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『稲荷山にて“修行”』


雪「俺、感想だとPKにやられやすくなるみたいだけど、そこんとこどうするんだ?」


昨「フッ。スノウはエロいことが出来ない設定にしており、前回登場したスノウ専用のやつにより、変更不能となっています。この場合、スノウの設定が優先されるので、PK達は全裸になったり出来ません!」


雪「どうだ! って顔してるけど、変態NPCの場合は?」


作「…………」


雪「まぁ、なんだ、頑張れ」


作「…………うん。それと、最高責任者は女性です。後、他の人達は常識人ですし、制御役なのでちょっとは安心してください」


雪「ちょっとかよ………」






いよいよ巫女修行の日。


巫女さん達からエールを貰った俺は、ツバキさんに案内されて、巫女修行をするための場所に行くための門に向かっていた。



「まぁ、裏門みたいなものだけど」


「裏門?」


「神の下へ行くための修行は、稲荷山とその周囲の森で行うのよ。そして、神によって何処に行くのかが決まってるの」



風神様だけは別だけど、と、苦笑混じりに言うツバキさん。なんでも、風神アネスだけは、その時々で場所が違うらしい。


まぁ、自由奔放なあの神様らしいといえばらしいか。


暫く歩いていると、大きな門が見えてきた。それと………



「………」


「………」


「………」


「………」



門の前で睨み合っている二人づつの二組。


一方は、普通の巫女服に杖を装備したサクラさんと少女の組。それに、扇で口元を隠し、綺麗な簪をつけているキクノさんと少女の組。


もしかして、あの女の子二人が例の護衛対象かな?



「サクラと一緒にいるのが、イチカ。キクノと一緒にいるのが、ミズキよ。覚えておいてね」



ふむ、サクラさんと一緒にいる三つ編みの娘がイチカで、キクノさんと一緒にいるおだんごの娘がミズキね。


さて、挨拶とかしたほうがいいのかね? そう思っていたら、ツバキさんに任せておいてと言われたので、任せておく。



「あらあら、お揃いみたいね」


「「「「ツバキ!(さん!)」」」」



さっきの睨み合いから一点、ツバキさんに朗らかに笑いかける四人━━━



「………」


「………」


「………」


「………」



━━━と思ったら、また睨み合いを始めた。


なんというか、馬が合わないんだな、なんとなく分かるよ、高貴な人と普通の人だからね。


でも、憎み合ってるとかそういう雰囲気じゃないみたいだな、なんというか、お互い認めあってはいるけれど、負けたくないみたいな………



「ツバキ、その娘は?」



俺に気づいたらしいサクラさんの言葉に、四人が一斉に此方を見る。とりあえず、軽く会釈しておく。


そんなに見られると穴が空きそうなんだけど………



「此方はスノウ。今から風神アネス様の巫女修行をする娘よ」


「アネス様の? まぁ、ツバキが言うなら本当か」



なんというか、ツバキさんへの信頼感が半端じゃないな。


自己紹介もそこそこに、早速出発するようだ。


水神ヒュールの巫女修行は、稲荷山にある水に関する聖地を2つ回った後、水神の湖と言われる、巫女修行を受けている巫女か、水神ヒュールの加護を持つものしか入れない湖に行き、水神ヒュールに会うというものらしい。道中には、モンスターも出現するし、危険な場所もあるらしい。


ちなみに、風神アネス以外の巫女修行はだいたい同じ感じらしいが、アネスだけはその時々で内容が変わるらしい。



「それじゃあ、そろそろ始めましょうか」


「そうね。イチカ、頑張りなさい」


「はい、サクラ様」


「ミズキ、貴女なら必ず達成出来るわ。何時も通りに頑張りなさい」


「はい、キクノ様」



二組は最後に睨み合った後、それぞれの弟子を見送った。


さて、俺のほうも頑張りますかね。



「それじゃ、宜しくね、スノウさん」


「ん。任せて」



ツバキさんに挨拶した後、俺も門をくぐって稲荷山の森へと足を踏み入れた。


さて、護衛頑張りますか。











■ツバキ視点■











とりあえず、イチカとミズキのことはスノウさんに任せて、私のほうも行動開始と行くことにしましょう。


そのためには、目の前で言い争いをしている二人の協力がなくっちゃね。



「貴女と同じあのみすぼらしい巫女では、私のミズキのほうが早く修行を終えるでしょうねぇ」


「あら、経験不足のあの巫女じゃあ、何処かで躓いて修行を終えるのに一週間はかかるんじゃないかしら?」


「実力でいえばこっちが勝ってるわよ?」


「実力っていうのは自分の力を使いこなせて初めてそう言えるのよ? あの新人巫女にそれが出来ているかしら?」


「なんですって!?」


「なによ!?」



ぎゃいぎゃい言い合う二人にため息を吐きつつ、間に入って止める。



「はいはい、それぐらいにして準備しましょ、私の見立てでは後3日以内に動くでハズだから」


「? 何言ってるの?」


「それは………どういうことかしら?」


「ここじゃなんだし、私の部屋に行くわよ」



二人を連れて、私の部屋に移動する。正直、二人の側の人間は殆んど信用出来ない。どのくらい敵の手の者が入り込んでいるのか、未だ調査中だからだ。


私の部屋に着いたので、お茶でもしながら話すことにする。



「それで、どういうことなの?」


「ちゃんと説明してくれるわよね?」



こういう時は喧嘩しないのよね、この二人………



「とりあえず、敵は三老師とその部下よ」


「えっ!? いくらツバキでも、それは失礼よ!」


「あの方達がどれだけ━━━」


「すっかり騙されてるみたいね、あの人達にとっては、援助なんて自分達の目的達成の前準備程度よ」



三老師は、30年ほど前からこの巫女の総本山に資金援助等をしている、三人の老人で、巫女や陰陽師、この界隈の人達にはかなり信頼されている。表向きは


本当の目的は別にあり、そのためなら、金も、時間も、命さえも厭わない。目立たないように裏でこそこそやっていただけだ。それと、信頼関係を作り、私達を油断させるための


三老師の中の二人は、それぞれ仲が悪いように思わせ、片方がサクラ側を、片方がキクノ側を優遇していた。



「今回の巫女修行を早めたのも、三老師に何か言われたからじゃないの?」


「うっ………」


「そ、それは………」


「図星みたいね」



目をそらした二人にため息を吐きつつ、話を進める。



「三老師の目的は、邪神の一部の復活よ」


「そんな……」


「嘘でしょ………」



邪神。


それは、かつてこの世界を滅ぼそうとした外界の悪魔。


神々と、“勇者”、“総帝”、“神子”、“導手”。そして精霊や竜、全ての種族が協力して封印した強大な、世界の敵。


そんな存在の一部を復活させようとしているのだ。


以前にも“足”が復活したことがあり、その時は大陸の一部が消え去り、3つの国が滅んだ。



「待って、邪神の一部の復活と、今回の巫女修行を早めたことの関係って………まさかっ!」


「えぇ、あの二人を邪神の巫女にするハズよ」


「っ!? 止めないと!」


「はいはい落ち着いて、それじゃダメよ、また同じ事を起こされたら大変。という訳で、証拠集めのために二人には頑張ってもらうわよ」


「でも! あの二人は!」


「そこは心配しないで」



不安そうな二人を見ながら、私は微笑む。



「あの二人を守ること、それが風神アネス様が、スノウに与えた修行内容よ」



白髪の少女の姿を思い浮かべながら、私は力強く言った。






ラスボスかどうかは言えません

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