『助けた人のお店で』
リーフィリア達と別れた後、一旦ログアウトし、昼食を食べて再びログイン。さてさて、何をしようかな? 町をぶらぶら歩きながら、何をするか考える。えーと、行けるフィールドが、〈ツェントゥル〉周辺と、〈オステ〉及び〈ノルデ〉の先のフィールドだ。
うーん。まだよく見てない〈ノルデ〉の方に行くかな?
「ん~…………ん?」
考え事をしながら歩いていると、前方に三人の男性プレイヤーに囲まれた、二人の女性の住人がいた。一人は黒い髪をサイドテールにした可愛らしい顔の人、かなり怯えてるな。もう一人は、赤毛ショートカットのキツイ目の美人さん、男達を睨み付けている。
「いいじゃん、俺達と遊ぼうよ。」
「そうそう。」
「ギャハハハハ! きっと、楽しいぜぇ。」
「あ、あの、お店があるので………」
「そうよ! 私達は忙しいの!」
さて? どうやって助けるかな? よし、割り込んでしまおう。地面を蹴って、プレイヤーと住人の二人の間に割り込む。
驚くプレイヤー達と、住人の二人。
「な、なんだお前、どこから………」
「迷惑。」
「ああん? 女の癖に生意気だぞ。」
「クズは黙って、モンスターと戯れてろ。」
やっべ、ついいつもの調子で喋っちゃった。俺の言葉に怒りの表情を出すプレイヤー二人、しかし、残った一人に止められ、何か耳打ちされニヤニヤした表情を浮かべる。
「いいぜ、引いてやるよ。お前が、俺達に決闘で勝てたらな。」
決闘ってなんぞや? と思っていたら、ウィンドウが出て来て、『プレイヤーが決闘を申し込みました、受けますか?』と聞いてきたので、とりあえず、はいにする。すると、視界が一瞬で変わり、道の真ん中に移動した、そして、三人の男達と、俺を囲うように、透明なドームが出来上がる。
「ギャハハハハ! こいつマジで受けやがった!」
「アイテム全賭け、三対一で勝つつもりか?」
「アーハッハッハ! 本当バカ━━げふぅ!?」
なんかべらべら喋っていたが、既に戦闘が始まっているようだったので、間合いを詰めて鉄扇を顔面に打ち込んだら、吹っ飛んで、光の粒子になった消えた。
「まず、一人。」
「な、なんだこい━げぼぁ!?」
「二人。」
隙だらけだったので、二人目を同じように吹っ飛ばす。これもしかして、攻撃時の速度も威力に上乗せされてるのか? なら、一撃も普通なのかな?
「う、うわぁぁぁぁぁぁ!?」
「む。」
最後に残った一人も片付けようと思ったのだが、剣を振り回して、暴れ始めた。まったく、こんなんで倒せると思われているのか? 心外だな。そんな事を思いながら、符を取りだし投げつける。
「『雷弾』!」
俺の言葉とともに、雷の球が飛んで行き、男に当たった。お、麻痺した、ラッキー! 直ぐ様距離を詰めて首を鉄扇で殴り付ける。
「ぐぇ!」
そんな声の後に、最後の一人も光の粒子に変わった。そして、『You win』のウィンドウが現れ、賭けアイテムの一覧が流れる。うん。特に気になる物はないな。決闘フィールドから出て、これからどうするか考えていると
「大丈夫!?」
「ん?」
先ほど絡まれていた二人がやってきた。
「平気。」
「それならいいけど、あ、助けてくれてありがとね。私は、リナイアよ。」
「フィロです。助けてくれて、ありがとうございます。」
「ん。スノウ。」
二人に絡まれていた経緯を聞くと、買い出しの帰りに話しかけられたのだが、急いでいたので断ったが、道を塞がれたらしい。そこに、俺が来たと、というか、急いでいるなら、早く行ったほうがいいんじゃ? 二人も思いだしたのか、慌てて走り出す。暇だったので、二人の勤めているお店に行く事にした。
◇
「二人共遅いわよ! ただでさえ、一人怪我でいないのに!」
「すいません。」
「ごめんなさい。」
「まったくもう、最近運がない………わ………?」
「はろー。」
とりあえず、挨拶しとくが、どうやらまだ開店前らしいので、出直そうかな? そう思っていたら
「きゃあーーー!?!? 可愛いーーー! なにこの娘? なにこの娘? 可愛いすぎー!」
また、この手の人種か……………
「スノウ? どうしたの?」
「暇だった。」
そして、何かお困りの様子。詳しく話を聞くと、どうやらこのお店はカフェで、店員は全員女性。フロア担当が五人いるのだが、一人怪我で出られなくなったらしい。ふむふむ。カフェの店員か…………いいかもしれない。
「やる!」
「え? スノウちゃんが………ですか?」
「ん。」
「本当!? やってくれるの!? じゃあ、早速だけど、この制服を……」
店長━━リリルさん━━からお店の制服を貸され、お店の奥で着替える。鏡があったので、着替えた姿を見てみると
「わぁ。」
お店の制服は、アキバにあるメイド喫茶のメイド服の、改造したようなの、スカートは膝したで、清楚な印象を与えるだろう。それを着た、白髪に深い青の瞳をした美少女。我ながら、可愛いという事実に、喜べばいいのか、悲しめばいいのか、微妙な気分になる。
着替え終わったので、皆なのところに戻ると
「お待た━━」
「「「「「「きゃあー! 可愛い!」」」」」」
また、これですか。