『牛肉』
何処までも広い草原に、何処までも高い空まで届く、極彩色の塔みたいなものがたっていた。
「いや、なんでよ!」
ライラがおもいっきりツッコム。まぁ、そうだよな、なんなのコレ?
「今回のイベントのカギかな?」
「そもそも、どんなカギなのよ?」
「ん。」
「えぇと、なんだろ?」
とりあえず、触ってみる。なっ!? こ、コイツ………
「どうしたの?」
「こんにゃく?」
「え、こんにゃく?」
この感触はこんにゃく以外あり得ない。というか、コレ動いてない? 動いてるよね? 動いてたらどうなるか知らないけど、動いてないコレ?
「動いてる。」
「うーん? 動いてるかな?」
「微妙ね。でも、じりじり動いてるわね。」
今はまだどうとも出来ないので、放っておく事にして、先に進んで行く。にしても、どこまで続いてるんだこの草原。羊達も数が少なくなってきて、次に目に入るのは牛………………牛!?
「牛………ね。」
「牛………だね。」
「牛………。」
牛肉
そんな単語が俺達三人の頭に浮かんだ。だがしかし、群れてるんですよ奴ら。牛肉は欲しいけど、タコ殴りにされたら確実に負ける気がする。
「牛肉…………」
「牛肉…………」
「牛肉…………」
牛肉…………
食べたいけれど、負けたら終わりなんだよな。どっかにハグレがいませんかね~。涎がでそうになりながらも、スルーする。
「牛肉、牛肉、牛肉、牛肉、牛肉、牛肉、牛肉。」
「スノウちゃん落ち着いて!」
はっ! 牛肉の神が降りてきた!?
「牛肉、牛肉、牛肉、牛肉、牛肉、牛肉、牛肉。」
「ライラ。」
「ライラちゃん落ち着いてー!」
「はっ!? 牛肉の神が降りてきたわ!」
くっ! 牛肉の神強すぎる! 食べたい、食べたい、食べたい、食べたい、食べたい、食べたい、食べたい、食べたい、食べたい。
そんな俺達の目に、異様なほど貫禄がある大きな黒い牛が写った。
黒い牛→ボス→倒す→群れ大混乱!→牛肉GET!
その時の俺達は、それがボスなのか分からないのにとか、ボスを倒したら逆に怒って襲ってくるんじゃ? とか………そんな事は頭から抜けていた、ただ俺達は………
「「「牛肉よこせぇぇぇぇぇぇぇぇ!」」」
牛肉が食べたかった、それだけなんです。
◇
「『光の槍』!」
「『ファイアランス』!」
「『雷球』!」
先制攻撃は、全員遠距離攻撃。全て命中して、派手なエフェクトが起きる。そして、ボス牛と、周りの牛達が此方を見て、突撃してくる。そいつらの足の前に、【自然操作】で小さな土壁を作りだし、転ばせる。
「【魔法剣】━『ウィンドブレード』!」
魔法を纏ったライラの剣が、ボスの頭をかちわるように振るわれる。ライラは直ぐ様距離をとったが、あのボスの突進をもう一度防ぐのはキツイ。と思っていたら、立ち上がろうとするボス牛に
「『茨の枷』」
地面から棘の生えた蔦が伸びて、ボス牛を動けなくする。クノ、あんなのいつの間に習得したんだ? まぁ、後で聞くか。とりあえず、出来た隙を逃さずに、地面を強く踏み込んで、鋭く舞いながら迫り
「『双龍斬』!」
腕を交差させて、それを開くように、開いた鉄扇による斬撃を浴びせる。
かなりの手応え。クノの魔法? の効果時間が切れたのか、蔦が消えて、ボス牛が立ち上がる。さぁーて、ここからが本番かな?