11 社交的
どうも作者です。読んで頂きありがとうごさいます。これから主人公大介の高校生活が始まるので、サブキャラが多数出始めます。会話もならべく少人数(3人位まで…?)にするつもりですが、分かりずらく感じたらゴメンなさい。では本文をどうぞ!
「遅れてすみません。」
小声でそう言いながら教室の後ろのドアから、入って行くと注目の的だった。視線が集まる。俺は一つだけ空いている席目掛けて歩いていった。おそらくそこが俺の席だろう。
「若宮!」
「はい。」
教壇に立っている、おそらく担任であろう人に名前を呼ばれ、そっちを見ると昨日対応してくれた綿貫さんだった。
「綿貫さん…、」
「お前が最後だぞ!」
「すみません。」
「早く座れ。」
「はい…。」
廊下側から男女交互の列になってて、全部で6列あり、案の定俺の席は唯一空いてる、窓から2列目の1番後ろの席だった。なんか一番後ろの席をゲット出来たのは嬉しかった。苗字が変わらなかったら、おそらく中途半端な席だったに違いない。
教壇では担任の自己紹介のあと、入学式の簡単な流れを説明している。途中から7組と8組の副担任をしている平戸先生の話をしたが、その方はまだ隣のクラスにいるようだ。
そして『時間になったら放送があるので、その指示に従って体育館に来るように。』と言って綿貫さんは出て行った。
みんな緊張からか誰も喋らず静かにしている。そんな中、隣に座っていた女子に話かけられた。
「あの〜。」
「俺?」
「はい。」
「なんでしょ?」
「あなたってバスケやってませんでした?」
「はぁ…、やってたけど…、」
「ですよね。あのっ、私、北見中学でバスケやってた渡辺っていいます。」
「どうも、若宮です。」
「いや〜、そうですか。ここの高校でしたか…。」
「俺って…、」
『俺って県内のバスケ会だと有名なの?』って聞こうとして止めた。だけど、この渡辺さんは、
「はい。有名でした。」
「そう…。」
「なんていっても、中学の公式戦でダンクしてる人なんて、県内で1人しかいませんから。」
「そうゆうこと…、」
確かにウチらの試合はギャラリーが多かった気がする。それにダンクの度に歓声が上がってたし…、ダンクを見たかったのか…。
「同じクラスで、しかも隣の席なんて光栄です。」
「はぁ…。」
回りをよく見ると、誰も話して無い中で、話し出したウチらに、クラス全員が聞き耳を立ててるようにも感じた。
それを遠くで聞いてた人物が、痺れを切らしたらしく自分の席から俺の席へとやってきたのだ。みんな座ってる中、立ち上がったのだから普通に目についた。
「あのさ…、」
見た事ある…。こいつがタカが言ってた大島か…?
「はい?」
「あーーーっ!」
この渡辺さんはいちいちうるさい。
「あなたは堀北中学の大島君じゃないですか!」
「どうも。でも、もうあなたと同じ高校生だよ。」
「すみません…。」
「浅野に聞いたんだけど、バスケやらないんだって?」
大島と視線が合う。どいつもこいつも馴れ馴れしい…。社交的って言った方がいいのか?
「そうだね。そのつもりだけど。」
「えー!なんで勿体ない!」
渡辺さんはいちいちリアクションしなくてもいいのに…。
「一緒に全国目指そうぜ!」
全国?週に3日くらいしか活動しないクラブが?そんな簡単じゃないだろ!
でも全国ってのは、いい響きだ。堀北に勝ってたらおそらく俺らが、全国大会への切符を手にしてたに違いない。あの試合が事実上の決勝だった。
「ウチの学校からじゃ無理だろ。圧倒的に女子部の方が優遇されてるし。体育館使える日も限られてるんだろ?」
「詳しいな。それってバスケに未練あるからか?」
チッ!この大島って野郎は俺を煽ってるのか?嫌な野郎だ。
「かもな。でも俺は君達が全国行けるよう応援する方に回るよ。」
「神田の力が必要だ。」
「な…?」
誰かに『必要だ。』なんて言われたのは初めてだった。
「バスケやるように考え直してくれよ。神田の力が…、」
「人違いじゃないか?俺の名前は若宮だ。先生もそう言ってただろ?」
「あれっ…?いや…、だってお前は…、」
「えー違うの?ダンクしてた人にそっくりだけど…、」
渡辺さんは、ちょいちょい会話に入ってくる。いや、先に話していたのは俺と渡辺さんだった。
「そうか…、人違いか…、いや…、名前を覚え間違えてたかな…?」
タイミング悪い事にそこにタカが入ってきた。しかも後ろには俺と変わらないくらいデカイ奴もいる。堀北のセンターだ。こいつはマッチアップしたから、なんとなく顔を覚えてる。
「大介!」
大島がタカを見て、
「あっ、浅野に加藤!いいとこ来た!」
それであっさり俺が“元神田”という事がバレてしまった。それにいつしか俺達の席の回りには、このクラスの女子バスケ部員まで集まり出していた。なんだ?俺の机はお前らの交流の場じゃないぞ!