『スノウと九十九』
最初はスノウ視点ではありません
「どどど、どうしよう………」
あ、皆さんこんにちは私、九十九と言います。
アイドルの星河 九十九とは私のことです。
元々、歌と踊りが好きだった私は、アイドルの真似をしたりなんだりしていて、何処から伝わったのかなんなのか、スカウトされました。
「貴女、アイドルになる気はないかしら?」
あ、スカウトしたのは今のマネージャーで、オカマのノエ姉です。
それで、まぁ、その後色々あって、アイドルになりました。そして、気がついたら人気者に………それでも、アイドル仕事より学校を優先しています。そこは、マネージャーのノエ姉も了承してくれました。
たまに、仕事優先になりますけど………
あ、そして今はゲームをしています。『Miracle World Online』というVRゲームです。結構前から、宣伝のためにやってみない? と、マネージャーに言われていました。
そして、ある日このゲームをプレイすることに決めました。そして………
「だぁーかぁーらぁー! 他のプレイヤーが迷惑してるっつってんだよ! 九十九ちゃんにまで迷惑かかるぞ!」
「「「「「「そうだ! そうだ!」」」」」」
「九十九ちゃんのファンでも無いくせに知ったような口を聞くな! 我々は九十九ちゃんのためにやってるんだ!」
「「「「「その通り!」」」」」
どどど、どうすればいいんでしょうか? 私のファンの皆さんと、親衛隊の皆さんが言い争いをしています。
正直言うと、親衛隊の皆さんの言ってることはもっともです。ファンの皆さんはやり過ぎなんです。私はそんなことは頼んでいませんし、他の人に迷惑をかけるなんて良くないです。
………というか、最悪です! ファンの皆さんが親衛隊の皆さんを目の敵にしているせいで、私の目的が達成出来ないです!
「うぅ…………」
止めに入るべきなんでしょうけど、私には無理です。元々、人見知りで、引っ込み思案な性格をしているんです。アイドルをやっているのは、歌って踊ってる間はイキイキ出来るからで、アイドルをやってないプライベートの時は、駄目駄目なんです。
学校では、幼なじみ以外にはバレないようにしています。
そろそろ現実逃避は止めましょう。
「でも、どうすれば……」
━━━ちょんちょん━━━
「ふぇ?」
後ろを振り向くと、そこには━━━
◇
路地裏でオロオロしている、黒が基本だが所々白の混じったツインテールに、真っ白なワンピースを来た美少女…………いや、天使だな。腰の辺りから、淡く空色の白い翼が二対、生えていた。
なんか知ってるのかな? 聞いてみよう。背中をちょいちょい突っついてみる。
「ふぇ?」
「こんにちは」
「ひゃぁぁぁぁ!?!?!? す、すすすすす」
「ん?」
す?
「スノウさん? ほ、本物?」
「まぁ」
「あ、あああの! 私、九十九っていいます! ファンです! 握手してください!」
あ、この娘が九十九か
……っていうか、ファンってなんだ、ファンって。てっきり俺を目の敵かなんかにしてると思ってたんだが………どうやら、今回のことは完全にファンの暴走らしい。
とりあえず、握手はしておいた。
「あ、あの、すいません、私のせいで……」
「九十九のせいじゃない。あれは、ファンの暴走。そこで………」
「へ? あ! 成る程………」
九十九と二人で打ち合わせ、ファン達の争いを鎮める簡単な方法。それは………
「このやろう! バトルで決着つけてやろうか!?」
「上等だよ! 僕達の力見せてやるよ!」
喧嘩をしそうなファン達の前に、九十九と手を繋いで出る。
注目を集める俺達。
うーん。もう人押しかな?
「九十九、狩り行こ」
「え? いいんですか!? やったー! スノウさんと一緒に冒険だー!」
凄いぞ九十九、まるで演技に見えない!
………っていうか、これ本当に喜んでるな
「じゃ、ネーヴェ達も連れてくから、一旦ギルドホームに戻る」
「ええ!? ギルドホームにも行っていいんですか!? はわわわわわ! どうしよ、どうしよ!」
うん。もう少し落ち着こうな。
二人でギルドホームに向かう、そして、ネーヴェとシャルーを回収して、フィールドに出た。
「あの…………何と戦うんですか?」
「ボスラッシュ?」
「………いや、私のスキルレベルはまだまだですし、それにネーヴェちゃんとシャルーちゃんだって━━━」
「きゅぅぅぅぅぅ!!!!」
「!!! !!! !!!」
「うわぁー。思ってる以上にやる気だー」
「冗談はこれぐらいにして」
「あ、冗談だったんですね」
「きゅぅ………」
「………」
あれ? ネーヴェとシャルー、本気で俺がボスラッシュすると思ったの? まぁ、六割本気だったけど、流石に九十九がいるからな。
「何処いきたい?」
「そうですね、森がいいです! 森でレベル上げしましょう!」
そうだな、それがいい。しかし、今のレベルだと熊と戦ってもあんまし楽しくないだろうし、俺は九十九達の援護をしようかな。うん。
「確か、ここは狼が出るんで……すよ……ね?」
「きゅ?」
「???」
「あ」
出てきたのは、黒い熊を四頭引き連れた、黒い体毛にまるで返り血のような赤い模様のある、他の熊より大きな熊が出てきた。
はい、九十九はスノウのファンでした