表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/23

20 ゲーム1

「背の順とはいえ、ちょっと辛いな…。」


 伊藤先輩も同じように感じてるようだ。


「ディフェンスはマークに付かれた奴にマンツーマンで対応してくれ。」


「はい。」


「大介。」


「はい。」


「松本さんのフォロー頼むな。」


「頑張ります。」


「頼んだ。あと松本さん。」


「はい。」


「内田先生の指示通り、どんどんパス入れるから、勝負してね。」


「分かりました。」


「片山と中西は速攻走ってな。」


「はい。」


「あの〜。」


「なんだ片山?」


「俺のポジションは…?」


「ん?あっ、そうか。片山は中学時代センターだもんな。」


 チーム事情ってやつか…。中学時代は1番でかかったのだろう。片山の身長が決して低い訳ではないが、中学時代シューティングガードだったタカより弱冠小さいようだ。


「マークは多分、浅野だよな?」


「はい、多分…。」


「スモールフォワードやシューティングガードの勉強だと思って、浅野のにマークしながら動きよく見ておけ。」


「…分かりました。」


 違うポジションは不安だよな…。しかもマッチアップがタカじゃな…。う〜ん不安だ。谷津先輩と中西君のとこも不安だし…。伊藤先輩は前島か…、先輩のとこが頼りだな。


「大介。」


「はい。」


「攻撃は自由にやっていいぞ。なんて言ったって県中学の得点王だからな。」


「ありがとうございます。」


 そう言ってもらえると、気持ち的に楽になった。でも、そんな事を言われなくても自由にやらせてもらうつもりだった。


「大介もパスが捌けると、もっといい選手になるんだから、回り見てフリーな選手いたらパス出してな。」


「はぁ…。」


 パスね…、そりゃ確率の問題で、頼れる奴がいてそれがフリーなら俺だってパスを出したけど、中学時代のチームはタカくらいしか頼りになる奴がいなかったのだ。シュートレンジの広い俺がボールを持てば、勝負以外考えられないのは仕方ない事だった。


「始めるぞ。」


 ジャンプボールは当然俺と加藤。確か最後の公式戦では取れなかった。


 相手チームで唯一データがないのが大迫さん。俺的には、この人次第でやりやすいかどうか決まる…。まずはお手並み拝見といくか…、と思っていると遠目からタカがあっさりスリーポイントシュートを決めてしまったのだ。

 あの野郎!そして俺らの攻撃…、サボるつもりはないが、俺はスリーポイントラインの外にいた。加藤を外まで引っ張り出して、中を松本さんと大迫さんの二人の状態にして、二人のプレーを見るためだ。このワンプレー次第では俺もプレースタイルを考えなくてはならない。

 そしてボールは松本さんへ入る。直ぐさまフェイントを入れドリブルをして、大迫さんのディフェンスを振り切りにかかる。最後はフェイダウェイからのシュート。それは綺麗な放物線を描いてリングに吸い込まれた。『上手い…。』思わず加藤が呟いたのが聞こえた。

 内田先生から『大迫!女だと思って遠慮してディフェンスしてると、どんどんやられるぞ!厳しくチェックしろ!』と激が飛んだ。いや、あれはいいプレーだ。

 2度目の向こうの攻撃は加藤にボールが入るも、俺のディフェンスを嫌い一旦ボールを味方に返した。そして谷津さんがカットインし自らミドルシュートを打つも外れ、俺がリバウンドを取って終わった。


 よーし、点を取りにいってやる。


 今度は俺も、中でポジションを取ってボールをもらいにいった。振り向いてゴールの方を向くと、そこには大きな壁加藤が立ちはだかる。俺はフェイントを入れワンドリブルして体を半歩加藤の前に出すと、強引にジャンプしてリングにダンクをかましてやった。


 初めて見る奴らはア然としている。

 コートの外で見学していた大島が『加藤!お前そいつに何点取られるつもりなんだ?』と言い、続けて『練習なんだからファールギリギリで止めにいくつもりでいけよ。』と怒鳴っている。

 でもこのゲームは、ウチらのチームの圧勝で終わるのだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ