『プレイヤーの集落』
さてさて、新たに仲間になった、ネーヴェ、大福、フクロの三匹だが、ネーヴェは林檎等の果物を好んで食べ、大福はきゅうり、レタス等のあまり柔らかくない野菜をよく食べ、フクロは……雑食。何でもよく食べる。食材を出した時に、真っ先に牛肉を食べに行こうとしたが、ライラが『がしっ!』と掴んで止めた。
「まったく。油断できないわね。」
「ホォ~。」
三匹の好みは分かったので、次は戦闘力をみてみるかな。
三匹だけで、芋虫と戦わせてみる。勿論、いつでも三匹のピンチに対応できるように、戦闘の準備をしておく。
ネーヴェが先制して、針を飛ばしたり、氷の魔法?を使って攻撃していく。芋虫の吐く炎は、大福が半透明の魔法?の壁で防御。フクロは、空を飛びながら、相手の隙を狙って蹴りを叩きこんでいく。
「ギュギャァァァァァ!?」
「きゅ♪」
「………。」
「ホォ~。」
ネーヴェが、誉めて誉めて! とやって来たので、頭を撫でてやる。嬉しそうにするネーヴェにほっこりする。
「強いですね、この子達。」
「フクロが思った以上に戦えたから、びっくりしたわ。」
「ホォ~。」
ドヤ顔するフクロに笑いつつ、何か新しいモノを求めて、歩いて行く。
ネーヴェは俺の肩の上。
大福はクノの頭の上。
フクロはライラの横を飛んで。
そういや、大福はどういった経緯でクノの下に? 聞いてみた。
「ひっくり返ってたのを戻してあげたら、ついてきたので、一緒に来る? って尋ねたんです。そしたら、首を縦に振ったので。」
成る程。それにしても、不意討ちの対処をしてくれるのはありがたい。そうそう。大福と、フクロの種族名だが
大福は守護白亀
フクロは影梟
こんな感じ。
暫く森の中を歩いていると、明るくなってきた。どうやら、出口が近いらしい。
森から抜けると、そこには、プレイヤー達の集落? があった。
沢山のテントが、背の低い原っぱに建ててあり、近くには川が流れていて、釣りをしている人もいる。どうやら、イベントに参加しているプレイヤーの殆んどが、ここに集まっているようだ。
「そこの君たち。」
「はい?」
キョロキョロしていると、弓を担いで皮鎧っぽいのを着た、レンジャーみたいなプレイヤーが話しかけてきた。
「その幻獣達は何処で捕獲したんだい?」
捕獲?
「森の中で一匹でいたのと、仲良くなった。」
少しきつめの口調で答える。
「そ、そっか、ありがとう。」
そそくさと、退散するプレイヤー。
「スノウ怒ってる?」
そりぁまぁ、ネーヴェ達とは仲良くなったんであって、捕獲したんじゃない。俺達にも、ネーヴェ達にも失礼だ。
というか、プレイヤーが捕獲なんて言葉を使った瞬間に、ネーヴェが低く唸り始めていた。さっさと退散させないと、針が飛んでいたと思う。
「大福も、怒ってるみたい。」
「フクロもね。」
クノが大福を撫で、ライラもフクロをもふって、落ち着かせている。俺も、頭を撫でるのと林檎で、ネーヴェを落ち着かせますか。
三匹が機嫌を取り戻したところで、向こうから誰かがやって来た。
「お姉ちゃ~ん!」
「ヘイル。」
「スノウ、妹いたの?」
「ん。後、姉が一人。」
「そうなんだ。」
昨日も会ったヘイルは、どうやらここを拠点にしているようだ。
「お姉ちゃん昨日ぶり! そっちの人達は?」
「ライラと、クノ。」
「こんにちは、クノです。こっちは、大福。」
「……………。」
「ライラよ。それと、フクロ。」
「ホォ~。」
「こっちが、ネーヴェ。」
「きゅ!」
「どうも、スノウお姉ちゃんの妹のヘイルです! それより、可愛いー! 撫でていい?」
「ん。」
手に乗せたネーヴェを、撫でるヘイル。
「いいな~。私も、可愛い子と仲良くなりたい。そうだ! お姉ちゃん、私のパーティーメンバーを紹介するよ、来て! あ、ライラさんと、クノさんも!」
ヘイルについて、集落の中を歩いて行く。時折、ネーヴェ達について聞いてくるプレイヤーがいたが、ヘイルが軽くあしらっていた。
暫く歩くと、声が聞こえてきた。どうやら、プレイヤー同士が言い合いをしているらしい。
「ちっ! 昨日から威張りまくりやがって! ムカつくんだよ!」
「おや? 威張ってたのは、あんた達のほうだろ? アタシは、他のプレイヤーが迷惑してたから、注意しただけさ。」
現場にいたのは、大斧を持った山賊みたいな大男と、その身体に似合わない巨大なハンマーを装備した、赤髪の中学生ぐらいの少女だった。
「この野郎! もう許さねぇ! βトッププレイヤーの一人らしいが、てめーみたいなチンチクリンが俺に勝てるわけがねぇ! 死ねぇ!」
「やれやれ、これだから野蛮人は………」
大男の斧の一撃を避けた少女が、地面に叩きつけられた斧を足場にジャンプ。大男の頭にハンマーを降り下ろした。
「『ブレイク』!」
『バギッ!』という音の後に、大男が光の粒子になって消えた。ハンマーの一撃は凄まじく、大男が立っていた地面が、ひび割れていた。
何故か、少女は此方を見て手を振った。それに応えるように、ヘイルも手を振った。どうやら、ヘイルの知り合いのようだ。
リアルが…………
申し訳ありませんが、来週から暫くは、投稿が不定期になります。すいません。