は孫に任せましょう。ほれ。」
そう言うと、少し後ろに立っていた女の子が前に出る。
女の子はユウヤに向かって自己紹介を始めた。
「あ、あの初めまして勇者様、この村の長ラダの孫のミリカと申します。」
「よっしゃー、気が利くじゃないか、村長。」
恥ずかしそうにする娘さんの前で、声を上げて喜ぶユウヤ。
ミーナとリアは顔に手を当てため息をつく。
その顔はまるで、あちゃーと言っているようだった。
次の投稿は日曜日になると思います。




