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幻焔の黄昏(トワイライト)~女の子に転生したらもっと大変でした~  作者: 夜空りえる
セイクリッド魔法学院編
43/49

40.学院長代行VS生徒会長

 

 一方である場所でも動き始めていた。


「貴女はもしかして学院」


「ええ、そうですね。私の名前はローズ・セイクリッド。ここのセイクリッド魔法学院学院長の娘と言えばわかるよね」


 彼女は私に向かって名前を名乗った。

 名前を聞いて思わず一歩後ろに下がってしまう。

 それは当然である。何せ学院長の娘──学院長代行という立場になる方だ。


「その学院長代行さんがどうして私のところに?」


 気になったことを直接彼女に聞いた。

 答えてくれるかどうかは知らない。

 だか、確証は確実に一つ掴んでいた。


「勿論、貴女を……アリサさんを止めに来たと言えばわかりますね!」


 その瞬間、ローズの左手から魔方陣が展開させる。

 これは無属性魔法!


「う!」


 その場は光に包まれた。視界がはっきりとするには時間がかかった。


「……ここは?」


 ようやく見えたところその視界に映ったのは生徒会室ではないことに気づく。

 それじゃここはどこなのだろうか。


「固有結界ですよ。あそこで戦うには広さが足りませんからね」


 ローズはここを固有結界で無味出した空間だという。見た感じ雪景色の空間、広さも生徒会室とは比べ物にならない広さ。

 それに戦うって本気!?


「まさか貴女も歯向かうのですね。正直がっかりです。」


 学院長不在のこの時を狙ったが学院長の娘が邪魔をしに来るなんて想定外だった。


「まあ、私はアリサさんみたいな力はありませんがあの子のためになら動かないといけませんので」


「あの子というのはソフィア・アストレアのことですか?」


 あの子、ソフィア・アストレアという存在をこうも気にかけていることに疑問を抱いていた。

 学院長もそうだった。

 明らかにこれは裏があると思う。


「やはり気になります?」


「ええ、良かったらあなた方が彼女を気にかける理由を教えてもらえませんか?」


 私は理由を説いた。この三年、毎度疑問に残っていたことをここでようやく解決しときたい。

 そんな気持ちが溢れた。


「──ごめんなさいね。そう簡単に教えられないの。でも、もし私に勝ったら教えてあげる」


 結果、ローズは答えなかった。それほどまでに答えたくない情報だと捕らえられる。少しガッカリした私に笑みを浮かべ条件を提示してきた。


「ふふ、なめてくれるじゃないの。良いでしょう!その条件乗りました」


「貴女ならそういうと思った。さぁ早速始めましよう!おいで───パール」


 ローズは手をかざし何かを呼び出した。すると何かが形成させる。

 その何かというのは......


「それが貴女の武装?へぇ~サイズなんですね」


 白色の球体から形成されたのはサイズだった。

 とても物騒で刃の切れ味も凄そう。


「長年使ってきた相棒ですから......と呑気に会話している場合でも無いですね」


 私も武器を取りだし構える。

 一応武装は剣と盾。これが基本の武装である。


「それじゃあ行きますよ、アリサさんいえ、竜騎士!」


「ええ、望み通りです!」


 両者の掛け声により戦いは始まった。どちらも格の違うオーラを纏い振り掛かる。


 最初に仕掛けたのはローズの攻撃、それを華麗に交わし追い撃ちを掛ける。


「チャージアップからの斬!」


 チャージアップとは身体能力を向上させ威力を高める能力。

 これを使い追い込めるのが狙い。

 しかし、相手もそれを承知しているのか回避させる。


「甘いですよ。それじゃあ次は私の番です」


 ローズはサイズを上下左右に振り回す。それに何の意味があるのか良く知らないが。


「そんな攻撃、私には通用......」


 気にせず攻撃しようとした途端、あることに気づく。

 ローズのこの振り回す行為には意味があった。


 どうしてローズは攻撃を仕掛けるといって動こうとしてないのか嫌、動けないのだ。何故なら彼女の行為そのものが周りに大きな盾を作り上げるかのように。


 そして気づく。これは攻めじゃない、守りに入ったのだと。


(全然近づけない!)


 近づこうとすると刃が当たり服の一部が切れる。見た目こそ刃は存在しない。

 しかし、実際に範囲に近づくと刃がかすりと当たるのが微妙にわかる。


「ふふ、これでアリサさんは私には一歩も近づけない。」


「そういう貴女は攻撃できませんね」


 両者動けない状態に陥るがこれも近づかなければ意味はない。このまま体力を減らす作戦に実行に移った。

 だから動かず待つという選択を選ぶ。


「それはどうかな?私がいつ攻撃できないって言いましたか」


 両手で持っていたサイズを片手で持ちかえる。そして手をかざし


「我、雪の精霊の加護を持って食らいなさい。精霊魔法アルフレス・ローゼリス」


 六つの魔方陣が同時に展開する。


「まさか精霊魔法!?そんな高難易度魔法を使ってくるなんて」


 放たれた魔方陣は私の足元にも魔方陣が展開される。


「そうなったら避けるまで......」


 魔方陣の外に出ようとしたが出れなかった。正確には見えない何か覆われて出れない。

 良く良く見ると上側に左右前後といった下と同じ魔方陣が展開させていた。



「これは一本やられちゃったかぁ......」


 気が付くと六つの魔方陣は私を完全に包囲させた。ローズはそれを見てニコりと笑みをした。


「ええ、氷属性最強の魔法、アルフレス・ローゼリスは完全相手を包囲させ衝突させる魔法。これにはこの固有結界を張らないと使用できないからね」


 このために固有結界も貼ったという。

 だとしたら最初からこれを狙って仕組まれていたということになる。一歩彼方が上手だった訳ってことか。


「そうなったら私も対抗しようじゃないの!」


 対抗すべく大きく宣言した。


「来なさい───シェリン」


 私は口笛を吹いた。

 奥の手、使いたくはなかったが使おうじゃないの。

 すると空からゲートが開かれそこから飛び出てきたのは───


「まさかドラゴン!?アリサさんも本気って訳ね」


「私の使い魔として相棒のシェリンよ。さぁ次は私のターンですよ!」


 私は最高の笑みを浮かべた。

 ローズの精霊魔法に対抗すべく素早く行動に出る。


「シェリン──アドミックブレスを撃ちなさい」


 攻撃するように指示をした。

 狙いはローズの精霊魔法の破壊。基本魔法の破壊は不可能とされている(ただし唯一を退けて例外な現象もある)が一か八か試すことにした。


「まさか……でも精霊魔法を破壊することは不可能よ」


 ローズは精霊魔法の強度を高めてきた。

 それに構わなくシェリンは指示通り口を開きブレスを吐いた。


 魔方陣に衝突したブレスは限りもなく力は増していく。それに精霊魔法とドラゴンのブレスが重なりあい爆風が飛び散る。


「なんて威力なの。私の魔法と同じ……」


 驚きながらもっと強度をあげるローズ。

 爆風により髪が靡き手で抑える。


「もっと威力を上げなさい!」


 マスターの応えによりシェリン益々と威力を上げていく。


「祖は顕現せよ!雪は溶け消え去っていく。それは白く切ない幼き少女の思い出……我は雪、雪の精霊に力を持って祈ります──神聖魔法アブソリュートゼロ」


 精霊魔法に足らず重ねて魔法を発動させた。

 その魔法は精霊魔法嫌、それより遥か上の神話級魔術の類い。

 恐ろしいのは精霊魔法に重ねてと言うことだ。

 二つ同時に展開するのには生命に支障を引き出すほどの魔力が必要となる。


(本気なの?)


 困惑していた。自分の命を削る訳だから相当な覚悟を持って挑んでいることがわかった。


「ブレスが押されてる。このままでは私が負けるのは確実ですか」


 同時に障壁を展開していた私は何となくこの攻撃だけは凌げるように全魔力を己に注ぐ。


「降参するなら今ですよ?まあ、しないでしょうね」


 完璧包囲され今だ一撃を放とうとしないローズは私の意志に気付き容赦なくトリガーを弾いた。

 その圧倒的な力に必死で耐え、もがき、力を込める。


「これが……神話級魔法」


 絶対零度という気温が徐々に低下する中、遂には足に力が入らず震える。

 寒い……その一言が心の中で漏れる。

 障壁を貼っている関係なく私の両腕はみるみると冷え固まる。

 固まった手はとても痛い。

 それはまるで火に炙られたと同じ痛感。綺麗な真っ白な肌をしていた手は赤く醜い姿へと変貌する。


(つぅ……痛い!これほどまで痛いなんて)


 目から涙が出そう。

 弱音を吐かないよう必死に噛み締める。


「もっと力を入れますよ。覚悟してください!」


 先程より更に寒くなる。気付けば周辺が吹雪に包まれた白銀の世界となっていた。


「もう、駄目……」


 半分諦めかけていた。この相手には勝てないこと、そして私より強いことを認めよう。

 しかし、心の奥底ではまだ諦めていなかった。


「こんなところで負けたら情けないわアリサ! 私の全身全霊を持って無二の至境に立ち向かって見せる!」


 体全体が凍っていく中で残りわずかな気力を発して宣言した。

 力が入らない手を震えさせながらかざす。

 意識がもうろうする中、口を開き唱え──


「──祖は顕現せよ!竜は己の道を示し支えてくれた。それは尋常のない戦記、たった一人の少女は戦場を駆け巡る──神聖魔法ファブニールクロエツァ」


 最後の力を振り絞って詠唱を唱えた。

 人々は神聖魔法を使うことを硬く禁じられている。それを無理に唱えた私は現在魔力欠乏症を患い顔色もさぞかし悪い。

 シェリンと魔力を共有しやっと耐えていられる状況の中、切り札で決めることにした。


「神聖魔法のぶつかり合い──理論上では未知の現象。やめなさいアリサさん! このままではこの空間が持ちません」


「私は勝たないと……いけないんです!」


 それほどまでに勝ちにこだわっている理由はある。

 その瞬間、幼き頃の記憶が頭の中を駆け巡らせた。


 そう、幼き頃の私は両親から除け者にされていた。どれだけ辛かった日々でしたのか今では想像できません。

 家族は父、母、姉、そして私を入れて四人家族。その風景はまるで楽しい家族団らんの姿。

 姉は技術者としての才能があり何よりも父から、母からも気に入られていた。


(もう、力も入らない……)


 昔を思い出している間、当然押されているのは私の方。

 遂には足の力が完全に抜け膝を付いた。


「互いの神聖魔法がぶつかり合い、制御ができない。こうなったら固有結界ごとを破壊してこの現象を封じ込めるしか……」


 ローズは空間に耐えられず必死に這いつくばった。考えはもうそれしかないと決意し実行に移る。


「アリサさん!此方へ」


 手を差し伸べてくるローズ。

 どうして敵である彼女が優しく差し伸べてくるのか思考が完全に停止した今、理解できない。

 瞳に輝きはなく呆然と見ることしかできない。気付けばシェリンも消えていた。


「お姉ちゃん……」


 何故か急にローズの姿が姉と重なりあった。

 姉は私に対して何時も優しく気に掛けてくれた。その笑顔を見る度、何度救われたか数えきれない。


 どうして忘れてたんだろう……私の為に色々と考えてくれたお姉ちゃんに酷いことを沢山。

 姉に魔法の才能が無いことを知った時、何処か吹っ切れたのか何時しか姉を見下していた。


 それがあったとして姉は変わらず接してくれた。嫌い、嫌い、大嫌い。違う……私はお姉ちゃんが本当は


「私は……生きて……お姉ちゃんに謝りたい!」


 最後の力を込め彼女の手のひらを掴む。


「転移術式発動。脱出の際の衝撃に耐えて」


 ローズは転移術式を発動しこの空間を抜け出そうとしていた。理屈的にはここからの脱出をし、固有結界を閉じる。そうすることで危害なくこの事態は解決できると見込んだようで。


「うっ!」


 私の視界はその瞬間、真っ白な光に包まれた。



読んでくれてありがとうございます!

ブックマ登録の方も宜しくね。


結構投稿するの遅れてすみません

頑張ります

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