『生産も戦い』
「ふぅ。なんか正式サービス開始日なのに、色々あったわね。」
「本当ですね。まぁ、スノウちゃんと会えてよかったです。」
「ん。私も、二人に会えてよかった。」
知り合いがいるって、心強いよね。まぁ、雹と霙姉さんもやってるけど、二人が何してるか、何処にいるか知らないんだよね。
「ていうか、そろそろお昼の時間ね。」
「本当ですね、一旦ログアウトしますか。」
「ん。」
という訳で、ログアウトするために宿屋に向かった。ログアウトは基本何処でも出来るが、アバターはその場に残るので、フィールドですればモンスターに殺されるし、町中の適当な場所ですればPK等に殺られるらしい。
宿屋の部屋に入り、ベッドに寝っ転がってログアウトする。
「戻って来たな。」
スノウのターンは終わり、雪に戻って来ました。さてさて、昼食食べてもう一度行きますか。
「あれ? なんもない。買い出し行くの忘れてたか。」
しぁーない。近くのスーパー行くか。エコバッグと財布を持って、部屋を出る。ちなみに、今はマンションで一人暮らし中だ。行きたい高校が家から通えなくて、高校に近いマンションに引っ越した。料理は出来るし、家事も得意なので問題はない。
「うーん。昼は何にするかな? 冷やしうどんでいいかな………あれ?」
見知った人を見つけた。
「九条さんこんにちわ。」
「ふ、冬道きゅん!?」
九条 詩乃さん。同じクラスの人で、一目で俺を男だと見抜いた、数少ない人だ。
「九条さんも買い物?」
「ひゃい! お母さんに頼まれまして………」
「そうなんだ。」
成る程な。お互い買うものが違うので、別れる。冷やしうどんに使う材料を、カートに入れながら。ふと、思う。九条さん誰かに似てるな。でも、誰だろう? まぁ、いいか。冷やしうどんの材料を買い終わり、店を出ると九条さんがいた。
「九条さんも買い物終わったの?」
「はい。」
「そっか、じゃあ、俺はこっちだから、じゃあね。」
「はい。さようなら。」
九条さんと別れて、家路を急ぐ。というか、おもいっきりはまってるな。
「はぁ、まさか冬道くんに会うなんて……まだ、ドキドキしてるよ。」
ぱぱっと冷やしうどんを食べ終わり、再びゲームにログイン!
とりあえず、生産をやってみよう。『生産施設』を目指して歩いて行く。到着したので、中に入る。中は『訓練場』と同じような感じだったが、扉の数が沢山あった。とりあえず、受付に行く。
「『生産施設』にようこそ! ここに来るのは、初めてですか?」
「ん。」
「なんの生産をやりますか?」
「調薬。」
「分かりました。此方が、『調薬キット』です。」
受付のお姉さんから『調薬キット』を受け取り、扉の一つに入る。扉の先には、キッチンのようなモノや、テーブル等があった。ふむふむ。水はここで、火はここですか。
施設の近い方は分かったので、ポーションを作っていく事にする。
「先ずは、薬草をすりつぶして。」
『調薬キット』と一緒に入っていた、『初心者用━調薬ノ書』の通りに作っていく。根っこつき薬草を取り出したら、土が付いていたので、洗う。
「よし。」
すり鉢に薬草を一つ入れて、棒ですりつぶしていく。ゴリゴリ、ゴリゴリ、ゴリゴリ。こんなものでいいかな? 続いて、水と一緒に煮ていく。ヘラで混ぜつつさらに煮込む。鮮やかな緑色になったので、火を止めて暫し待つ。熱が無くなったので、綺麗な布を使って不純物を取り除いた液体を、ポーション用の瓶に入れる。出来た!
〈下級ポーション(上質)〉
回復率:30%
副作用:無し
クールタイム:30秒
≪追加効果≫
【解毒:極小】
なかなかのモノが出来た。んじゃ、次は木苺味を作ってみよう。とりあえず、作ったポーションに、不純物を取り除いた木苺の果汁を入れる。…………うん。駄目だね、下級ポーション(不純物入り)になった。
続いては、薬草を木苺と一緒にすりつぶして、ポーションを作る。またまた、不純物入りが出来た。
続いては、煮込んで不純物を取り除いたモノを再び煮込みつつ、不純物を取り除いた木苺の果汁を入れて、煮込んでいく。すると、鮮やかな赤色になった。一応不純物を取り除く操作をして、瓶に入れる。
「出来た!」
苦労したかいがあって、ついに出来た!
〈下級ポーション木苺味(上質)〉
回復率:30%
副作用:無し
クールタイム:40秒
≪追加効果≫
【解毒:極小】
出来たので、林檎味も一緒に量産しまくる。ポーション制作マシーンになって、無心で作る。この後、一度作ったアイテムは、材料さえあればレシピで一瞬で作れる事を知るのだが、今はまだ知らない。
「は! もうこんな時間。」
なんとびっくり現実ではもう5時だ。そのかわり、木苺ポーションと、林檎ポーションはそれぞれ100個以上作れた。うーん。今日はここまでにするかな。




