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12 入学式

 つまらない…。校長と来賓代表の挨拶が終わったあと、担任と副担任の紹介があり、簡単な自己紹介が始まったのだ。そして綿貫さんの番がきた。


「只今、紹介に与りました8組の担任をさせて頂きます綿貫と申します。教科は保健体育になってます。私もこの4月から、この高校に移って来たばかりで、分からない事もありますがよろしくお願いします。あと男子バスケ部の顧問も担当する事になってます。」


 と、さっき教室で話した内容となんら変わらない感じだった。副担任の平戸さんは今年2年目の美術の教師だ。

 俺は選択教科の音楽・書道・美術の中から、この副担任の美術を選択している。平戸さんが転勤しない限り、3年間この人に美術を教わるのだ。

 さっきの挨拶の時は全員立っていたのだが、女子が多いのもあってか、俺は頭一つ出ている。あくびでもしようもなら目立ってしかたないのだ。それはあの加藤って奴も同じだ。高校1年で180センチ後半なんて、スポーツをするには恵まれ過ぎだ。でも俺はそれを放棄するつもりなのだ。

 他にもそこそこデカイのは何人かいるのだが、ウチらほどではない。ちょっと気になったのがタカのクラスの女の子だった。俺らほどないが180センチは確実にありそうだ。

 まぁ、最近の全日本の女子バレーボールをみても、このサイズの日本人女性をみる事は珍しくないから別にいいのだが、流石に近くで見ると俺でも威圧感を感じる。中学の県大会で見た事がないから、バレーか他のクラブだろう。


「若宮君。」


 なんでこの渡辺さんは話好きなんだろう…?目立つ俺が喋ると、先生に目を付けられるから嫌なんだけど…、


「何?今じゃなきゃダメな話?」


「え?あー、うんとね、」


 この子は俺の気持ちを汲み取ってくれない…、この怒りは、どこにぶつけたらいいんだ!


「隣のクラスの背の高い女の子いるでしょ?」


「あぁ。」


「あの子、他県で有名だった子なんだよ。」


 他県?有名?


「なんで?」


「全日本候補に入って、選考合宿に行った経験あるんだって!」


 確かに全日本の女子バレーは、たまにサプライズ的に若い子をメンバーに入れてくる。実力があれば入れても別にいいだろう。それに将来的に育てたければ、レベルの高い環境を与えるのも必要だ。


「すごいね。」


「でしょ?多分ウチのバスケ部でも1年からレギュラーいけるんじゃないかな?」


「えっ?バス…、」


 思わず大きい声を出してしまった。間髪入れずに『そこっ!静かに!』と、どからか声が上がってくる。


 絶対、注目されてる。生徒達からの視線は別にいいが、先生達からの視線が痛かった。陽子にも見られたかな…。格好悪いな…。


 式も終わり教室に戻るのに、ウチら8組は最後に体育館を出る事になり、そうなると1番最後に体育館を出る新入生は、俺と渡辺さんだった。

 新入生退場の時に陽子を探したら、意外と早く見付かって1組だった。陽子の何人か前には直江の姿も有り、どうやら同じクラスらしい。その後も人間観察をしていくと、チラホラ可愛い子や綺麗系の子が目についた。

 そして『7組起立。』となって、あの子に視線をやると意外と綺麗な顔立ちだ…、線も細い…?いや、化粧をすればモデルでも出来そうな感じだ。


「綺麗だよね…。」


 横で渡辺さんが呟いてる。同性の彼女からみても、男の俺と同じように感じるみたいだ。


「8組起立!」


 ようやく退屈な式から解放されたのだ。

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