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幻焔の黄昏(トワイライト)~女の子に転生したらもっと大変でした~  作者: 夜空りえる
セイクリッド魔法学院編
25/49

23.私を怒らせたので少しだけ本気を出す

今回は超長い文章です。


明日の放課後、決闘が行われる事に決定した。今日は教師たちに解放され家に帰ってこられた。疲労でソファーに寝転がる。


『疲れた~。』


色々と疲労がたまり何時も以上にだらける。あの後、先輩たちに深刻な面持ちで駆け付けてきて事情を全て説明した。納得した表情で災難だったねとかドンマイ!とか言われた。


学院側にとっては今日にでもEランクを排除したいらしいと言う。面倒な話だよな。学院の評価を下げたくないと主張する教師を見て殴りたくなったのは止しとして明日のどうするか考えないと。


寝転がっていた体を起こし頭を悩ませる。


(取り敢えず先ずは勝ち目があるかどうかだな。相手は四人がかりと俺にとって不利な状況なんだよなぁ~。)


本来の力を解放しても勝てる保証はない。何故かと言うと昔から集団相手には苦手分野なのだ。ましてや学院内で魔力を伏せている。体術で挑もうとしても相手は厄介であろう魔法を駆使してくる。


考えられるのは一つ。今日、思わず使用した()()を使うべきなのだろうか。この際だから説明しよう。あの力は魔法ではない。


正確には魔法だがこの世に存在しない。それでは矛盾してるではないかと感じるがこの事は後程。


魔法を粉砕する能力である。未完成途中の代物なので反動が強い。まあもう一度見られたので隠す必要も無さそう。だから奥の手として取っとくべきには調子に良い。


「その前に───アリアの様子を伺ってみるか。」


頭の思考を切り替えてアリアの部屋に行こうとする。もう帰ってきているだろうから少しぐらい言葉を交わそうと扉の前に立つ。トントンっとノックしてみる。


「......だれ?」


少し間が飽きながらも返答してきた。その声は弱々しく元気に無さそうな小さな声。聞き取るのに苦労したがはっきりと『だれ?』と聞こえた。


「アリアちゃん。私だよ。ソフィア。」


出来るだけ優しく接そうとする。


「話があるから入っても良いかな?」


俺がそう切り出してから無言が続く。やがて扉が開かれた。これは気持ちの整理が出来た合図なのでしょうね。中へと入る。


アリアの部屋は三回ほど入室した事があるがこうして再び入るとは思わなかった。俺の部屋と違って物が多く、どれも可愛い系。


流石ザ・女の子って言える部屋だ。俺も見習った方が良いのか?と感じたりしたがまあ人それぞれだろう。


部屋の感心している場合でないので再び引き締め直し視線をアリアに向ける。


泣いていたんだな。


顔を見ると目元が赤く腫れ上がっていた。差ほど酷い訳では無いが女性としては致命的かつ気にしちゃうところ。左手を強く握り胸が苦しくなる。


「......」


「......」


どう切り出せば良いんだ!?

お互い無言が続く状態で気まずい空気。このヘタレ野郎!何で肝心な時には黙っちゃうんだよ俺!

心の中で自分に対する文句を言った。


「あ、あの。」


「え、えっとそのぉ。」


偶然なのかお互い噛み合った。俺から仕掛けた事なんだからしっかりしないと。勇気を振り絞って口を動かし。


「今日は災難だったね。....何と言うか自分を責めないで欲しい!アリア.....ちゃんは何も悪くない。それは私が保証する。だからもう泣かないで。ね?」


何とかして慰めようとする。今日あったことを俺は知っている。一方的にあいつらが悪だと確定できている。アリアはそれに巻き込まれただけ。泣き止んでいた姿も気付けば涙を流す彼女。

彼女も俺に言われるまで気付かなかったのだろうか手で顔を抑えた。

もうその姿が見て耐えなれなかったのかゆっくりと彼女を抱き締めた。


「ふぇ?」


行きなりの行為だった為、驚いてしまったようだ。


「もう大丈夫だから。辛かったよね。悲しかったよね。」


優しく頭を撫でる。彼女の髪が手に触れて良い匂いがした。


「ぐすん、あ.....ありがとー。助けてくれて。私、怖かった。何も出来なかった事が凄く辛かったよぉー!」


我慢が吹っ切れたのか盛大に泣いていた。この光景はあの時の頃を思い出す。友達になったあの日。お互いが信頼できる中になった切っ掛けのあの日。


この瞬間、俺はある決意をした。何としてでも、どんな手段を使ってでも俺は───アリアを護ってみせる。


そんな決意を。



時間が進み放課後がやって来る。とうとう来てしまったか。珍しく授業が短く感じれた。何時も暇そうにしていたからそう見えただけなのか?


準備は万全。体の異常も無し。闘技場に向かう前、アリアに応援されそれを見に閉めて受け取った。途中でアルバートとレナに出逢っては「頑張ってね♪」とか「頑張れよ。」と暖かいお言葉をもらった。


何故、このような面倒な事態になったのだろうか。それは俺が首を突っ込んだから。昔から何とかしたい、誰かのためにと。これが俺を動かせる動機であった。


他人からしたら余計なお世話だと思われていた。それで良い。俺は皆が幸せになれたらそれで良い。その代わり自分が犠牲になればと。どうせ掴んだ幸せもすぐに終わりを迎える人生だったんだから。


この第二の人生では幸せを手にしたい。そう思っていたのに──姿が変わってもやっぱり変わらないのだと実感した。


一歩、一歩前進しフィールドに立つ。


「やっと来やがったか。」


「遅かったが途中でビビったのかと思ったぜ。ははっ!」


「ぶひぶひぃー」


「僕らを待たせるとかどれだけ自意識過剰なんだ君は。」


現れてた。とても凄くムカつくモブたちのご登場。正直、モブ過ぎて物語的に要らない。本当、こんな奴が俺の邪魔をしやがって。


「おい!お前さっき失礼な事考えてただろう?」


おおっといけない、いけない。顔を表情的に悟られたのでしょう。


「別に何も失礼な事はしてませんよ。君たちにそう見られたのならごめんなさいね。」


少々嫌みぽく言ってみる。


「そう反論出来るのも今の内だぜ。これから酷い目にあってもうからよ!」


どうしてか笑いながら辺りを見渡していた。それに気付き俺も周囲を見渡すと続々と人が集まってきてる。観客席に。まさか...。


「俺らが広めてやったんだぜ。決闘するにはリスナーは必要だろ?」


これは大事になってきたぞ。観客ややや多くはないが試合に興味があるのか少々だった。これじゃあ現時点でEランクの俺はこの人前で本気を出すことが出来ない。


昨夜、アリアを護るためどんな手段でも使うと言った。その意味は力を隠さず本気モードで挑むと決意した。だが、これだけの人数であると難しくなる。出来るだけ力を集大に表せたくない。


「なんだ?ビビったのかぁ?ははっ。そうだよな。お前目立ってるしな!」


こいつ、図りやがって。

奴らはこれが狙いだったのかも知れない。Eランクの俺を集団で虐められる見たいなものだ。今も観客の中では笑っている者がいる。その笑い例えるとまさにゴミを見るような瞳。


「全然大丈夫ですよ。それよりも君たちがもし負けたらどうするんですか?」


「ふっ。こいつ、俺たちが負けるだとぉ?ありえない。」


「自分で勝つ宣言しちゃってますよあいつ。カッケェー!───どこまで英雄気取りだよ!」


盛大に泥を吐かれてしまった。自分より格下の人物に反論された苛立ちと舐められた感。それらが混ざりあって四人は怒りを露にしていた。


「戦う準備をしなくて良いのですか?見た感じ準備されていないようですが。」


奴らは本当に素人だな。


戦闘するにあたって準備するのは必要なことだ。現在、俺が拳に身に付けているものはアーマだ。


体術を使用するに怪我と衝撃を最小限に抑えることが可能。靴にも細工している。鋼鉄な硬さと重さのシューズ。


こんな物を生身で食らうと相当なダメージを与える事が出来る。これらが俺が準備してきたことだ。


それに違って奴らと来たら......普段と大差変わらない姿。防御するための装備も無し。全て魔法に頼る前提であった。


魔法は強力で尚且つ壮大な抑止力も持つ。だが、今の時代、人々は魔法に頼りっきりになっている。その為、出生した凄腕の魔術師だとしても死ぬ確率は高い。


魔法だけが強さではない。この場にいる人たちに現実を見せてやるか。


「それではこれより模擬戦を開始する。各自魔法のセーフティ展開準備は完了しているな。それでは───はじめ!」


開始コールを掛かった後、最初に攻めてきたのは奴ら四人の一人だ。あの中で一番強そうで実力を知らない。


「おらぁ!スパークショット。」


雷属性の魔法。スパークショットは初級魔法だ。細い電気のビームが指先に乗せて放つ。接近した状態で放たれた為、回避できない。咄嗟に手で衝撃を受け止める。


「う!」


衝撃に耐えることは出来た。だが、ダメージを諸に食らった。腕辺りは麻痺している。


「今だ!皆、一斉攻撃。」


「了解!」


気付けば残りの三人に包囲させていた。魔法を発動準備をしており逃げ道もない。


どうする。どう回避すれば。


そう考えている内に三人の魔方陣は展開される。水、風、土といった属性。これを同時に食らったら多分死ぬ。


「ウォータースライサー」


「グランドプレス」


「トルネード」


間に合わなかった。俺は三人の魔法を諸に食らう。痛い。それに呼吸が上手く出来ない。体勢が乱れてしまっている。このままではやられる一方。


魔法同士がぶつかり合い視界が良く見えない。


「やっぱりな!Eランクの奴、気の毒に。」


「四人係で勝敗なんて最初からついていたものだよねぇー。」


「でも流石にやり過ぎてはないか?」


等々、多々の意見が飛び散らす。


「おおー。これを望んでいた!リスナーどももっと言え。Eランクこの学院から追い出せ。」


一人が大声で宣言した。これらにより次第に伝染していき言葉の暴力が始まる。消えろ!やEランクの底辺をもっと痛め付けろ!コールが。


観客の声と共にヒートアップした奴らは俺を囲み四人で魔法を連続発動をしていた。防御に専念し攻撃を何回も何回も受け止め脚で踏ん張るのもキツくなってきた。今にでも倒れそうだ。


両腕がスッゴく痛いし折角の綺麗な腕かボロボロになってるじゃないか。腕の皮膚が至るところ剥がれ痣か出来ていた。血も流れ一向に止まらない。腕に力が入らない。そうなればとる行動は一つ。


「余所見しない方が良いですよ。」


相手に接近し拳ではなく脚で攻撃する。我流蒼龍極破を使用する。体を回転し首元に脚を引っ掛け地面に叩きつける危ない技。


相手の一人は余所見していた隙に技を掛けることが出来た。


「てやぁぁぁー!」


「な!ぐあ!」


叩き潰し一瞬『ぐしゃ』とエグい音が聴こえた。地面は切れ目が入っており手加減も容赦なく潰した。相手は目が白目を向け動けなくなっていた。再起不能状態まで追い込んでやった。


「なんだよ。お前何を......。」


「おい!しっかりしろ。」


相手の仲間は戦闘不能になった彼を呼び掛けるが応答はない。気絶させたのだから。


俺は怒っている。何に対してか。アリアを泣かせたこと、俺の腕をこんなにした奴等を許せない。


リミッター解除。セーフティ解除。本気モード発動。魔力五十パーセント解放。身体能力強化並びに再生治癒能力オート。これよりソフィア・アストレアは目の前にいる敵を───一掃する。


「なぁ?君たち。私を怒らせた対価は相当なものだよ。あんたらに今から地獄ってものを見せてやる。」


「じ、地獄だと。笑わせないで欲しいなー。僕たちがEランクに負ける訳が───。」


走る速度を上げる。背後を狙って駆け走る。


「き、消えた!?」


俺の体は消えたように見えるがそうではない。瞬間移動したと言えばわかるだろう。人間の限界速度を越えると周囲からは瞬間移動した風にとらえられる。中に時魔法のアクセルは魔法で瞬間的移動が可能。俺の場合は違う。大量の体力を消費し全力で走っている。


「後ろだよ。」


「なに!」


背後を取り相手の首元に手刀で軽く叩く。


「ぐあぁぁ!」


悲鳴をあげる。その光景を見ていた残り二人は足元を震え一歩下がりながら顔は青ざめていた。


容赦なくいくから覚悟しとけ!


残りの奴等に突進する。


「やめろ、やめろよぉー!おま、両腕使えないはずじゃ...。」


「ぶひぃー!(あいつ倒してくる)」


お。良い度胸じゃいか。良いだろう次はお前に決めた。


自ら突進してくるのは太ったぶひぃーの言葉遣いが特徴な男。魔法展開していたので俺も同じく魔法を展開させる。


「グランドプレス。」


甘い!その程度の攻撃等を何度も通用すると思うなよ。


右側に避け受け身をとる。直ぐ様立ち上がりまた走る。相手は避けられた事に恐れをしたのか今度は別の魔法を連続放ってくる。が俺は綺麗に回避する。それは正しく踊ってるかのように。


「チェックメイトです。あの世で逢いましょう。穿て|雷突拳(ライジング・アッパー)!」


上級魔法ライジングアッパーとは拳と魔法をリンクさせ相手の顎に狙って攻撃する極めて危険な魔法である。拳に雷魔法、雷のオーラを纏いながら体を引き勢い持って突き上げる。


「ぐにょぉぉぉー!」


「気持ち悪いので砕けなさーい!」


天上に目掛けてアッパー攻撃をする。相手の顎がぐちゃっとエグい音がしたが気にしない。遠く離れた距離までぶっ飛ばした。


「はあ~はあ~。次は......。」


少々やり過ぎたかな?大丈夫ですかねー。

太ってた男は地面でピクピクと動きながら気絶していた。危うく殺意が芽生えていたのかも知れない。


でもこれで残り一人。これに勝てば勝利は目前。体力を大量消費して動けない。どうする!


「お前たち.....良くも!ははっでも君はもう動けそうに無いようだね。諦めたまえ。望むのであればあの時の事は無しにしても構わない.....よ?」


無しにしてくれるのはありがたいけど納得がいかない。

最後の一人は今だ強気でありながら体が震えている。冷や汗もかいている。これ以上は戦っても勝ち目はないと判断したのだろうか?どこか怯えている様子。


何時もの俺だったらその要求も了承しただろう。そちらの方が早くて手っ取り早い。これ以上戦わなくて済む。


しかし、納得がいかない。一発殴りたい!結果、俺が決めた決断は。


「御断りです!私は少々怒っているんですよ。貴殿方がやった処置を許せない.....。」


そうして残りの体力を使って男に近付き殴り掛かる体勢を取る。


「ひぇ!や、やめ。」


俺の行為に涙目で鼻水を流していた。汚いがこの際、気にしなかった。ようやくこの勝負が終わるんだと。それとアリアを悲しませたコイツらに終止符を打てる。


「地獄に堕ちろ!」


「ひやゃゃゃー!」


最後の一撃をのせて顔面を殴──れなかった。正確には顔面スレスレの位置で止めていた。片方の手で抑えて。


俺は.....どうすれば良いんだよ。本当にこれで勝って良いのか?アリアはこれで幸せになれるのか?彼女はそんな事を望んでいない。人を傷付ける事を嫌っている彼女なら今、俺がしている行為はそれに反することをしている。


嫌われても良い。親友じゃなくなっても良い。そうじゃない。俺が本当に望んでいたことは誰も傷付かない幸せな暮らし。今の自分はあの時と同じ───何人者の命を殺めてしまった生前。


怒り狂った感情に任せて色んな人を傷付けた。この場で彼を殺してしまうと後戻り出来ない。並びに生前に逆戻りになる。最後に選択した答えは当然。


「わかった。貴方の提案に乗ってあげる。その代わり、ちゃんとアリアに謝って。ね?」


「あ、ぶあい......」


力が抜けたのか気絶してしまった。失神状態だったけど大丈夫でしょうか?


「......こ、この勝負相手が再起不能によりこの者、一年A組ソフィア・アストレアの勝利とする。」


審判の先生も唖然としていたが思考を切り替え伝える。観客も静かり回っていた。少しボソッと声は聴こえるが何を話しているのかはここからではわからない。


「ウソ、だろう。Eランが勝っちまったぜ。」


「四人相手を一人で.....」


「しかもあれ見て!」


「鋼鉄な硬さで有名なフィールドに切れ目が。」


「あの雷魔法はなんですの?あのような威力を見たことがありません。」


会場が騒がしくなってきた。倒れた四人は医務班に連れていかれだが俺の体も相当なダメージと立つこともやっとの事。


色んな詮索される前にスタジアムから抜け出すかな。


身体能力を上げて走って会場を後にした。その後は医務班に見つかり連行されたのは言うまでもない。




医務室。医務の先生に連れていかされた後、チェックをされ怪我をしたところを手当て包帯を巻かれた。現在はベッドで絶賛睡眠中。他の四人も別の部屋で寝ているであろう。部屋は男女に分かれているだそうだ。何かあった場合の対応だと医務の先生が言ってた.....気がする。


睡眠といってもさっき起きたばかりなんだか。時間は十八時を過ぎている。そろそろ体も楽になってきたので動こうかとしたが一つ障害があった。


俺の寝ていたベッドに顔をのせて寝ていたのだ。ずっと見守ってくれてたのかと思うほど疲れていたのかな?


頭も撫でた。


「う、うにゃ~ソフィアちゃん~。」


一瞬起きたのかとビックリしたがそうでもなかった。寝言でも俺の名前を言うとか凄いかわいい。


女の子ってどうしてこんなにもかわいいのか。といっても今は俺も女の子だかね。


撫でながら髪を触る。前髪を退け顔を良く見る。何時も見慣れた顔であっても間近で見るのは初めて。心臓をドクンと鳴らせながら見ていた。


『本当にかわいい。生前の俺だったら惚れてたというか告白したかもな。』


「う、うー。ほわぁー。ん?」


微笑みながら見つ続けていたが触り過ぎたせいで起きてしまう。お互い見つめ合ってるとアリアは次第に頬を赤く染め上げた。


「おはよう。気持ち良く寝てたね♪」


「あ、あわわ。ソフィアちゃん!寝顔見られた。」


顔を両手で覆い隠していた。よっぽど恥ずかしがっている彼女を見て笑いが止まらない。


「笑わないでよ。も~う。ソフィアちゃんの意地悪。」


「ふふっ。ごめんごめん。そういうところがとっても可愛いよ。」


お世辞ではない。本当に可愛いから本音である。今、思うとこれって口説いているのか?と感じたがこの場合だと百合展開だろう。それは正直嫌である。


嫌だとしても異性とそう言う事も受け付けられない。第一男の精神は現在も残っている。とは言っても女性を恋愛対象としては見れない。尚且つ男性も無理。複雑な状態なのだ。


そんな話は置いておいて。真剣な態度に変える。


「どうしたの?」


それに気付いたのかどうしたのかと聞いてくる。


「.....ごめん。あの戦いはやり過ぎたかも知れない。アリアは人を傷付ける事が嫌いでしょ?私、そんな意志を無視してアリアの為にあの人たちを......

こんな私でも許してくれる?」


許しては貰えないだろう。アリアも当然、彼らのボコボコにされた姿を見ているはず。それを貴方の親友がやったんですよって相当苦しいだろう。決して涙を流さない。というか涙が流れない。こういう時に何で涙を流して弱音を吐くことが出来ないのか。


ミノタウロス戦のあれ以来、涙を流すことが出来なくなってしまった。これは皆に隠している秘密。本来は死ぬはずだった俺を助けてもらった。その副作用的何かで悲しみの感情を喪失してしまった。


「別にソフィアちゃんが謝らなくて良いよ。わたし、がもっとしっかりしていれば、誰も傷付かなかった。だからね.....わたしのためにありがとう。」


アリアは泣き出した。それを見て慰める。泣く姿を見ても自分は悲しみに溢れない。ただ微笑みをするだけ。泣くことが悲しむことが何れだけ嬉しい事なのか初めて実感した。




読んでくれてありがとうございます。悲しみの感情を失なった事が明かされ隠して続ける主人公。これがどう今後の展開に動くか楽しみですね!


ブックマーク登録、評価、感想等宜しく。


次回は来週の土・日曜日どどちらかになると思います。

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