『新しい防具』
軽く昼食をとってログイン。〈オステ〉の宿屋からのスタートだ、宿屋から出て町を歩く。なんだか、妙に鍛冶屋が多い。何かあるのだろうか? まぁ、大方鉱石がたくさん採れるとか、そんな理由だろう。というか…………
「お腹すいた。」
ゲームでも腹がすくんですね。おそらくだが、スタミナが減っているんだろう。【料理】スキルを持っているが、道具を持っていないので、『道具屋』に入り、フライパンや包丁、魔導コンロなんかを買っていく。さてさて、何処か料理出来る場所ありますかね?
「外行こう。」
気付いたんだが、何も町中で調理しなくてもいい。外でやれば、いいのだ! まぁ、モンスターに襲われないような場所に行かないとな。
町の外だが、〈ツェントゥル〉のような草原ではなく、草もまばらで、どちらかというと、荒野に近い感じだった。モンスターが見当たらないな、と思ったら、岩に擬態したアルマジロがたくさんいた。どうやら、向こうから攻撃はしてこないようだ。
魔導コンロを取り出して、魔力を注ぎ、フライパンをのせ兎肉を入れて、焼いていく。塩胡椒を振りかけて…………と。出来た!
「モグモグ。」
まぁ、最初はこんなもんだろ。調味料も少ないし、少しづつ【料理】スキルのレベル上げていきますか。
『♪~♪♪♪ッ♪~~♪!』
「ん?」
これは、メールの音ですね。メニューを開いて、メールを確認。ライラからのメールでした。
『スノウ、今時間あるなら。〈ツェントゥル〉の噴水広場に来てくれない? 凄い裁縫士の人見つけたから、新しい防具作らない?』
ふむ。直ぐに行く。っと。さぁーて、〈ツェントゥル〉に行きますか。
モンスターをガン無視して、全力疾走。
「到着。」
「以外に時間かかったわね。」
「何処にいたんですか?」
「内緒。」
別に話してもいいんだが、周りに人が多いからな。二人に案内されて、町中を歩いて行く。件の裁縫士がいるのは、生産施設の裏側で、既に店を持っているらしい。
「ここ、ここ!」
「じゃ、入りましょうか。」
「ん。」
扉を開けて中に入る。すると、話し声が聞こえてくる。
「だーかーらー! 男客の依頼も受けてくださいよ!」
「い・や・だ! 私はキャワいい女の子に、キャワいい服を着せて、さらにキャワいくするために生まれてき・た・の! むさい男なんかの服作りたくない!」
「はぁ、もういいです。そろそろあの娘達来るんで、準備してください。」
「キャァー! ライラちゃんと、クノちゃんね! ヘイルちゃんと、スリートお姉様と同じくらいキャワいい女の子でしょ! キャァー! ステキ!」
「アナタにとって、女の子は神様ですか?」
「バカね! まだ、お姫様しかいないわよ。あーあ。女神様は何時になったら現れるのかなー。」
ヘイルとスリート姉さんもここに来たのか、そして、ヤバそうな人がいるな。
「「こんにちわー。」」
「いらっしゃい♪ ライラちゃん、クノちゃん。そ………れ………に?」
「はろー。」
長い茶髪に茶色の目をした女性が、食い入るように俺を見ている。はて? どうしたんだろう? 首をコテンとさせると………
「いやぁぁぁぁぁ!?!?!? 女神よ! 女神が降臨したわぁーー!」
腕を広げて迫ってきたので、避ける。だがしかし、まだ此方を狙っているので、胸の前で両腕をクロスさせて………
「ハグ、駄目!」
「しょ、しょんな~。」
「ナデナデまでなら、可。」
「やっふー!」
可哀想だったので、頭ナデナデまでなら許可したら、本当にナデナデしてきた。およ? 以外にいいな。
「あの~。装備を………」
「あ、ゴメンね! じゃあ、素材出してくれる?」
言われた通り、狼の毛皮やら、熊の毛皮やらを出していく。
「す、凄いわね。」
「熊の素材なんて、ほとんど流通してないハズなんですけど…………」
裁縫士の女の人二人が驚きながらも、素材一つ一つをチェックしていく。
「あ、そういえば、そっちの白髪の女神ちゃんには、名前言ってなかったわね。裁縫士のリジェよ、よろしくね!」
「見習い裁縫士で、助手のアルネです。宜しくお願いします。」
「ん。スノウ」
向こうが自己紹介したので、こちらも自己紹介。
「それで、皆などんな装備がいいのかしら?」
「えーと、いずれは魔法剣士を目指してるので、出来る限り防御力高めで、動きやすいのでお願いします。」
「見習い僧侶なので、魔法防御も高めで、お願いします。」
「動きやすければいい。後、ブーツ。」
今下駄なんですよ。以外に動きづらいんですよ。ブーツがいいのですよ。
「りょーかい! 三時間ぐらいで出来るから、時間潰しててね!」
「「「はぁーい。」」」
三時間の時間潰しに、店の一室を借りて、符の補充をしたり、ライラとクノに味つきポーションを渡したり、二人に手伝ってもらって、味つきポーションを量産したりして、三時間がたった。
「出来たよー! 着てみて、着てみて。」
まぁ、まぁ、着る前に鑑定しますか。先ずは、黒色の革鎧っぽいのが二つ。白いジャケットが二つ。黒地に、白い百合の花が刺繍されたミニスカートが二つ。(スパッツ付き。)白地に黒い百合が刺繍されたローブが一つ。黒いブーツが一つだ。
俺が受け取ったのは、革鎧と、ジャケット、ミニスカートに、ブーツだ。鑑定結果は、こちら
〈黒大熊の革鎧〉
ダメージ軽減補正:D
斬撃耐性:C-
打撃耐性:D+
魔法耐性:D-
耐久値:500/500
≪防具能力≫
【俊敏補正:小】
〈白森狼のジャケット〉
ダメージ軽減補正:F+
斬撃耐性:D-
打撃耐性:D-
魔法耐性:F
耐久値:300/300
≪防具能力≫
【俊敏補正:小】【クリティカル率up:小】
〈熊と兎の黒スカート〉
ダメージ軽減補正:F+
斬撃耐性:F+
打撃耐性:F+
魔法耐性:D
耐久値:200/200
≪防具能力≫
【俊敏補正:小】【レアドロップ率up:小】
〈黒跳兎のブーツ〉
ダメージ軽減補正:F
斬撃耐性:F
打撃耐性:F
魔法耐性:F
耐久値:200/200
≪防具能力≫
【俊敏補正:小】【移動制限軽減:小】
【レアドロップ率up:小】
凄い。かなり強いんじゃないか?
「レア個体の素材で作ると、特定の能力が防具につくみたい。白森狼は【クリティカル率up:小】。黒跳兎は【レアドロップ率up:小】よ。」
なかなかいいものを作ってくれた。今度から防具はここに依頼しよう。
ちなみに、かなりのお値段だったが。SSと、ハグで買える値段にしてもらった。ハグは恥ずかしかったです。