13.父とメイド
投稿遅れたことはすみません。この時期って忙しいですよね。
「俺とリアーナが出逢ったのはお前が産まれる前になる。リアーナがまだ丁度五歳の時、仕事の任務で偶然に出逢った。」
父は説明し具体的な内容を話してくれた。それは俺の知らない話。ガレスとリアーナの出逢いの話。
「仕事の任務は確か修道院の調査だった。その孤児院では日頃子ども達が失踪する事件が相次いでいた。」
その話、何処かで聞いたことがある。確かその事件は。
「俺はその孤児院に行くとそこには二十人程の子ども達がいた。そして皆は元気良く遊ぶとても良い子達だった。ただその中の一人ポツンっと座っていた女の子がいた。それがリアーナだ。」
*
「蒼の騎士団のガレス・エルドレットです。今日は此方の孤児院の調査に伺いに来ました。宜しいでしょうか?」
「良く来てくれました騎士様。私はここの管理をしているグリムと言う。」
グリムと言う中年のおっさんが丁寧に出迎えてくれた。
「私はミーナと言います。今日は宜しくお願いしますね。ガレス様。」
グリムの隣にいる女性ミーナと名乗る。とても美しい人だ。それと俺の名前を知ってるとは。俺の名前はそこまで知名度は低い。
蒼の騎士団は正式な騎士達が集まった場所ではない。大体は寄せ集めや実力不足な者、ハブれた者で結成した騎士団。活躍したと言えばあいつだけだが。
「良く俺の名前を知っていましたね。そこまで目立っていないと思うのですが。」
「はい。勿論、存じていますよ。数々の戦場を駆け巡った若き団長ガレス・エルドレット。私は貴方のファンなんですよ。」
ほえ~そこまで知っているとは。今時俺のファン何か居ないと思ったが案外居るんだな。
「それでは此方の席へお待ち下さい。」
「ああ。」
扉を開くと一軒家の部屋があり机と椅子が置かれていた。俺は椅子に腰をおろしてゆっくりとする。窓ガラスから見える青い景色。そして何処からか聴こえる子どものはしゃぎ声。
「お待ち致しました。」
ちょっとないしていたらミーナは帰って来た。丁度良いから聞いてみよう。
「なあ、今は子どもは遊んでいるのか?」
「ええ、それはもう楽しく遊んでいます。私、子どもの世話が好きでここの仕事をしてるんです。どうです?良かったらあの子達と会ってみませんか?」
ミーナはここで楽しく自分の仕事をしていることを聞いて羨ましいと思った。自分のやりたいことがない俺と違って今が幸せ。それは良い響きだ。ミーナに言われて着いていくことにした。
ついていくとそこは広い遊び場だった。男女共々楽しく遊んでいる姿を見てほっこりする。じっと見ていると一部の子ども達がミーナに。
「ミーナだ。ミーナ!」
手を振ってくる男の子や女の子達。そして此方に近づいてくる。
「ミーナ、この隣の人はだれぇ?ミーナの彼氏?」
凄く元気のある子達だ。何故かミーナだけでなく俺にもくっついてくる子ども達も。それよりもミーナの様子が可笑しい。
「か、彼氏って。私とが、ガレス様とはそ、そのような関係じゃないよ?」
「あのーミーナさん。どうして疑問系ですか。あのな。君たち。俺たちはそんな関係でもないし今日会ったばかりだから。」
一応勘違いさせないように説明した。これでひと安心だろう。子どもは良く勘違いしやすいからな。とまたまたミーナの様子が少し可笑しい。
「も、もう~バカ。」
「ん?今何か言いましたか?」
隣から小声で何かぶつぶつと言っていたので聞き取れなかった。確か.....『も、もう~バカ。』と。合ってるのかな?
「ねえねえお兄さんって何している人?」
「うん?お兄さんはね。騎士をしているんだ。君達を戦場から守るために日々の戦ってるんだ。」
今の時代は人と人との争いが活発化し始めている。いつ終わるのか検討もつかないし俺たちはいつまで戦わされるのかわからない。
そろそろ戦争も終わってほしいところ。昔みたいに平和になってほしい為、俺たちは戦い続けている。
「ねぇ、お兄さんも私たちと一緒に遊んでよ。ね、良いでしょう?」
突然の誘い。困ったな、俺は仕事のためにここに来たのに遊んでる場合は無いのに。
「君たち、駄目ですよ。ガレス様は今日、仕事のためにお越しになっているのですからあなた達の相手が出来ませんよ!」
「ええぇ───!!」
子ども達の声が凄く響く。そうがっかりしないでくれよ。どう対処していいか困る俺。
「ほらほら騎士様を困らせてはいけませんよ。ね?」
ミーナはそっと俺の顔に視線を向ける。どうやら反応に困っていた事を察していたらしく助けてくれた。ありがとうございます。
それから俺は一仕事する前にある人物に目を奪われた。その人物は女の子で他の子ども達と違って一人、物静かに離れたところに座っていた。若いと言うのに可愛らしい顔付き。幼い感じが全くしない。それどころか落ち着きがあるような。俺はその子に対して興味を持ちミーナに聞くことにした。
「なあミーナさん。あの離れた場所に座っている女の子って。」
「ええ、あれはこの前この孤児院に入ったばかりの娘で中々馴染まないで私も困っているんです。」
つい最近にこの孤児院に。考えてみるとあの娘の家族は居ないと言うより居なくなったと捉える。幼いのに可哀想に思ってしまう。俺はあの娘に近づくことにした。
「どうしたんだ。君は皆と遊ばないのか?」
一声掛けてみて女の子は下を向いていたが此方に振り向く。その綺麗て美しい姿は美少女だった。髪の色はプラチナブロンドで綺麗。目はエメラルドグリーンで一目奪われる。正しく宝石のような彼女はどうしてか雰囲気的に大人ぽく見えた。
「わ、わたしに何か用ですか?」
今まで2分ぐらい黙っていた彼女はようやく口を開いてくれた。きょとんとした仕草も可愛らしい。あ、別に俺はロリコンでも何でもないが大人でも惚れそうになる。
「ああ。君は何故、他の子達と遊ばないのかなーって。」
「良いでしょう。わたし勝手なんだし。」
この子。案外生意気な性格だな。確かにこんな感じじゃあ仲良くもなれないし近付いてもくれない。そういや名前を聞いていなかった。
「君、名前は何て言うんだ?」
「......」
盛大に無視された。流石に傷つくんだけど。仕方ないけどもう諦めようと思った時。
「────ナ。」
「今何て?」
恥ずかしそうに口を開いて発言しているから良く聞き取れない。耳を澄ませてもう一度良く聞いてみる。
「....リアーナ。」
「リアーナ?」
聞き取れたのはリアーナと言うこと。それがこの娘の名前だろう。
「それで貴方の名前は?」
「へ?」
「だ、だから貴方の名前が......知りたいの。」
頬を赤らめて恥ずかしそうに俺に言ってくる。俺は少し間違って解釈していたかも知れない。この娘リアーナは生意気な性格では無く恥ずかしがり屋なのだと。
「ははっ。案外君も可愛いところあるんだな。」
「な、何よ。別に私は可愛いって言われても嬉しいとか何とも思わないからね。」
彼女は顔を隠しながら言った。声のトーンは表情でわかりやすい性格だな。本当は可愛いとか言われて嬉しいのだろう。取り敢えず名前を言うか。
「まあ俺の名前はガレス。ガレス・エルドレットだ。宜しく。名前は覚えていても覚えなくても結構だ。」
「そ、そう宜しく.....ガレス。」
「年上に呼び捨てかよ。まあ良いけど。」
この娘の事は色々と気になるけどもう仕事しないといけないからリアーナに「また来てやる」と言うが袖を掴んで離してくれなかった。それを見たミーナさんは。
「ガレス様、随分と懐かれていますね。」
「嫌、ただ遊び相手が欲しいだけでしょ。正味生意気なところもありますし。」
恥ずかしがり屋なのはわかるが言葉遣いや生意気な態度を取ってくる。俺はあんまり好きではない。
「本当にそうなんでしょうか。ふふっ」
リアーナとは一時別れて今回の目的の孤児院の子どもが失踪する事件について管理者のグリムと話を始める。グリム曰く、ここ最近では夜中に不可解な事なども無くましてや孤児院は安全な設備で整っている。だが今までで六人ほどの子どもが居なくなっていると言う。
それも失踪したのは夜中、子ども達が寝ている間にだ。俺の仮説的には誰かがこの孤児院の職員の中に犯人がいると思われる。もう一つは勝手に子ども達が逃げ出したか。
前者と後者で言えば前者の方が可能性は高い。これから三日間監視の任務にあたって欲しいとの事。これに俺は了承した。
「あの!私も手伝います。」
「良いのか?ありがとうミーナさん。」
ミーナさんも手伝って貰うことになり俺とミーナは再び子ども達のところへ戻る。監視の任務兼子ども達の相手をすることになっている。俺もこの機会に久しぶりに息抜きをしてみるか。
遊び場に戻って来て皆がまた此方に来てくれる。
「みんな、騎士のお兄さんは今日から三日間お世話になってもらうから宜しくね。はいガレス様。」
「ああ。みんな、俺はガレスだ。これから三日間宜しく頼む。」
こう言うのは苦手なので緊張した。大人なのに情けないと本当に思うよ。しっかりと挨拶も出来てすぐに子ども達が手を引っ張り迎えてくれる。こう言うのも悪くないな。
あいつも今、元気にしてるかな。俺は元気にしてるさ。だがその後、俺は衝撃なものを見てしまう事を今は知らない。
読んでくれてありがとうございます。次回で父とリアーナの関係とリアーナの力の秘密が明らかになります。
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