19.魔力試験
GW何しようか考えている作者です。
魔力試験を行うため別の施設に移動させられた俺を含む新入生。皆は全く動じずに期待の志しであった。
「ねえねえソフィアちゃん。頑張ろうね。」
「う、うん.....。」
歩いている途中にアリアが小声で語りかけてきたので曖昧な返答をする。目的の場所に到着し二人の白衣を着た人物がいた。何かを語り出す。
「皆さん、初めまして。このセイクリッド学院で魔法研究をしています。フェルト・ルアンスといいます。そして此方が。」
「諸君、俺はウルフ・グローリアだ。」
研究者であるこの二人は丁寧に挨拶する。途端、ほぼこの場にいる生徒が驚愕と尊敬の眼差しになるのがとらえた。
そんなに有名なのか?俺は知らない態度を取っていた。ちょっと隣にいる眼鏡かけている見た目的に頭が良さそうな男子に聞いてみる。
「ねぇあの人って誰?そんなに有名なんですか?」
眼鏡男子は急に知らない女の子に声かけられて戸惑っていた様子だったが質問に返してくれた。
「あの人はウルフ・グローリア博士は魔法研究の第一人者。幾度のまだ見ぬ魔法を発見した若き天才。現在は古代魔法を研究して有名な人だ。」
「ふぇ?」
思わず変な声が出てしまった。何に驚いたのかはあの人が若いということ。てっきり年寄りかと思ったが見た目全然違うじゃん。
ようやく理解できたのがあれは変身魔法の類いだ。あの博士は自分の本来の姿を隠している事になる。じゃあ何故、この眼鏡男子は素顔を知ってた風に言うのか?
「まあ教えてくれてありがとう。」
お礼を言って真っ直ぐに向き直る。
「では今から魔力試験を開始する。この判定機に手をかざすだけで結構だ。簡単だろう。順番は誰でも良いから好きなように来てくれ。」
指示が出たら早速生徒たちが列に並び出す。最初に試験を受けるのは新入生主席の男と次席の女。どちらとも強者感が漂う。
あっ。説明しとくの忘れてたけど新入生は基本十三歳が基準らしく俺たちみたいに九歳から入学するのは例外中特別だ。先程から周りから浮いていたのもその理由になる。
「「うおースゲェ~!」」
何やら歓声が広がっている。俺も気になって見てみると彼ら彼女らは魔力数値的にAランク。説明しよう。
魔力にはランクがありSランクからFランクまで存在する。その中であの人たちはAランクを叩き出している。流石の研究者の方も驚いていますよ。
「この学院にAは五人ほど存在するが君たち二人を合わせて七人にか。面白い。それでは次!」
Aは五人存在してたんですね。この試験で魔法の属性適正も把握されるらしく先程の二人は男が稀にある時属性。女が光属性。どちらも特殊系統であった。
次ぎに試験を受ける人は眼鏡君だ。彼も見た感じ相当な使い手になるであろう才覚を持ってる。
「おやおや、またこれは凄い。」
「ありがとうございます!」
眼鏡君の魔力数値的にBランク判定。だが、これから鍛えたらAに昇格できる。
「凄いねあれ。大丈夫かな──私。」
「アリアちゃんなら大丈夫だよ。」
それからも高数値を叩き出した者、至って普通だった者、ちょっとだけ劣ってる者等々。そんな人たちでもCかD辺りであった。
次に試験を受けるのはこの───見た目頼り無さそうな護衛の彼女。今でも眠たそうな顔をしているのに本当に大丈夫かな?心配になってくる。
「「うおー!!」」
予想と違った光景が流れる。ステラの数値はますます上がっていきSランクに届きそうなところで止まる。
それでしか顔の表情もあの時に見た凛とした美しい彼女の姿。男子からは顔を赤らめている。これがレインシィア家の本気。もしも生前にあんな敵が居たら確実に負けていただろう。
「流石はレインシィア家の御息女だ。期待しているぞ。」
コクっと頷いて歩く。彼女の周りには集団が形成される。その中にAランクの主席と次席も居た。
「凄いね君。僕はエドワード。エドワード・フラッグスだ。宜しく。」
「貴方凄いね。私の名前はフェリス・クラレント。気軽にフェリスと呼んで良いよ。ステラ。」
「ん?宜しくエドワード君、フェリス。」
遠目から見て楽しそうな雰囲気。でも俺にとってあれはごめんな光景だ。次はアリアの出番。不安そうにしていたので元気付けるために。
「がんばれ。」
と背中を押した。アリアも理解したのか笑顔が少し見えた。俺もそろそろ準備するため魔力を抑える。
全てを解放するとSランク以上を狙うことは可能だ。でも俺にその気はない。魔力を極限に落としこれで平凡な魔力を持つ人の完成だ。
アリアの結果は、Cランクであり鍛え上げたらBを狙えると知り喜んでいた。その可愛らしさが男子受けを獲得したことは多分彼女自信気付いていない。
正直に言ってグジョブです!
遂にやって来た俺の出番。緊張する。何に緊張するのかは間違えて力を込めてしまった場合注目の的になる。それだけは極力避けたい。ゆっくりと手をかざす。判定数値が止まる。
「終わりましたよ。あれ、どうしました?」
研究者の方が動揺した様子と周りの目が少し可笑しい。何が可笑しいのかと数値を覗く。
「ふぇあ?」
過去最大の驚きである。数値が五百あるか無いかぐらい。
『あ!魔力下げすぎた。あははは。ヤバい。』
この感じだとEランク。まあFじゃないから良いか。
「おいおい、あれ。Eランクだぞ。」
「まさか私たちの学年にEランクがいるなんてね。」
「顔や容姿は可愛いのに勿体無いなぁ~。」
軽蔑される態度、がっかりされる表情がちらほら。
「そう言えば今年はアストレア家の御息女が入学すると言ってましたね。もしかして───。」
「あー駄目。駄目です。」
研究者のフェルトさんが言いかけるところで遮る。名前バレしたらどうなると思う。
当然アストレア家の名が傷付きます。ティアに迷惑掛けたくない。
「どうしましたか?」
「どうしましたか?じゃありませんよ。何この場でさらっと言おうとしたんですか。」
今の状態は何かこっそりと話している怪しさ満載の状態。周りは何事だと目をぱっちりと開いていた。
「ごめんなさいね。てへぺろ♪」
「てへぺろ♪じゃないですよ。まあホニャホニャな事情です。わかりました?」
自分で何言ってるのかわからなくなってきた。正味、ホニャホニャで通じますかね。結論、まともに説明していない。
「わかりました!グイ。」
あれでわかったのかよ~。頭を抑えてため息つく。これで現在は名前を知られていない事になる。アストレアの人間だと出来るだけ隠していこう。
───と思ったんだが、色んな意味で終わりました。
クラスはAからD用意させて俺はAに配属された。そこまでは良かった。でもクラスの面子が強者揃いだらけでした。
皆に注目されは「何でここにEが。」とか本人の前で堂々と聴こえるから辛いです。幸い助かったのは席が一番後ろの端っこだった。不幸中の幸いだろう。
周りの視線をとことん無視した席に座る。この席案外落ち着くな。日差しが当たり眩しいと思うが実は俺にとってこれは好機である。
火属性を得意とする者は大体日光をエネルギーとして吸収するのが普通の事だと師匠が言ってた。(※実は騙されて今でも気付いていない)
鼻歌でも歌おう。今朝聴いたばかりのセイレーンの曲をキュートな甘い声にのせふんふん~とハーモニーする。
「隣、良いかな?」
「ん?ご自由にどうぞ.....」
隣の席の人が座ってくる。聴いたことのある声だったけどへっち向いていた顔を隣の人を見るかのように向き直る。
「やあ。初めまして、僕はエドワード・フラッグス。宜しく。」
「なぬ!お前は.....誰だっけ?」
「エドワード!エドワード・フラッグス。さっきも名前言っただろう。」
ああ~そんな奴もいたなぁとふんふんと頷き納得する。というかのりが良いね。
「私はソフィア。ミドルは勘弁して。色んな事情が。」
一様付けだしておいた。こうも言わなければ変な疑いがかかる。それに俺、アストレア家の情報は学院にはもろバレですけどね。
誰かに助けを求めようとしたが肝心なアリアは早速色んな生徒に方位されており、護衛のステラはこれも興味本意で人望が高いため集団が出来ている。
「君はあっちに行かなくて良いのか?何か呼んでるぞ。」
向こう側で俺を見るなりに嫌そうな顔をしている男子生徒または女子生徒。後でぶっころ.....じゃなくてどう見ても彼に呼び掛けているようで。
「確かに呼んでるね。でも君は.....。」
「あー私の事は気にせず行ってきたら。」
この男の性格は何と無く理解できた。お人好しっていうタイプのようだ。そういうのは嫌いではないけど出来るだけ関わらないでほしいと望む。
元々ここに来たのは友人を作るとか魔法を学ぶためではなくあくまで暇潰し。
どのみちEランクの俺が今の現状的に友達を作るどころかクラスの雰囲気も悪いだろう。だから私にとって好都合。何れ皆が無視してくれると信じたい。
「じゃあ行ってくる。」
「ああ。(邪魔者は居なくなった!)」
相変わらず笑顔を欠かせない奴。イケメンは笑顔が武器なんですかね?
「......」
誰かの視線を感じた。気配探知能力が正常に作動させ、誰なのか探す。探している間に気配は完全に消え去った。俺が思ったよりも早く気付いたら相手は逃げたのだろう。生徒が一杯で探すことは困難。諦めて再び席に座ることにした。
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