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幻焔の黄昏(トワイライト)~女の子に転生したらもっと大変でした~  作者: 夜空りえる
セイクリッド魔法学院編
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37.力の因果応報

結構読んでくれている人がいることにとても感謝してます!

全体的に見直し、修正、改善していきより良い小説に出来るよう頑張ります。

 

 セイクリッド祭が開催されてから一日が経った。昨日のセイレーンのライブを見たとき一部の過去の記憶を取り戻した。

 それが何なのか言葉では証言できない。

 唯一表現できると言えばこの力の原理全てであった事。そしてセイレーンという歌姫の正体であること。

 俺の心臓に流れる異物の正体。


「でもまだわからない事が沢山あるんだよな......」


 手を太陽に向けて伸ばす。今日はセイクリッド祭後夜祭となっている。

 そういう中、人気の無いところで寝転がって黄昏ていた。

 今日は特にすることが無く暇を潰していた。


「この力の根源はここからって言うのもねぇ.....」


 今度は左胸辺りを触る。触ったとしても心臓がドクドクと鼓動しているだけで何も違和感が感じられない普通のものだった。


 あれは───本当に何だったんだろうか?


 昨日見えた過去の記憶。伏せられていた記憶の一部であったようだがどうして忘れていたのだろうか。


 見えた過去の詳細は俺が大好きな歌手の歌姫セイレーンはあの子であった事に驚きを隠せれ無かった。

 成長した姿を見られて嬉しい反面切ない気持ちにもなる。


「ソフィアちゃーん!」


「!?」


 向こう側で元気良く手を振る少女の姿、幼馴染のアリアがそこにいた。

 俺も手を挙げて手を振り返した。

 そしてこの木影のところまでやって来た。


「やっと見つけたよ。まーたそこでサボっちゃって.....カノンちゃんやマリーちゃん達が呼んでるよ?」


 どうやらアリアは俺を捜しに来たようだ。折角人目につかないところにいたのだがどうやらマリーの能力で居場所を特定されたようだ。


「カノンちゃんから聞いたよ~昨日は相当はしゃいでたんだってぇ?」


 ニヤニヤと小悪魔風の笑みで見てくる。その顔はやめてほしいかな。


「はしゃいだっていいじゃない。アリアには関係のないことなんだからね。」


 反論するように言い返した。流石に負けていられないと思ったのかこれも男の意地ってものです。今は女の子だけど......


「それよりも聞いたよ?昨日、急に具合が悪くなったって......その───大丈夫なの?」


 やはりアリアにもあの件は知らされていた。発信源は多分カノンだろう。


「大丈夫だよ。へーきへーき。」


 元気アピールを全力でする。別にそこまでする必要も無かったけどとにかく心配性な彼女にはこれが一番効果的なのである。


「もし──また具合が悪くなったら私に真っ先に相談してよね?い・い・よ・ね?」


 やっぱり予想通りの目が怖かった。ハイライトもうっすら消えかかっていたようにも捕らえた。

 いつかヤンデレ化でもしそう......


「後夜祭──そう言えば夜行ダンスが開催させるって聞いたけどソフィアちゃんは参加するの?」


「夜行ダンスー?」


 夜行ダンスというのに疑問に浮かんだ。去年と一昨年にはそのようなイベントは存在していなかった。

 それが今年に限って開催させるのも変な話ではある。


 とにかく私は参加しない。ダンスなんて苦手だしアストレア家の集まりでもした覚えもある。


(あの時は大恥かいたなー。)


 ダンスが致命的に苦手だった私は盛大に転んで恥ずかしい思いをした。

 ......もうあんな思いはしたくない。


「そう!その夜行ダンスに参加するかどうか聞いているんだけど.....」


 もしもじと下を向いているアリア。それは何処か恥ずかしそうで───


「私、参加しないよ。だってめんどくさいんだもん~」


「え───そんなぁ~」


 何か割れる音がしたような気がした。幻聴なのだろうか?


「取り敢えず早くいくよ。遅いと二人に迷惑かかるからね。」


 遅かったら怒られそうなので急ごうとする私。今だ落ち込んでいるアリアに少しだけ慰めをいれる。


「それはソフィアちゃんが言えることではないでしょー───!」


 大声で私の耳元に叫んできた。顔を真っ赤に染めぷんぷんと怒りを示していた。

 流石に起こらせ過ぎちゃった♪


 ───何があっても変わらない。この力の存在など今は関係ない。

 このぐだくだする毎日がいつしか楽しい気持ちへと変化していた。


 この日常は必ず守って見せたい。しかし、そんな日々など続くはずもなかった。


 それが運命なのだから。決して運命を変えることは不可能。

 この世界は○○によって決まっているのだから。



 ───三年Aクラス教室


 あれから教室に戻ってきた。教室に戻ったとしても居場所をなどない私にはそれがとても憂鬱だった。

 帰ってくると当然、出迎えてくれる人は少数であるがいた。

 それらは全て関わりを持った人達。


「やっと帰ってきた。アストレアちゃーん!こっちにお出でよ。」


 中で此方にお出でよアピールをしてきた。


「ほら、皆が待ってるよ。」


 背中を押される。皆が待ってるってどういう.....

 その意味が良くわからなかった。


「遅かったわねアリア。ちゃんとソフィーを連れて来て安心ね。」


「大変だったんだよ~」


 何の事かさっぱりわからない。彼女らが何がしたいのかも。

 私が連れてきた意味って本当にあったのだろうか。

 嫌、それとは別に私という存在が必要だったのか。


「あの.....これはどういう?」


「その雰囲気だとまだ何の事かわかってないんだね。」


「説明してなくて連れてきたの?」


「ごめんなさい。つい言い忘れてた。」


 三人ともは何を企んでいるようだった。嫌な予感はとても感じる。何故かは知らないけど......


「まあ此方においで。騙されたと思った感覚で良いから。」


「う、うん?わかった。」


 三人の真ん中に居座る。真ん中しか空いていたの仕方なくね。

 何が起こるのだろうか不安な気持ちで一杯だった。

 この子達に限って余暇ならぬ事はしないと信じたい。信じている!


 パシャリ────


「え.....?」


 先程、変な音が聞こえた。この音はどう見てもカメラのシャッター音それしかなかった。


「ようやく取れたー!」


「見せて見せて~結構上手く撮れてるじゃん。」


 三人とも端末の画面を見て嬉しそうな笑みをした。そしてその中で一人状況の把握もできず取り残されていた。


「ほらソフィアちゃんもこれ見て。」


 ようやく端末の中を見せてくれた。それを見たとき私は───


「......これって.....」


「私たちの記念撮影ですわよ。」


「アストレアちゃんが可愛く写っていて本当に好き。」


 その一つの記念撮影で撮った写真の中の私はとても笑顔だった。無意識に笑顔をしていたのかと思うと少し照れくさくなる。


「私たち皆、これからもずーと一緒だよ!仲間なんだから───」


「ソフィーはもっと....私たちを頼ってくれてもいいのよ。仲間なんだから。」


「アストレアちゃんは一人じゃない。だからね──こうして一緒にいられるだけで嬉しいの。」


 照れたように一人一人がソフィアに向かって今、言いたいことを伝えたいことを言った。

 少し沈黙した。一緒にいたいという気持ちがどれだけ嬉しいことなのかわからない。

 どうしたい、どのようにしたいのかも考えれない。

 しかし、たった一つ言えるのは皆が支えてくれていること。


「み、皆さん.....ありがと♪私もカノンやアリア、マリーと一緒で楽しいよ。」


 だから感謝の気持ちを込めて今度は私の方が今、伝えたいことを言った。

 この気持ちは今しか伝えられない。今度、何が起こっても可笑しくないこの体に不安な気持ちもあった。


「これから私たち四人で最後のセイクリッド祭を楽しもうよ。」


「いいね早く行こ行こ!」


「元気が良いわねリーちゃん。」


 楽しそうにしていた皆を穏やかそうに見つめた私はやはりこの人達は相変わらずというかなんというか。

 入学当時は考えもしなかった楽しい学院生活。最初こそ自ら印象を悪くさせ結果めんどくさくなったのは今でも後悔はしている。

 だが、その選択によって出来た友人や信頼できる先輩が出来たのもまた事実。


「何してるの?早く行くよー!」


 アリアは私に向けて急ぐかのように言った。余程楽しいのだろう。

 私も楽しいさ。

 こういう生活も悪くないのかもしれない。遅れた青春を今からでも埋めれることが出来るのなら私は───変わりたい。


「うん、わかった。今行くからそんなに急がないの。」


 皆と楽しく横に並んでセイクリッド後夜祭を楽しむことにした。今だけは素直になっても良いよね。


 楽しむ事一時間が経過した。その一時間は夢のような時間な気がした。

 アリアは相変わらずのど天然で笑いに包まれるしカノンは逆に面倒見があるお姉ちゃん見たいだった。

 マリーはクールでありながらも皆の事を考えている優しい子だ。

 こういった個性のお陰だったのかもしれない。


 私は皆から妹のように扱われてちょっぴり嫌だったけどそれが何時しか抵抗感も何処かへ消えていた。


(途中から甘え癖が出てるって言われた時はとても恥ずかしいかったな。)


 屋台に向かっては皆で何食べようかと考えていたとき私だけ異常にパフェが食べたいと甘えていた。

 その姿が何とも可愛くてぎゅーと抱きつかれたのは今更ながら大変だった。


 別に私が悪くないんだからな。可愛くもないし!


 皆で会話を楽しんで普段聞けなかった皆の話が聞けて結構興味深かった。

 アリアは幼馴染だから当然知っているけどマリーやカノンの裏話を聞けたことは親友としての一歩近づいたことであろう。


「今度はあそこ行ってみようよ。」


「確かイベントが開かれていた場所なのは聞いたけど。」


 彼処ってまさかあれの事?

 その場所は具体的に言うと講演が行われているところである。

 目の前に見えるのは何やら人だかりが出来ていて賑わっているとは別に真剣な雰囲気が漂っていた。それを見て私もそうだが皆も興味本位で集まっているのだろう。

 結構気になるなぁ。


 横では興味津々に目を輝かせているアリアが居たのでここは行ってみることにした。

 特にこういったオチは無いだろうと思っていた私だったが予想とは的外れ。

 この人だかりはある生徒によって作り出されたものだった。


「───生徒会......」


 小声で呟いた。人の中心となっている人物は生徒会副会長であった。

 何やら演説みたいな事をしているようだが.....何だろう?


「僕たちは今こそ変わるべきなのです!生徒会長の時代はもう終わり。これからの生徒会を担うのは僕です───ですから皆さんのご協力が......」


 副会長の演説は生徒会長の対抗によるものだった。どうしてそのような事をしているのか知るよしもない。

 今更生徒会長に対抗するのも馬鹿げた話───生徒会長は学院の覇者と呼ばれた方なのだから勝てるはずもない。


「アリア、興味ないから別の場所行こ。」


「ちょっと待って。さっきの言葉.....」


「さっきの言葉って?」


 この場から離れようとするがアリアに制止された。カノンもマリーもどうしたんだろうといった顔をしていて当然私もそんな感じだった。

 副会長の演説に何かあるの......


「!!」


 当然私の左胸に激痛が走った。咄嗟に胸を掴み苦しむ。昨日とは格の違う痛さで思わず視界が薄れようとしていた。


(これは.....まずい。)


 痛みは次第に強く増していき声も遠くに聴こえるような感覚になる。


「だ......ぶ!」


 誰かが私に向かって喋りかけていたのは何となくわかった。視界も薄く目の前に誰がいたのかも確認できない。


 ヤバい......これ以上はもう......


 そして何も聴こえなくなったとき何処からか声が聞こえてきた。


『メザメナサイ───アナタハエラバレシモノ』


 誰の声?優しそうな女性の声が耳元から聴こえた。少々片言で聞き取りづらかったが目覚めろって何に......


 選ばれし者って何に選ばれたんだ?

 いきなりで状況が把握できない。今、何処にいるのかもわからない。

 真っ暗の暗闇の空間のみ。

 誰も人もいない私一人だけの孤独な空間。


「誰かいるのか!」


 叫んだとしても返事は返ってこない。先程の女性の声も聴こえない。

 当然、体から心臓辺りが光だした。


「焔......?」


 その一瞬だけの出来事を見た途端視界は完全に真っ暗となった。





 *


「ソフィアちゃん!起きてよソフィアちゃん!」


「嘘でしょ.....あんなに元気だったのに。」


「誰かー?医務室の先生を呼んできて!」


 突然胸を抑えて倒れたソフィアをこの場の生徒達が心配そうに見ていた。

 アリアは涙目で意識のないソフィアを必死で問いかけようとしていた。

 だが───反応は一切しない。

 顔色も悪く手も冷えきっていた。


「医務室の先生がやって来たわ。ほら、アリア泣かない。心配なのは私も一緒。」


「大丈夫よ。きっと目を覚ますって。」


「───うん.....」


 ようやく事態は収縮したようで一安心したギャラリー達。

 それを見通したかのように裏で計画していたもの達が遂に動き出そうとしていた。


「さぁ───ようやく舞台が整いこの時が来たようです。始めましょうか?ソフィア・アストレアさん。全校生徒を巻き込んだ闘争を......」


 校舎三階の窓から下を覗いていた女性は悪質な笑みをしていた。


「そろそろあなた方の出番ですよ。」


 背後には四人の人影がいた。誰もが武装を準備して如何にもこれから戦いでもするかのように。


「セイクリッド学院四天王の皆さん。」







読んでくれてとてもありがとう!読んでくれるだけで私はとても嬉しいよ。


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活動復活奮闘中~

頑張ります!

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