『鬼と竜と双子』
特殊ボスってなんだよ………そんなことを思いつつ、戦利品の確認。
鬼から手に入ったのは、怨念塊、力の妖石、疾の妖石、鬼の妖骨、鬼の妖角、狂鬼の呪角、そして………
「うーん」
〈妖刀・屍桜〉
それの効果を調べてみたが、うん。なんというか、ヤバい武器ですね。
【苦痛消失】は、思った通り、使用中は所持者に痛みや苦しみを感じさせなくすると言うもの
【吸血喰肉】は、斬りつけた相手の体力、魔力を奪い所持者の体力、魔力を回復させ、耐久を回復させるというもの
【妖華覚醒】は、額に刀を突き刺すことで、所持者の攻撃力、防御力、魔法防御を高め、妖力を身体に纏い、操ることができるというもの
【邪刃】は、刃に邪氣を纏わせて、斬りつけた相手を恐慌状態、狂乱状態にするというもの
【斬殺成長】は、殺せば殺すほど武器の性能が上がるというもの
ヤバいですねコレ。【邪刃】をくらった時、狂乱状態は抵抗できたようだが、恐怖状態にはなってしまったようだ。
さて、使う予定は無いけれども。これが、PKの手に渡らなくて良かった。うん。
さて、“式神の魂元”だけれども、今目の前に浮いている、青い人魂っぽいのがそうかな?
「どうしよ?」
とりあえず触れてみると、輝きだした。
うぇ!? もしかして、触ったら式神出てくるの!?
《お知らせします》
《“???の卵”が孵化しそうです。アイテムボックスから取り出してください》
うぇ!? こんな時に、風竜王から貰った卵が孵りそうだと!?
とりあえず、アイテムボックスから取り出して、“式神の魂元”の隣に置く。
光輝く式神の元と、ぴきぴきとヒビが入り出す卵
ドキドキ、ワクワクしながら待っていると、卵の殻が落ち始め、式神の元が強く輝いた。
「くっ」
かなりの輝きに、思わず目を瞑り、再び目を開けると………
「………へ?」
「こんばんは、主様」
「ままー!」
生まれた? のは、二人の女の子。二人共、俺の胸あたりの身長だ。
一人は、赤い彼岸花の描かれた黒い着物を着て、長い黒髪は艶やかで、つり目がちな桜色の瞳が俺をじっと見つめている。そして、額からは純白の角が生えている。鬼だ、そして、この娘が式神だろう。
もう一人は、鈴蘭の描かれた白い着物を着て、ふわふわの白い髪は柔らかそうで、キラキラ輝く薄紫の瞳を俺に向けている。そして、竜のような尾と翼が生えている。おそらく、卵から孵ったのだろう
「ままー」
竜っ娘? が、俺に抱きついて胸にグリグリ顔を押し付けている。
「主様が困っていますよ」
「やー!」
鬼っ娘は、頑張って竜っ娘を俺から引き剥がそうとしている。
さて、俺には二人のステータスが見えている。
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【名前】
【種族】鬼 ≪式神≫
【性別】女
≪スキル≫
【妖刀術:Lv1】【体術:Lv10】
【妖術:Lv5】【氣術:Lv5】
【妖力刃:Lv5】【霊感:Lv10】
【第六感:Lv1】【気配察知:Lv10】
≪種族特性≫
【妖術強化:Lv━】【狂鬼覚醒:Lv1】
【魂魄強化:Lv5】
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【名前】
【種族】擬竜 ≪人族≫
【性別】女
≪スキル≫
【野生武術:Lv5】【野生体術:Lv5】
【風魔術:Lv10】【氣術:Lv5】
【持久強化:Lv5】【剛力:Lv1】
【堅体:Lv1】【野生の勘:Lv10】
≪種族特性≫
【竜氣変換:Lv━】【竜魔法:Lv1】
【竜変化:Lv1】
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なんていうか、初見のスキル多いなぁ~
この二人、初期に仲間になるあれじゃないでしょ完全に………
なんか、俺だけ別ゲームやってる感じがしてきた。うん。
とりあえず、名前がないから名前をつけよう。うん。
「えっと、貴女は柊」
「え?」
「貴女は竜胆」
「うにゅ?」
二人に名前をつける。鬼っ娘は柊、竜っ娘は竜胆。二人共かなり可愛い。ロリコン皆歓喜するぞ、うん
「柊……ですか、うん」
「竜胆?………竜胆♪!」
二人共、とても嬉しそうだ。竜胆はよりくっついてくる。柊は、竜胆を引き剥がそうとして、羨ましそうに身始めたので、手招きする。すると、おずおずと柊が抱きついてきた。
さて、そろそろ帰ろうかな
「るー♪ るるー♪」
「竜胆、あんまり騒いだら迷惑ですよ」
「はーい!」
なんか、二人共双子みたいな感じだな。同時に生まれたし………
柊はお姉さんポジションかな? 竜胆は元気いっぱいな妹だな。
二人と手を繋ぎながら、“夢月館”を目指す。なんか、じみに明るくなってきた。可笑しいな? 夜が明けるまで戦ってたっけ?
「スノウ!」
“夢月館”が見えたと思ったら、なんかお店の前に皆が集まっていて、俺を見つけたロンレンさんが走りよってきた。
「おい! 大丈夫か? 何処に行っていた? というか、そいつら誰だ!?」
「主様に触れるな!」
「うおっ!?」
柊が、俺が上げた〈妖刀・屍桜〉を抜いてロンレンさんに襲いかかった。
って、え!?
「おまっ!? 人喰い鬼かっ!?」
「主様には指一本触れさせません!」
なんか、面倒なことになりそうだな。しかし、とりあえず柊を止めよう。あの刀はマジでヤバいし、柊完全に使いこなしてるからな。
柊を後ろから抱き上げる。
「主様?」
「敵じゃないから」
「なっ!? そうなのですか? 胡散臭そうな顔をしていたので、てっきり……」
「ちょ! なんだよその理由ってか、何があったか説明しろスノウ!」
掴みかかろうとしたロンレンさんを、降ろした柊が蹴り飛ばそうとする。なんというか、敵じゃないと分かっても、俺に触ろうとするのは許せないのかな?
とりあえず、夜に何があったか説明することにした。
双子です。
本人達がそう認識しているので、誰が何を言おうと双子です