15.今の幸せ
ようやく主人公登場。
あの後、俺はリアーナの不思議な力によって完全に回復した。取り敢えず夜明けまで過ごし朝になった。朝になり子ども達が起きる時間帯。丁度ミーナさんも帰って来たのである程度の事を説明した。
「そうだったですか!あの娘がそんな力を。」
グリムについては何となく最初から可笑しなところがあったため差ほど気にしていなかったようだ。しかし、リアーナの力については知らないので驚きながら寝ているリアーナをみるミーナさん。俺も視線をリアーナに向ける。
「正直、俺もビックリしています。」
「でもまあ、皆が無事だったから良かったわ。あのクソ爺たら私が不在のときに狙ったなんて。」
先程聞いた限りではこの一連の騒動はミーナさんが不在のときに行われていたものだと発覚した。それはミーナさんが子ども達の世話係だから。それが居ないときにあのおっさんが狙うと言う訳だ。とんだ考え方だ。
「それより本当にありがとうございます!」
礼を言って一礼するミーナ。
「良いさ。これも仕事の一環ですし。それよりもこれからどうするのですか?」
この孤児院の地下にあんな遺跡があった。あれを見る限り子ども達をこの孤児院に居させたら危ない。一様これからの事を聞いてみた。
「はい。私とこの子達は拠点を変えて別の街に行こうと思ってます。」
「そうか.....。」
それを聞いて複雑な気持ちになる。この一連の騒動は公になるのは確実。人が魔獣化するのは珍しい事である。そして失われた魔法の存在も知ることになる。別の街に行ったとしてもリアーナは他者から目をつかれるだろう。それは彼女にとっては幸せとはならない。だからこそ俺が考えた決断とは。
「あの~ミーナさん。一つだけお願いがあるのですが良いでしょうか?」
*
私が産まれた時、お母さんとお父さんは凄く私の顔を見て喜んでいた。とても嬉しかった。「貴女を生んで良かった」と。
それからも愛情を注がれて育った。この世界では今、争いが続いているため苦しんでいる私と同じぐらいの年の子を見てなんて私は恵まれているんだろうと思った。
だが、そんな生活は長くも続かなかった。私が四歳になったある日、今でも死にかけの兵士に出逢った。
両親も手伝って家まで運び何とか治療を続けていたが息を引き取ってしまった。私はその時どうにかしたい気持ちが一杯になった途端、頭に何が浮かびました。
それは誰かの声、『そなたはその者を助けたいか?』と。私は頷き無意識に手をかざした。私の手から放たれた謎の光が兵士の身体に浴びる。何故かその時死んだはずの兵士が生き返ったのだ。
私もビックリしました。それと同時に誰かの役に経てて誇りに思った。でもこれが私の地獄の始まりの合図でした。両親は私に向かって変な目で見られてました。先程まで優しかった二人。
今は何処かしら不気味そうなひきつった表情。四歳の私でも何となく察しがつきました。お母さんに近づくと怯えられました。それに対してお父さんはこう発言したのです。
『リアーナ、お前は呪われた悪魔の娘なんだ!』と。
いつもの優しいお父さんの姿はいませんでした。今、私を見ているこの人はお父さんとは別の人なのだと。
こうして私と両親の距離は段々と離れていき相手にもしてくれませんでした。別に悲しくありません。私には大切な友達がいました。
昔、お母さんからくれた大切なウサギのぬいぐるみです。毎夜、一人で会話をしていました。今思うと痛々しい行動ですね。恥ずかしい~。
私はまだ心の中でお母さんとお父さんはただ頭の整理が出来ていないのかなと思ってました。いつかまた昔みたいにと信じていた。
ある日、何時ものようにウサギのぬいぐるみと会話しているところにお母さんが入ってきました。その表情は何処か嫌そうなゴミを見るような鋭い目付きでした。
そしてその後にとった行動とは母から貰ったぬいぐるみを取り上げられ棄てられたのです。
「貴女が家に居るだけで私達が変な目で見られるの!早く消えなさいよ!」
母のキツイ言葉。声の音量的に今まで見てきた中で見たことのない変貌した母の姿。正直、とても怖かった。始めて怖さを知った時でした。
その夜中、私は久しぶりに泣きました。どれ程泣いたのか覚えていないけれど大切なウサギのぬいぐるみを失い母からは怒鳴られ精神的に苦痛になりそうだった。この時かな?私が人間不信となったのは。
だから周りとはこれっぽっちも関わらず一人にいるときが安らぎでもあった。それから日が立ち父からあることを言われた。
「もうお前は俺たちの娘でもない。それとこれ以上は関わらないでくれ。だからこの家から出ていってくれないか?」
穏やかな表情で私に向かって言う父。父はまだ私を見棄てては居なかった。優しくしてくれたり呪われた悪魔の娘だと言ったとしても母と違って愛情を注いでくれた。
いつも味方してくれた。そんな父からの衝撃な言葉。父は何処かしら無理している感じがした。
『そう私がいるからお父さんは苦しんでいるんだ。』
いっそのこともう消えて無くなってしまいたい。そんな気持ちが一杯になり私は家出した。
別に困ったことはなかった。何処に行くかの宛もない。食料もないし寝る場所もない。
『このまま私は死んでしまうのかな.....でも良いや。楽になれる。』
目を閉じる。そして何もかも考えなくなる。死の恐怖はとっくに無い。そう思った時。
「大丈夫!?」
「.......え?」
その後の事は簡単に説明すると私を助けてくれたのはミーナと言う女性。目が覚めると知らない場所にいたこと。
その後は、孤児院と言う施設だと知った。親の居ない子ども達が住む場所。
それからここで住むことになって時間が経ち五歳になったとき、ある騎士だと名乗る一人の青年に出逢った。その青年はちょっと変わり者でその穏やかな表情で接してくるのが何処と無くムカついた。
だから私は偉そうな言葉遣いを使い関わらないで欲しいと願った。でもその青年は諦めなかった。それからも敵意を向け極力は関わらないようにした。
でも私はそんな青年ガレスが嫌では無くなりつつなっていった。短時間で会話する量も増え最初こそは面倒でしたが私の事を真剣に考えている優しい人なんだぁ~と知りました。
可愛いとか撫でられたときとても嬉しくなりました。両親にも撫でられたこともなく可愛いと言われたこともありませんでした。
彼が始めてです。私の心臓がドクンと動き何もかも可笑しくなった。彼に髪を触られて髪を切ってくれて可愛い服を初めて着させてくれた彼に感謝したい。
離れたくない!と思うほどに。これが私、リアーナにとっての初恋でした。
*
「うう......ここは。」
リアーナが目を覚ます。長い長い眠り。寝ている彼女の顔はとても可愛く微笑ましく見ていた。俺は声をかける。
「おはようリアーナ。」
「.....ん?」
寝起きな為、上手く脳が働いていないのか首を傾げた仕草をする。
「な、なな───!」
今、俺はリアーナの寝ていたベッドの近くにいる。そして近い。
「おっと。そこまでだ。今は大声をあげないでくれ。」
俺がそう言うと彼女も静かになる。今、俺たちが何処に居るのかって?そんなのは簡単だ。俺の家だ。まあそんなに広い家ではないけど。リアーナはこの状況を理解していないから一通り説明する。
「まああれからミーナさんに頼んだんだ。お前をリアーナを一緒に連れていきたいと。」
「そ、そうだったんですか。でも貴方、そこまで私みたいな小さな!子どもを連れていきたいなんて!ロリコンだったんですね♪」
リアーナの目線が怖い。お前は何処か勘違いしているぞ。
「まあ、今日からお前.....嫌、リアーナは俺の養女となるから。」
「ふぇ?」
リアーナを引き取った俺はこの娘を娘として育てることにした。それこそが彼女にとっての幸せだと思い取った決断だ。それからはリアーナと二人で過ごしティアと出逢いまあ色々と......。
「これが俺とリアーナの関係後秘密だ。以上。」
ようやく父の長話が終了した。最後の方が雑くなっていたことはあえて突っ込まないようにする俺。それとこの話で約三ストック分費やしてしまってる。
それと主人公はこの私、ソフィアなのにいつになったら登場出来るのかとずっと待ってた。
そうした時、扉が開いて先程の物語の中心人物リアーナが登場する。話を聞いた限りだと昔と今の印象が全然違う。
「お嬢様、ずっと隠していてすみません。それとティア様も。」
頭を下げ出すリアーナ。この行動に俺はどうすれば良いのかわからなくなる。
「リアーナは謝らなくて良い。もとわと言えば俺が内緒にしとこうと約束したわけだしな。それとこの事を知ったら拒絶するかも知れないと思ったから。」
後先の事を考えての配慮だったそう。この時、俺の出来る行動は一つ。まだ言えてないことがある。
「リアーナ。助けてくれてありがとう。とても感謝してる。過去とか力とか今はこの際どうでも良い。」
「お嬢様.....。」
リアーナが受けてきた過去を聞けて少し嬉しかった。隠し事はやはりいけないと思う。(俺も皆には隠していることが沢山あるけど言えない。)一つ聞きたいことは。
「ねぇリアーナ。今、幸せ?」
「はい♪お嬢様。お嬢様に遣えて普通の家族の生活が出来て嬉しいです!」
その元気ある幸せそうな笑みを見せる彼女。メイドの物語はこれにて幕を閉じるのであった。
『おまけ』
五日後。あれから五日後経った。あんまり前とは変わらない生活。そんな時、俺はあるものを見てしまったのだ。それはと言うと。
「あのガレス様。どうされましたか?」
「ああ。」
父とメイドが夜こっそり部屋で会話しているのを見ている。何故、俺がこの現場を観ているのはガレスに用があり部屋に行ったらこうだった。こっそりと扉を少し開け、覗いていた。
「二人きりの時は敬語無しで良い。昔みたいにな。」
「そうですか?そこまで言うなら良いよ。ガレス。」
ベッタリとくっつき会う二人。リアーナを見ると顔が赤くなっている。ガレスは全くその事に気にしていないと言うか気づいていない。これは所謂浮気現場デスカ?
「よろしい。それよりリアーナは成長したな。昔と違って魅力的で髪も伸びたな。」
頭を撫でリアーナの金色の髪を弄るガレス。女の子の髪を普通に触れるとか何考えてんのこの父親は?それに対してリアーナは抵抗一つもしない。
「確かに伸びたね。今の私は可愛い?」
「そうかな?俺は別に可愛いと思うけど」
「その反応、絶対嘘でしょう。ぶぅー!」
ガッカリして落ち込むリアーナ。そろそろ見つかりそうな予感もするので退散しようと思ったがまだ見たい。これは俺に対してミッションか!脳内からまたまた選択肢が出る
①匍匐前進でバレない程度に近づく
②段ボール箱に隠れて移動する
③撤退する
おっと。今回の選択肢は.......ってなにこれ?二番の段ボール箱に隠れて移動って。そもそも段ボールって何?
昔、師匠から聞いた話によりと箱の中で隠れて移動してたと。もしかして師匠はス○ーク。(違います)
ボケをやめて目の前の光景に集中する。あの二人の関係はわかったけど妻と言う存在がいながらもあのガレスは!怒りが少し混み上がるが我慢する。
「ねぇガレス。先から視線に気付いている?」
途端、リアーナは鋭い目付きに変わり辺りを見渡す行動をする。もしかしてバレた?と思った。
「ああ。気付いているさ。もしかして敵か?」
父にも気付かれていました。このままでは先程の会話を聴いてしまった事がバレてしまう。
俺は自信の力を使い気配を完全に消す。これは三人目の師匠から伝授したもの。名称はなんだっけ?忘れたのでこの際どうでも言い!
頭の中から浮かんできた三人目の師匠が吹き飛ばされる構図を見た。ごめんなさい誰だったか忘れた師匠さん。
「気配が見失いましたね。」
「そうだな───。」
何とか気配を完全に殺すことに成功したので自部屋に戻ることにした。あの現場は多分俺の勘違いだ。うん。そうしよう!何処か納得した様子の俺だった。
「どうなさいましたかガレス様?」
「あ?嫌、何でもない。(あの気配何処かで見たことがあるような?)」
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