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『牛肉実食』






「ブモォォォォォォォォ!!!」



起き上がったボス牛が、咆哮をあげる。それに呼応するように、他の牛も叫びだす。さてと、また突進の時に転ばせようかな? いや、学習したかもしれないし、どうするか…………


次の手を考えていたら、ボス牛の角が赤く輝きだした。そして、そのまま突進してくる。さっきより大分速い。ライラ達では避けられそうもないが、奴の狙いは俺だ。ギリギリまで引き付けて、回転しながらひらりと避け、回転した勢いのまま胴体に鉄扇を打ち込む。



「ブモォ!」


「うん?」



ボス牛が鳴き声を出すと、多方向から牛達が突撃してくる。それをジャンプで回避し、【浮遊】を発動。『土槍』をあびせる。



「「「「「ブモォォォ!?」」」」」



よし。何体か倒せたな、牛肉が手に入ってればいいけど。



「『ウィンドカッター』!」


「『光の槍』!」



ライラ達の方は、一旦ボス牛以外の牛達を攻撃し始めた。数を減らす作戦なのか、牛肉を集めているだけなのか、両方だな。


向こうは大丈夫そうなので、俺はボス牛と戦うことにする。地面に着地すると、正面からボス牛が突撃してきて、後ろと左右からは他の牛が突撃してきていた。とりあえず、再びジャンプして【浮遊】で回避。


止まりきれなかった牛達がぶつかり合うと、爆発が起きた。音に驚いたライラ達がこっちを向く。どうやら、ボス牛の角はぶつかると爆発するらしい。しかも、ボス牛は爆発のダメージを受けてなかった。他の牛はぶっ飛んだけど………



「ブモォォォォォォォォ!!!」


「『水泡』」



拘束系の『水泡』の符を三枚投げつける。水の泡に包まれたボス牛がもがく。よく見ると、赤くなっていた角がジュゥゥゥゥと、もとの白い角に戻った。あの角赤熱してたのか。



「『雷球』!」



雷の球が飛んで行き、水泡に当たると、水泡全体に電撃が走る。こんなコンボがあるのか………


『水泡』の効果が切れて、ボス牛が解放されるが



「『茨の枷』!」



ほとんど牛を片付けたクノが、再び拘束系の魔法を使い、ボス牛を動けなくさせる。



「いくわよ、スノウ!」


「ん!」



ライラと二人で、ボス牛に突撃する。



「【魔法剣】━『ウィンドブレード』!」


「『双龍斬』!」


「ブモォォォォォォォォ!!?」



断末魔の叫びの後に、ボス牛が動かなくなり、光の粒子になって消えた。



《お知らせします。》


《薫風の草原のイベントボス。“焔角烏獅えんかくうし”が討伐されました。》



《討伐に参加したプレイヤー全員に、イベント称号“薫風の証明書”が与えられます。》



「「「イベントボスだったんだ………」」」



確かに強かったが、まさかボスとは……………それより、イベント称号ってなんだ? 二人に聞いてみたが、なんでもイベント中に様々な恩恵を与えるものらしく。イベント後はEP(イベントポイント)に変換されるらしい。


今度は、EPが気になったので聞いてみると、イベント中にモンスターを倒したり、特殊なアイテムをゲットしたりする事で貰えるポイントらしく。イベント後にアイテム等と交換出来るらしい。


納得したので、今度は入手したアイテムの確認。薫牛の角、薫牛の肉、薫牛の霜降り肉、焔角烏獅の角、焔角烏獅の石蹄、焔角烏獅の肉、焔角烏獅の霜降り肉、特上黒毛和牛肉。



「牛肉…………じゅるり。」


「沢山手に入ったね♪」


「というか、どこからきたのよ黒毛和牛。」



ライラの言葉に頷くが、手に入ったからには、食べねばなるまい。牛肉も手に入った事なので、そろそろ拠点に戻り、昼食を食べる事にした。


拠点に戻る途中、牛の群れに追い回されるプレイヤーや、大量のもふもふに埋もれるリジェさん達を見かけたが、スルーする。俺達は、牛肉が食べたいのだ。構っている暇はない。



「ふぅ。着いたわね。」


「そうですね。」


「ん。」



とりあえず、フライパンを取り出す。これから、牛肉を食べるのだ。とりあえず、今食べるのは、薫牛の肉だけにしておく。薫牛の肉をアイテムボックスから取り出したら、ブロックで出てきた。え? ブロックで出てくるの? 三人合わせて、結構手にいれたんだけど? 戸惑いながらも、食べやすいようにカットして、フライパンで焼いていく。とりあえず、シンプルに塩コショウで味付けするかな。


両面いい感じに焼いて、皿にのせる。うーん。米が欲しい。パンだとあれなんだが、無いよりはマシだと考えて、三人ぶんのパンを出す。



「それじゃ、食べましょうか♪」


「うん!」


「ん。」



三人ほぼ同時に肉を口に入れる。



「「「!!!」」」



美味い! むちゃくちゃ美味いんですけど、コレ!? 舌と頬っぺがとろけそうだ。シンプルに塩コショウで味付けしのが良かったのか、肉本来の味を引き立てている。どこかあっさりしていて、食べやすく、幾つでも腹に入りそうだ。


その時、俺達はあることに気がついた。これは薫牛の肉であり、まだ、薫牛の霜降り肉や、焔角烏獅の肉、焔角烏獅の霜降り肉が残っている。それは、おそらくだがこれより美味しい。



「ほ、他のはまだ食べないでおこう!」


「そ、そうだね。」


「ん。」



俺達は怖かった。今食べたものより美味しいのだとしたら、止まらなくなる。そしたら、我を忘れて牛を狩り尽くすだろうと。


牛肉………恐るべし。







烏獅うし


烏→カラスみたいに黒い。


獅→ライオンのように強い。


そんな感じの当て字です。まぁ、牛肉の神にとりつかれた乙女三人には勝てなかったけどね(笑)

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