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07 嫉妬心

 それからバイトのある日でも陽子とデートするようになっていた。といってもバイト代もまだ入ってなくお金がないから主に自宅デートだ。そして母親が家にいる時は外に出掛け、手を繋ぎながら街を歩いたり公園に行ったりした。

 母親の仕事は日勤の方が多く、大体ウチらは自宅デートになる。始めは色々話しているのだが、途中からイチャイチャしだして、キスして、ボディタッチしてるうちに、エッチする流れになっていく。

 あれからほとんど毎日会ってるから、すでにエッチは何回もしてる。陽子も俺が求めると拒否らないのだ。いや、むしろ最近は積極的で、体が馴染み始めたみたいだ。



「本当にマネージャーするの?」


「なんで?」


「いや…、帰る時間とかズレるから…。」


「そんなこと言ったって、大介の家って高校からすぐじゃん!」


「まぁ…。」


 いつの間にか俺達は名前で呼び合うようになっていた。俺的には名前で呼ばれた方が、なんだか心地よいのだ。

 俺は親が離婚するのを知ってから、志望校を自転車で通える範囲に変えた。あの学校なら歩いても5分位だろう。

 変えた理由は親の経済的負担を減らし、バイトをするためだ。電車代も学割が効くとはいえ馬鹿にならないし、家から近いあの学校にして登下校の時間を減らし、確実にバイト出来る時間を確保したかったのだ。


「大介も何か部活入りなよ。できればバスケ入って欲しいけど…、なんか興味無いの?」


「う〜ん。部活に入るんだったら、バイト増やすよ。」


「そっか…、」


「もしなんかの部活入ったら目移りしちゃうかもよ。ウチらの行く高校は女子が多いみたいだし。」


「目移り?」


「そう。あの子可愛いとかあっちの子は綺麗!とか思うかもしれないじゃん!」


 少しヤキモチを妬いて欲しくて言ったのだが、何も言ってこない…、返す言葉が見つからないのかもしれない。


「冗談だよ。」


「…。」


「おいおい…。」


 陽子は今にも泣き出しそうな目をしてた…。それを見て愛おしくなり、引き寄せて抱きしめてしまった。


「陽子…。」


「うん…。」


「好きだよ。」


「うん…。」


 まだ陽子から“好き”という言葉は数えるくらいしか聞けてない。だけど今は横にいてくれるだけで満足なのだ。


「ねぇ…、」


「何?」


「和代への言い訳考えてくれた?」


「あー、それ…、」


 正直考えてなかった。でも隠すよりオープンにする事で打開出来ないものか?『付き合う事になったから応援してくれよな!』って、言ってみるか…?それとも付き合ってない振りして『俺、福島が好きなんだけど、相談乗ってよ!』的な感じでやってみるか…。

 どっちにしろ面倒臭かった。でも少し間違えれば、陽子がイジメの対象になりかねない。親友の好きな子と付き合うというのは、裏切り行為になるだろう。それだけで無視される可能性だってあるのだ。

 いっそ直江に彼氏でも出来れば万事上手くいくのだが…。ん…、そうか、誰か紹介すればいいのか…?でも誰を…?

 一番始めに頭に浮かんだのがタカだった…。まず、あいつは彼女とかいるのか…?俺はタカとその手の話をしたことがない…。


「ねぇ、聞いてるの?」


「ん?あぁ、聞いてるよ。ちょっと考えてたら、よく分からなくなってさ…。そっちは?何かいい案無い?」


「うん…。」


 どうやら無いらしい。女の友情って難しいからな…。でも彼氏を奪った訳でもなし、深く考えなくても大丈夫じゃないかな…?


「そういえば冴子さん俺達の事なんか言ってなかった?」


「うん…。あー、言ってた。」


「何て?」


「『モテそうだからしっかり掴んでおきなさいよ!』だって。」


「なんだよそれ。」


「『学校にいる子は先輩でも若い先生でもみんなライバルだと思いなさい!』だって。」


「それじゃ俺って、すげぇ浮気性の男みたいじゃん!」


「そんな事じゃなくて、大介ってモテそうだし…私としても不安だよ…。」


「なんだかな〜。」


 なんだか複雑だ。誉められてるような、けなされてるような…。

 まぁ、彼女なりのヤキモチだと思って、受け流せばいいのだろうけど…。

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