『霊月:夜と闇と半霊と』
「あれ? どこここ?」
気がつくと、そこは薄暗い空間。上にはクレーターが見えるほど近づいた満月がある。
「こんばんわ」
「こんばんわ……って、確かまだ昼よ」
「私がいる場所は夜になる。たとえ朝でも、夜になる」
いつの間にかいた、透けそうな白いワンピースを着た、地面につきそうなほど長い艶やかな黒髪に、黒曜石のようで、少し紫色を孕んだ瞳をした少女が、綺麗な声で喋る。
「私の巫女を……ミサを助けてくれてありがとう」
ミサ? あぁ、リューニャの友達っぽいあの子のことか、ミサって名前だったもんね
「ま、友達の友達は友達だしね。って、巫女? あなた何者なの?」
「私は夜であり、影であり、闇。『闇神スディ』」
『闇神スディ』…………スノウが会ったっていう、『風神アネス』と同じく、この世界の神ってことかな? それにしても、あんまり神様っぽくないわね。
普通の女の子と変わらない。
「そっか、宜しくスディ。私はライラ」
「ライラ、宜しく」
スディと握手する。
「これで友達ね!」
「友達……」
「あれ? 駄目だった?」
「………ううん。友達……うん。友達ね」
嬉しそうにはにかむスディ。そんな時、リューニャやフクロの声が聞こえた気がした。
「そろそろお別れみたいね。また会いましょう、ライラ」
「えぇ、またね!」
スディに別れを告げると、視界が明るくなっていく。どうやら、私はデスペナルティにならずにすんだようだ。
《『闇神スディ』の寵愛を授けられました》
《異名、“夜の友”を会得しました》
《『闇神スディ』から“闇天の夢”を与えられました》
《条件を満たしたため、スキル【月下展開】を習得しました》
《条件を満たしたため、種族が“ハーフゴースト”に変わります》
《≪種族特性≫、【幸運】【成長補正】が消失し、新たに≪種族特性≫、【半身半霊】【霊体化】【憑依無効】が解放されました》
「いや、ハーフゴーストってなによ!?」
「きゃ!?」
「ひゃあ!?」
「ホー!?」
アナウンスに思わずツッコんだら、リューニャ、ミサ、フクロが驚いて後ろに倒れた。
起き上がったリューニャとフクロが、泣きながら抱きついてくるのをあやしながら、手に入れた物を確かめる。
先ずは、スディ関連ね。
スディの寵愛は、運補正:極、闇属性強化:極、闇系統スキル強化:極。
異名“夜の友”は、夜の時にステータスに補正:大。
“闇天の夢”は、足輪っていうのかな? 足につける銀のリングに、紫が混じった黒い宝石がついているもので、運補正:大と、闇属性強化:大、≪装飾品スキル≫で、【闇耐性:Lv25】
スキル【月下展開】は、自身の周囲を一時的に夜に変える。そして、満月に近いほど闇属性が強化されるというもの。
次は、ハーフゴースト関連。
【半身半霊】は、霊を見て、感じることができるようになるのと、物理ダメージの半減、闇属性や呪術に対して耐性ができる。そして、光、聖属性ダメージ増加。
【霊体化】は三分間、自身とその装備を霊体化させ、物理攻撃を無効化し、攻撃が全て精神への攻撃になる。
【憑依無効】はそのまんま、憑依状態にならなくなる。
デメリットもあるみたいだけど、メリットのほうが大きいわね。ちなみに、見た目も少し変わった。といっても、肌が少し青白くなった程度だけどね。
手に入れた物を確かめ終わると、出口を塞いだ土の壁の向こうから声が聞こえてきた。
『ここか?』
『多分そうですね』
『そうか、下がってろ』
『了解です!』
聞いたことがある声で、何をするのかだいたい分かったので、リューニャ達を連れて急いで壁から離れた。
次の瞬間、壁がみじん切りにされた。そこから出てきたのは、鋭い目を光らせたガルディア隊長。その後ろからは、レレロゥを含む兵の人達がぞろぞろと入って来た。
「リューニャ様、お怪我は?」
「大丈夫。ライラが守ってくれたから」
「そうですか。ライラ、感謝する」
「いえいえ、友達を助けるのは当たり前ですから」
頭を下げるガルディア隊長に、ヒラヒラと手を振っておく。
気絶した男は、厳重に拘束されて連れて行かれた。私達も、ガルディア隊長やレレロゥと一緒に帰ることになった。
「それにしても、リューニャ様を狙う奴と、闇神の巫女を拐った奴が同じだとは……」
「でも、リューニャを暗殺しようとしてたのとは、別口みたいね」
「? なぜそう思うんだ?」
「だって、暗殺するつもりならとっくにしてるハズでしょう?」
「………確かに。ということは、さっきのはまた別の奴か………調べる必要があるな」
ガルディア隊長が、レレロゥを呼んで話始めた。
とりあえず、私はリューニャ達の話に混じることにする。
「ミサだっけ?」
「はい。この度は、助けていただきありがとうございます」
「いいの、いいの」
「ミサは私の幼馴染なの! ミサ、ライラは友達よ」
「あ、前に話したあの?」
「そうそう」
三人で仲良くガールズトークをする。クノともよくするけど、何故かスノウはこういうのニガテみたいなのよね。
帰りはなんの問題もなかった。ま、ガルディア隊長もいるし当然だけどね。
問題は、帰った後だった。
「リューニャ! 怪我はないか!? 変なことはされなかったか!?」
「我が愛娘のリューニャに手を出すとは許せん! やはり、怪しい奴は全員徹底的に調べなければならん!」
「お兄様もお父様も落ち着いて! お母様なんとかしてください!」
「うふふ。皆仲良しなんだし、いいじゃない」
リューニャが、王子と王にベタベタされている。これが家族じゃなかったら、通報案件になるわねコレ。
私には褒美がどうのと話が来たけど、いらないと答えておいた。友達を助けるっていう当たり前のことをしただけだしね。
さてと、もう二、三日滞在して新しいスキルとかの試しをするとしますか!
“月”は終わりです
作「突然質問返答のコーナー!!!!」
雪「突然だから、これ以降無い可能性有り」
作「凄い久しぶりに感想見たら色々質問来てたので、返答していきます」
雪「そういや、新作始めたよな」
作「え? あぁそうですね。諸事情でこうなったらモリモリチートで書いてやんよぉ! ってなって書いた作品ですね、意外にもアイデアが溢れてきます」
雪「ふーん。しかし、その間に作られては消えていった作品があることを忘れるなよ」
作「途中で矛盾というか、面倒くさいことに気付いてやめた作品達が二つぐらいありました。そして、また新しい物語が自分を出せと私の頭の中で自己主張」
雪「忙しいのにそんなんでいいのか、作者ェ」
作「まぁ、そこはおいといて、本来の目的いってみよー!(ヤケクソ)」
『アクセサリーについていた好感度補正は『無限の風』に統合されたあとはどうなってるのでしょうか?』
作「あぁーこれですね、消えてます」
雪「消えてるのか」
作「厳密にいえば消えてない……いや、消えてるか。これはですね、“無限之風”を入手する時点でアネスの寵愛は確定なわけです。風を司る神の寵愛を持っている……そりゃ、風系統の幻獣や神獣、竜からの好感度は高くなるのは必然です」
雪「好感度downは?」
作「これも消えてますね。神の寵愛を持つ(神に認められている)んですから、好感度が下がるわけないじゃないですか。では、次」
『初めて味付きポーションを見たライラとクノにポーションを無償提供していますが、これは対価を後から受け取っているのでしょうか?
生産職が商品にして生業としている以上、初回に区切っていない無償提供はおかしいと感じました。』
作「えー先ずはですね、スノウはほぼゲーム初心者ですよ?」
雪「え゛!? 友達だからいいんじゃないの?」
作「因みに、ライラとクノもゲーム初心者です。知り合いのぶっ飛んだ人に勧められてやっています。その際、ある程度のことは事前に聞きましたが、そこはゲーム初心者。対価のことなんて知りません。後は、スノウが純粋な生産職でないのと、三人の間で完結されているのもあって、問題になってませんね」
雪(やべっ。今度から気を付けないと)
作「では、次」
『69ページの悪鬼討伐時に最初にワールドアナウンス、その後ドロップのアナウンスが流れました。
次に70ページでそのままの流れで戦利品を確認しているときに卵の孵化のアナウンスが流れています。
これは67ページのアナウンスをオフにしている設定と矛盾してしまっていると思います。』
作「………これはは、アナウンス関連を詳しく書けなかった私が悪いですね。えー、アナウンスの一部……重要度の高いものは、普通に流れます、ボスドロップアナウンスとか、ボスエリアをお知らせするアナウンス、特殊クエストやイベントのアナウンスetc. で、今回の孵化アナウンスもそうです」
『80ページでスノウが二人を見失った理由がわかりませんでした。課題である以上、そして護衛という名目がある以上、風之主を使ってでも置いて行かれないようにするのが自然だと思います。』
雪「………なんかすいません」
作「これはですね、スノウはモンスターの対処だけすればいいと思ってたんですね、それに、ツバキさんが襲撃者が来ると行ってなかったのと、まさかこんなに早く敵が動くと思ってなかったよも原因ですね(イベントなんで変えようがありませんが)」
雪「結論は?」
作「スノウとツバキさんはちょっと抜けてる所があり、似ている所がある」
雪「結論になってない気が……」
作「これにて突然質問返答コーナー終了。あ、後、2話ほど描写を付け足しました。読み直していただくほどてはないですが、第26部分と42部分です」
雪「それじゃあ、来週からも本編をお楽しみください」