39.セイクリッド四天王VSアストレア姫
バトルシーン結構大変だった。
もっと面白い戦闘描写を書けるよう頑張りたいと思ってます。
「その提案、御断りさせていただきます!」
「「!」」
その言葉ははっきりと宣言したように強かった。周りに居たものが誰もがこの状況に彼の言った提案を受けるであろうと思われていた。
しかし、そんな幻想は討ち滅ぼされた。
そう────彼女によって。
「はぁ?本気ですの」
「これは驚いた。まさかまだそんな心を持っていたとはね」
彼らはお互い彼女の宣言した事に同情が感じられた。
こいつ本気なのか。マジなのかと。
「ええ───私にはやらなくちゃいけない使命がある。それは貴方方に関係のなく学院全体でもない───私個人の問題なんです!」
この場誰もが初めて見たであろうこの力強い表情。
これがアストレアとしての威勢なのかそれとも自信なのか?と思いながら呆然として見ている二人。
そう───私には使命がある。それほど意味のない事だけど彼女を私の日常を、戦うことのない日々を取り戻すためにも今は戦う!
彼女は心の中で胸の奥底で誓った。
「だからそこを退いてください!」
「中々面白い子だな。少々聞いていた情報とは異なっているな」
「正義感が強くて何よりですわ。最も敵ではなかったら良かったのですが」
先の道を封じる二人に投げやった。
「俺たちと戦う気があるってことか......掛かってきな!」
「丁度二対二。存分やりあうとしましょうか」
その途端、とてつもない覇気が私に巡らせてきた。本気という顔。
今まで戦ってきた相手より更に上の......
「嫌、一人で充分です」
「何?」
前に出て来て一人だけ戦う宣言した私。これにはアリアもましてや相手も驚いていた。
「一人だけって大丈夫なの?わたくしたちはここの四天王───」
「四天王だから何?強さが全てじゃない。それを証明させるために私は一人であなた方を打ち倒します!」
セイクリッド魔法学院のルール、強い者が全てという概念をここで打ち倒すべく考えた。
どうもこの人たちは根本的な事を間違えている。
力より実力が全てってことを。
「ノワールお願い力を貸して───」
私は首に下げているネックレス、黒い球体の宝石に向かって言葉を言った。
『リョウカイシマシタ。マスター』
黒い球体は光だす。
「まさかそれは......」
「はは、マジかよ」
ようやく何かに察したのかこれを見て驚愕していた。まさか持っているなんて思っていなかったというように。
「これが私の魔導神器──ノワール。さあ勝負の続きをしましょう?」
途端、容赦なく武器形状態になったノワールを振り回す私。
結構重たいが中々の代物だ。
「バスターソード......物騒な武器を」
「使いこなしているあの子も凄いけど......強い」
二対一の勝負は圧倒的に私の方が有利だった。相手も裏をかいての攻撃は結構手こずるがそれなら此方も裏をかいたらいい。
「ラグナブレイク!」
重たい重心の掛かるバスターソード(ノワール)を構え回転切りをする。
それが剣技の一つ。
「氷の盾」
セシリアはその攻撃を防ぐため全体にシールドを展開させた。
「月影斬」
序列三位の《斬月》はそれに対抗すべく同じく剣技を使用する。
月影斬という剣技によりラグナブレイクは止められる。そしてその同時にセシリアが魔法で私の動きを拘束してきた。
「甘いわ!」
「魔法で作られた鎖。それも高精度な魔力の塊───」
「貴女を封じるためにはこれぐらいは必要でしょ?」
拘束されて身動きも取れない。ましてや魔法の発動もこの鎖のせいで封じられている。
「ソフィアちゃん!」
アリアは心配そうに名前を叫んだ。そういや、アリアも見てたんだっけか......
負けられない。この戦いアリアには戦わせる事は出来ない。
彼女の心配そうな顔を見てそのような気持ちで一杯になる。
「負けてたまるものですか!」
魔力で出来た鎖を破壊した。身動きの出来なかった状態から解放出来た理由は体全体に魔力を浸透させたからだ。
「まさか破壊するとは!やはり面白い子だな」
「この技を攻略できた人は貴女が初めてですわ」
「はぁ~はぁ......うっ!」
体に魔力を浸透させたせいで心臓に痛みが生じる。これ以上あれと混じり合わせたら不味いな。
眼を手で抑える。
多分今、この眼球は緋く輝いているだろう。
「さあ休んでいる場合じゃありませんわ。もっと掛かってきなさい!」
「言われなくてもな!」
加速、回避の繰り返しまたは魔法の撃ち合いなど互いの剣がぶつかり合い火花が散る。どの攻撃、どの戦略を立てたとしても相手二人には敵わなかった。
どれも攻撃を封じ込められ気が付けば戦略的に私の方が不利となっていた。
「もう諦めたらどうだ?その様子だと疲労も貯まっているだろう。」
「はぁ~はぁ。流石にしんどい......」
(ノワールの顕現時間ももうそろそろで終わりそうだしどうすれば......)
深く悩んでいた。最初は二人相手なら何とか勝てるだろうという思いがあったが今となってはこの様。
結局は二人相手は不利すぎる。でもアリアにこのような次元の違う相手と戦わせるわけには───
「そこまでです!」
一発の銃声が為り響いた。そしてこの声の持ち主は。
「ほう?君も参戦するのか?でも辞めておけ......君の攻撃は俺らには通用しない」
「やってみないとわからないじゃないですか!」
私の庇うかのように前に立つアリア。その手元には以前渡した動力銃を構えていた。
「ほら、足が震えている。君には彼女みたいな力は無いんだよ」
威勢に乗せて問い掛ける彼の言葉。
彼の言うとおりにアリアの足元は震えていた。恐怖が感じられる、それ程まで無理しているような感じの震え。
(アリア、本当にやめて......)
「貴女が立ちはだかるのであるなら容赦なく行かせて貰いますわ!」
「!」
セシリアも彼と同様に容赦なく突撃してきた。
それに驚いていたアリアは反撃するが当たらない。震えすぎて相手に一発も命中しない。
(やめろ......)
心で呟く。
「大人しく敗北しろ──負け犬が」
「私がソフィアちゃんを守るんだ!」
「やめろって言ってるだろうが!!」
その瞬間、私の体が壊れた。半分混ざり合うかのように───
そして誰も気付かれない程の早さで加速、アリアを守った。
「何?」
「これ.....は?」
アリアは気を失っていた。力が抜けて脱力してしまっている。
だが丁度いい。
この醜い姿が見られずに済むからな。
「フェーズ1解放。さぁ~始めよう」
相手に向かって挑発した。
目は緋く輝き体全体に緋い靄を纏っていた。
セシリアも斬月も私の姿を見て何が何やらわからずにいる。
「ノワール、形状変換──バスターソードからガントレットへ」
『リョウカイシマシタ。ケイジョウヘンカンヲカイシシマス』
私はノワールに問い掛けた。そしてバスターソードからみるみると形状が変換していきガントレットへと変わった。
「穿て.....」
拳を一点に集中して構える。拳に魔力の塊が形成される。
「あれはヤバい!セシリア、今すぐ彼女から退け」
「え?」
一直線でセシリアの胴体に目掛け最大の一撃を放つ。
「イカヅチの雷撃、ライジングハザード!」
ライジングハザードとは私の格闘術用のスペリオルアーツである。
雷系統の必殺技──もし食らったらどうなるか。
答えは戦意消失、戦闘不能となる。
腹辺りまで近づきクリンヒットさせた。
「キャーー!」
遠くまで吹っ飛ばされたセシリア。その姿は完全に撃沈していた。
「良くもセシリアを!」
怒りを表す彼。その対に自分も怒りを示す。
「お前ただのFランクじゃないだろう?今まで隠していたのか?」
「さぁ~?どうなんでしょうね。」
わざと知らない振りをした。そこまで勘づかれると厄介だからな。
流石にこの状況だと彼は間違いなく降参してくれる。
だから私は彼ではなくセシリアを目的に倒した。
「降参する?それともまだ続ける?」
にこやかな笑みで問い掛けた。
彼もあれを見てから戦う気力は無くしていると思われる。第一彼はセシリアが心配でここに来たと言っていた。
そのセシリアは今は一撃を食らって戦闘不能状態。
目的は完全に消失していても宜しいかと。
「ああ、降参する。先に行くがいい───だが、気を付けろよ」
「ん?」
「その先は多分二人が居るからな。学院序列一位と二位が。俺たちとは比べ物にならない化け物だ」
斬月はその向こうに続く先にこれと比べ物にならない強敵がいると教えてくれた。
やはりこの人たちは何処か優しさ、善良さを持っているのかもしれない。
降参の確認が取れ解放していた力を解除し、ノワールも球体型に戻した。
「そう言えば聞くの忘れていましたけど先輩の名前は?」
「俺か?俺はレウス・レーデスト。覚えなくてもいいさ」
レウス・レーデストといえば先日、ニュースにも載っていた気がする。
確かあれはかの覇王と戦ったという若者がいた。その記事に載っていた名前はレウスと書かれていたような。
今、何となく私の頭に横切った。
(そんな相手と戦っていたなんてヤバいな)
「セシリア、すまない君を護れなかった」
「良いのよ......あれで。私たちの目標はあくまで......足止め」
途端、レウスは倒れているセシリアの所に駆け寄る。そして優しく頭を撫でていた。
それを見ていた私はあるキーワードに疑問を抱く。
足止め───どうして?
「レウス先輩とセシリア先輩。一つだけ頼みなんですがアリアをお願いします」
「ああ、わかった。あの子には悪いことをしてしまってすまない」
倒れているアリアを見てレウスは申し訳なさそうにしていた。
本気で戦うつもりは無かったんだろうか本当にすまなそうにしていた。
「それでは先を急ぎます。では───」
私は先輩方に別れを告げて先に進んだ。
時期にアリアを目を覚まして追いかけてくるだろうがその前にこの事態を解決させておきたい。
途中、校舎の外を見ると多くの生徒が倒れており次々と戦っていた。
「こんな戦い誰も幸せになんてなれない」
それを見て今の気持ちを言った。
誰も幸せになれない。傷付き合うだけの闘争は醜い。
この中で誰よりもそれを知っているのは私自身だ。
早く生徒会長を止めないと
「はあぁー!」
「とりゃー!」
すると突然声が聞こえてきた。誰かが戦っているようであった。爆発音も聴こえかなりの戦闘のようだが.....
(この声はもしかして?)
先から聴こえる声に聞き覚えがあった。女性二人の声。穏やかそうな特徴を持つ声とメリハリがあって前向きな声。
まさか......カノンとマリー!?
校舎三階に続く階段の近くで戦闘が繰り広げられていた。
「中々強いわね先輩たち......」
「もう~全然歯が立たないよ~」
二人は三階に続く階段を塞いでいる相手と戦っていた。とても強敵で歯が立たずにただ体力の消耗をするだけ。
そんな相手とは。
「でもそこまで持つのは凄いことだね。でも熟練度がちょっとだけ違ったかな」
「まあ諦めろ。俺も君達とは戦いたくはないんだ」
怠そうに空中に浮いている女性と武装も何も持たずにひたすら攻撃を回避するのみの男。
どちらとも敵とは考えられない優しそうな人達だった。
「そろそろレウスっちの情報によると彼女が来るよって」
「ふ~ん......ようやくか」
何やら会話をしている模様。マリーはカノンにサインをして「今なら隙がある」と伝えた。
「オッケーだよ。合図に合わせていこう」
二人は頷いた。今なら勝機があると信じていた。
武器を構え気付かれない程度に距離を縮める。
狙いは少女に目掛けた。しかし、その考えも次の瞬間ネジ塞がれる。
「今よ!黒き刃の咆哮──黒魔螺旋刃」
「うん......充填百パーセントオールグリン。エーテル・アクアス」
マリとカノンは己の最大の一撃としてスペリオルアーツを使用した。
小太刀術の技と重大砲の技。どちらとも威力は高くこれなら勝機は目前と確信していた。
「ふぅ~ん。隙を狙って攻撃......いいアイデアだね。でもちょっと惜しいかな」
しかし、その勝機も朽ちる。その思惑も勘づかれていたようで怠そうな少女は背後のマリーの攻撃を片手で受け止め尚且つカノンの攻撃ももう片方でシールドを展開し受け止めていた。
「何で!?同時に......」
「無傷ってそんなこと.....」
少女は傷一つもついていなかった。
かすり傷何一つ無くて。
「ほらほら行くよー!紅き摩天楼の輝石よ......シュベリオルライゼ」
少女は両手から魔力で固めた球体を作り出した。それを混ざり合わせ形成、拡大していく。
大きな球体が完成し勢い良く此方へと投げくる。
「一旦回避するわよ」
「う、うん」
あれは不味いと確信した二人は後退へと切り替えた。
ただし完全に回避するには時間が足りなかった。
したがって防御に専念するが......
「駄目、これじゃあ無理...だわ」
「ごめんなさい───アストレアちゃん......」
防御に専念するが思っていたよりも威力が強かった。
無理だと諦めようとした矢先、一向に攻撃が当たって来なかった。
どうしてと思ったマリーは閉じていた目を開く。
「間に合って良かった。大丈夫?マリー、カノン」
少女の攻撃を容易く防ぐ女性。その背中姿はとても頼もしくていとおしい。彼女は私たちの方に振り向き安心した様子で言った。
「アストレアちゃん......」
「もう~全く遅いんだから───ソフィー」
凛々しい姿が私たちの目に映っていた。
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ようやく安定してきましたが今だ活動復帰に奮闘中~
小説のクオリティーを上げるべく勉強し頑張ります。




