『三姉妹で行くゲーム』
「ふわぁ~。朝か。」
夏休み2日目、今日の予定はゲームで、森を練り歩く! だ。ソロで熊と戦おう。軽く朝食を取り、さぁ、ゲームをやるぞ! と思ったら。
『♪~♪♪~~♪♪♪!』
「お、電話だ。雹からか。もしもし?」
『もしもし、お兄ちゃん?』
「おう。何か用か?」
『うん。この後ゲームで会わない? お姉ちゃんもいるからさ!』
「いいけど…………」
俺のアバター女なんだよね。とは言えず、よし、誰もいない所を待ち合わせ場所にしよう!
「何処か誰にも見られない場所ってあるか?」
『あるけど………なんで?』
「まぁ、色々とな。」
『そっか。じゃあ、教会の裏庭にしよう! お姉ちゃんが見習い僧侶だから。』
「分かった、すぐ行く。」
待ち合わせ場所を決めたので、ログイン! 宿屋のベッドで起きる。さて、教会に行きますか。町中を教会に向かって歩く。二人共、もういるかな?
教会に着いたので、教会の人に事情を話して裏庭に入る。二人は…………いた。おそらくだが、木の下にいる二人だろう。他にプレイヤーいないし、一人は銀髪ツインテールに、緑色の瞳。髪と目の色は変わってるが、雹だろう。もう一人は青色のロングヘアーに、閉じているのか、開いているのか分からない、垂れた糸目。霙姉さんだろう。
「こんにちわ。」
「こんにちわー。」
「こんにちわ。」
挨拶すると、挨拶されて終了。やはり気付かないか。よし。
「おい。」
「えっと、なんですか?」
「何かな?」
「待たせたな、冬道 雪こと、スノウだ。」
「「え?」」
「雹と霙姉さんだろ?」
「「ええぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」」
俺の暴露に、教会の裏庭に二人の絶叫が響いた。
「よし、行くか。」
「ストップ、ストップ!」
「なんだよ、あ、フレンド登録か。」
「そうだけど、そうじゃない! なんで、女の子になってるの、お兄ちゃん!」
「こっちでは女の子。お姉ちゃんでしょ?」
「スノウちゃん可愛い! 自慢の妹!」
「もう適応してる!? お姉ちゃん落ち着いて!」
「システムの誤認が原因。もう諦める。」
「えぇぇぇぇ。」
姉さんと二人で雹こと、ヘイルを説得した。ちなみに、霙姉さんはスリートらしい。二人とフレンド登録を済ませ、これからの予定を決める事にした。
「とりあえず、私ヘイルは見習い騎士だよ。」
「私は見習い僧侶よ。」
「ん。見習い巫女。」
「見習い巫女って、βにそんな職業あったっけ?」
「無かったわねぇ。」
「気にしない。」
二人と話し合った結果。森に狩りに行く事になった。三人で町中を歩く。なんか見られてるな、なんでだろ?
「おい、あの二人って。」
「あぁ。β最強姉妹と呼ばれた、“蒼光の聖女”と、“天銀の姫騎士”だ。」
「一緒にいる娘は誰だ?」
「さぁ?」
二人共カッコいい異名がついてるな。俺にもそのうちつくかな? カッコいいのがいいな。
「ふふん。どうかなお姉ちゃん。私達は、ゲーム世界では、最強なんだよ!」
「ふーん。」
「軽っ!? もう少し驚いてよ!」
「わー。すごーい。」
「棒読み!?」
適当にヘイルをあしらいつつ。歩いて行く。んん? なんか、変な感じだな。周りを見ると後ろと横を囲まれていた。どういう状況だよ、と思っていると前から、キラキライケメンこと、アーサーがやってきた。
「やぁ、スリートにヘイル。奇遇だね。」
にこやかに話しかけてくるアーサーだが、それに対してヘイルとスリート姉さんは、険しい表情をしている。
「《金鈴の旅団》と《エスポワール》両ギルド共に、僕ら《円卓の騎士団》の傘下になる覚悟は出来たかな?」
「なるわけないでしょ! 私だってギルマスだって、なんども断ってるし!」
「私達も、あなた達の傘下になるきはないわ。」
むむ? 《金鈴の旅団》とか、《エスポワール》とか、《円卓の騎士団》とか、“ギルド”とか、ギルマスとか、聞いた事のない単語が多いんですが。
「それなら。」
アーサーが片手を上げると、首筋に剣を当てられた。成る程。人質というわけか。
「お姉ちゃん!?」
「スノウちゃん!?」
「ほう。身内だったのか、都合がいいな。さて、彼女の身が大事なら、僕らの傘下になるんだね。」
周りの奴らがクスクス笑う。ふむ。首筋に剣を当てたという事は、敵対したという事でいいんだな?
素早く鉄扇を腰から抜くと、剣の刀身に当て。後ろを振り向き、腹に『火球』の符を10枚程張り付け、剣の下をくぐって脱出。距離を取る。俺を人質にしていた男が、驚いて固まっている。抵抗しないとでも思ってたのか?
「『火球』」
符が燃え上がり、術が発動。男は爆炎に飲まれた。ふむ。こんな使い方もあるんだな。
「え!? ちょ、お姉ちゃん!?」
「正当防衛。」
「そうなんだけど、容赦無さすぎじゃないかしら?」
「GMコール。」
「切り札使ったぁぁぁぁぁ!?」
お馬鹿さんめ、こういう奴らにはさっさとコレを使うのが一番なんだよ。しつこい勧誘ならまだしも、こちとら人質にされたんだぞ。
『はぁーい! ゲームトラブル担当。レッドだよー。何か用かなスノウちゃん。』
「狩りに行けない。」
『オッケー。任せといて。』
レッドがパチンと指を鳴らすと、アーサー達が綺麗さっぱりいなくなった。
「ありがと。」
『いいよ、いいよ。また、困った事があったら呼んでねー。』
レッドも帰った事だし、狩りに行きますか!