3話 疑い
遅くなりましたが、よろしくお願いいたします。
リアがあきらかに疑いのまなざしでジーっと俺を見てくる。
おそらく俺のスキルを怪しんでいるのだろう、さっき鷹の眼、嘘とか言っていたし。
すごく見られている。
気まずいが目をそらすと余計に怪しまれるだろう。
うーん、どうしたものか……。そう思い悩んでいると。
「おいおい、俺のリアと何を見つめあってるんだ?」
何を勘違いしたのか勇者が割って入ってきた。
勇者はリアの横に座るとリアの肩に手をまわし、俺の方を見る。どうやら俺に見せつけているようだ。
いやいや俺に見せつけられても……。しかもリア、苦笑いをしてますよ。
「あはは。」
そう苦笑しているリアと自慢げな勇者から俺はさっと目をそらす。
もう見ていられないんですけど。
目をそらした俺の様子を見て何を勘違いしたのか勇者は満足したように元の場所に戻っていった。
……なんとも言えない空気が場に漂う。
おい勇者、この空気をなんとかしろよ、という俺の心の叫びも気にする風もなく。
「次はだれの番だ?」
彼はそう催促した。
さすが勇者と逆に感心。この空気を感じないなんて。そう思わずにいられない。
「そうですね、それではラキさんで、最後にユウヤさんでお願いします。」
勇者の催促を受けてメリッサが繋げる。……なんとなくこのパーティのメンバーの役割が見えてきた気がする。
みんなの視線が指名されたラキと呼ばれた男に向かう。
それまで目を瞑っていた彼は、みんなの視線に気づいてか、ゆっくりと目を開け、俺とアミスを見ると口を開いた。
「王国近衛騎士団に所属するラキという。」
「……」
えっ、それだけ。いや他に何かあるのでは?
そう思い、じっと待つ。
「……」
やっぱり終わりみたいだ。まさか本当にこれだけとは。
この沈黙に耐えられる彼を見て勇者とは違った意味で感心せずにはいられない。
さすがに見かねてか、メリッサが補足する。
「ラキさん、さすがにそれだけでは。ジョブとか何か説明しましょうよ。リトさんもアミスさんも困ってますよ。」
「……ジョブは騎士だ。」
いやいや口数少なすぎだろ。そう思っているとアミスが。
「あの、ラキさんも片手剣を使われるんですか?」
そういって彼の傍に置いてあった鞘に入った剣を見た。確かに言われて気づく。それを見ると片手で持つ剣のようだ。……ついでに勇者の方を見てみると、彼は両手剣を使うようだった。
「あぁ。」
ラキ、やっぱり短い。アミスが粘り強く話しかける。やっぱり剣を持つ者同士惹かれるものがあるのだろうか。あるいは、実は寡黙好き?
「私も片手剣なんですよ、ほら。」
そういって、横に置いていた木製の剣を自慢げに見せるのだった。