『石舞台攻略。そして………』
■スノウが向かった後のヘイル達■
スノウが石舞台に向かった後、ヘイルとスリートの元に、鎧姿のルキエがやって来た。
「二人共! スノウ様は!?」
「もういっちゃいましたよ。」
「な、なに!?」
ヘイルの言葉にショックを受けるルキエ、そこに、巨大な鎧姿の人物がやって来た。
「あのガキはお前らの知り合いか?」
「ふん! 貴様が知る事ではない。」
「ちっ! まぁいい。どうせ、負けるだろうからなぁ。ガハハハハハハ!」
巨大な鎧姿の人物はそう言って、笑いながら森の中に消えていった。
「行ったか。まったく、何故奴みたいなのがいるんだ。」
「まぁまぁルキエちゃん落ち着いて、それよりスノウちゃんは見事に無双してるわね。」
「ほんとだ。私達もおじいちゃんに習ったけど、スノウお姉ちゃんは別格だよね。」
「スノウ様のあの動きは、おじいさん譲りなのか?」
ルキエの問いに、二人は苦笑いを浮かべながら頷いた。
◇
【仙人化】を行ったコピーの攻撃は、いっそう激しさを増した。しかし、さばききれない訳じゃない。しまっまていた鉄扇を使って、相手の鉄扇の攻撃を受け流す。飛んで来る符は、符で対処したり、【自然操作】で風を操って反らして対処する。
コピーが掌打を放ってきた。
少し嫌な予感がしたので、横に大きく避ける。よく見ると、コピーの手が少し光っていた。【天掌】かな?
「『土壁』」
飛んできた『火球』を土壁で防御する。にしても、時間かけすぎだな。そろそろ3分かもしれないし、一気に決めに行くか。
強く踏み込んで、コピーの懐に潜りこみ、腹に一撃。続いて、顎を掌打で打ち抜き、腕を掴んで地面に叩きつける。起き上がろうとするところに、踵落としをくらわせ、再び地面に叩きつけ、浮き上がった身体と地面の間に足を入れて、蹴りで打ち上げる。
鉄扇を構えて、下から掬い上げるように顔面?(全身真っ黒なので、わかりづらい)を打つ。
そして、コピーが光の粒子になって消えた。
《お知らせします。》
《石舞台のイベントボス。“影真似妖精”が倒されました。》
《イベント称号“石舞台の証明書”を与えられました。》
『あちゃー、負けちった~。』
そんな言葉を残して、黒髪黒目で黒いドレスを来た小さな少女が現れて、消えた。もしかして、あれが影真似妖精かな?
石舞台から降りると、ヘイルにスリート姉さん。それに、ルキエさんが来た。
「スノウちゃんお疲れ様。」
「お姉ちゃんやったね!」
「おめでとう。」
「ん。」
三人に入手アイテムを聞かれたので、調べてみると、
影の欠片、影の塊、影真似妖精の鱗粉、影真似妖精の涙、妖精石、影晶石の欠片。
以上が手にいれたアイテムだが、使い道が分からない。まぁ、とっておいて損はないだろう。
この後どうするか聞かれたので、森の中を散策する事を伝える。逆に三人がどうするか聞くと、別のイベントボスを探すそうだ。とりあえず、ルキエさんとフレンド登録をしておいたが、何故か凄く感謝された。
フレンド登録一つで、随分と大袈裟な人だ。
◇
ヘイル達と別れて、再び森の中を枝から枝に飛び移り進んで行く。途中芋虫を見かけたが、これは無視。
森の中のモンスターだが、芋虫の他に、蛾やミミズ等々、運営の悪意を感じるモノばかり、そのせいか森の中では、他のプレイヤーを全然見かけない。
暫く何かないかと探していると、また芋虫を見かけた。また無視するかと思ったが、様子がおかしい。身体に針が刺さっており、芋虫の前方には、身体は白いが、それを守るように生えている針が青い針鼠がいた。しかも、普通よりデカイ。体長1メートルぐらいかな?
よく見てみると、芋虫を威嚇する針鼠の後ろに、小さな針鼠達がいた。此方は、酷く怯えている。子供かな? でも、針の色が赤やら緑やらカラフルだな。そういう種族なのかな?
鑑定してみると、精霊針鼠という幻獣だということが分かった。
そう。幻獣。
これは、助ける以外の選択肢はないだろう。
針鼠と芋虫の間に割って入って、芋虫を蹴り飛ばす。倒れた芋虫に『雷球』を三枚放って、止めをさす。辺りを見渡し、他にモンスターがいない事を確認。針鼠達に向き直る。
威嚇されました。
少ししょんぼりしながらも、針鼠達を観察。どうやら、子供達に怪我はないが、お母さんの方は多少怪我をしているようだ。
「はい。」
「きゅ?」
先ずは敵じゃないことを理解して貰おうと、鉄扇と符の入ったホルダーを、適当に投げ捨てておく。そして、アイテムボックスから林檎を取りだし差し出すと、可愛らしい声を出して、一匹の子供針鼠が出てきた。
お母さんが慌てて止めようとするが、俺が差し出した林檎にかぶり付き。一声鳴いて、再び食べ始めた。それを見た他の子供達も此方に来たので、林檎を追加で差し出す。
食べている隙に撫でてみる。おぉ、結構もふもふや。
それを見たお母さんも、俺が敵じゃないと分かったのか警戒をとき、林檎を食べ始めた。
さてさて、仲間になってくれるかな?