『さぁ、始まりだ』
VR物始めました。上手く出来るか分かりませんが、頑張ります! 温かく見守ってください。
頬を風が撫でて、海の向こうへ飛んでいく。
鼻腔をくすぐるのは、潮の香り。
地平線の彼方まで広がるエメラルドグリーンの海は、現実ではないかのように、美しい。
振り向くと、草の生えた緩やかな丘を、青や緑の馬達が駆けて行く。
遥か彼方の空を、巨大な竜が悠々と飛んでいく。
ここは、現実ではない。ここはVRの世界。創られた仮想空間。しかし、俺はそうは思わない。ここは、もう一つの現実。現実では不可能な事が出来る、素晴らしい世界。一言で言うなら━━━
━━━━奇跡━━━━
そう、奇跡だ。この世界は、まるで奇跡の連続が創り出した世界。
これは、俺の━━━
「ううん。私の━━━」
雪の物語である。
◇
「うーん。どうしようコレ?」
俺こと、冬道 雪は、目の前のモノを見て困惑していた。一つは、真っ白なパッケージに、虹色の文字で『Miracle world Online』と書かれたモノと、最近話題のVRヘッドセットだ。後、妹からの手紙。どれも、夏休み三日前の今日に届いたモノだ。
「雹のやつ、何送ってきてんだよ。」
俺の妹の、冬道 雹は無類のゲーム好きで、同じく無類のゲーム好きの姉、冬道 霙と一緒に、パズルゲームからRPGまで、ありとあらゆるゲームをプレイしてきたやつだ。しかし、最近出始めたVRゲームには、「リアリティが無い!」だの、「動きがぎこちない」など、文句を言いまくっていた。
「コレ、VRゲームだよな?」
ヘッドセットも一緒だったという事は、おそらくVRゲームだろう。アイツ、つまらないゲームを俺に押し付けたのか? まぁ、とりあえず手紙を読もう。
『お兄ちゃん元気にしてるー? まぁ、お兄ちゃんが怪我するとは思ってないけどね♪ ちなみに、つまらないから送ったんじゃなくて、凄く面白いから送ったんだよ! あ、βテストをプレイしてみてだけどね、まるで現実そのもので、動きも現実とまったく同じ、ゲームがド下手のお兄ちゃんでも、楽しめると思うよ。ちなみに、βテストをプレイして高成績を残した人は、二つ貰えるんだ。つまり、私も同じモノを持ってまーす! お姉ちゃんもね♪ ヘッドセットはお兄ちゃんように、前に買っておいたモノだよ。じゃあ、是非是非プレイしてね! どうせ、暇人なんだし。』
「余計なお世話だ!」
ゲームがド下手だの、暇人だの言ってくれるぜ。まぁ、全部本当の事だけど。しかし、現実そのものならやってみていいかな? 夏休みの間は暇だし。
「えーと、とりあえず、ヘッドセットに俺の情報を登録するんだっけか。」
慣れない操作で、登録をし終わる。これでよし。後は当日だな。
◇
「うっし、始めるか。」
夏休み一日目、今日から正式サービスだ。ヘッドセットを着けて、ベッドに横になる。そして、スイッチオン。直ぐに眠気がやって来て、意識がなくなる。
意識が戻ると、真っ白な空間に立っていた。服装は、ファンタジーによくある白いローブ姿に変わっていた。
『Miracle world Onlineの世界にようこそ! 私はアバター設定担当の、ホワイトです。まずは、名前を決めてください。』
「スノウでお願いします。」
『分かりました!』
スノウはいつも、雹と霙姉さんが、自分の名前をゲーム内では英語にしているからだ。パクらせてもらった。
『続いて、種族を選択して下さい。』
ホワイトさんがそう言うと、目の前にウィンドウが現れる。
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■人族
■獣人族(犬)or(猫)
■エルフ族
■魔族
■ランダム
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おおう。実にシンプル。
「それぞれ、特徴とかあるんですか?」
『それは、実際にご自身でお確かめください。』
「成る程。」
そういうスタンスですか。なら………
「ランダムでお願いします。」
『その場合ですと、ゲーム開始じにならないと種族が分かりませんが、宜しいですか?』
「はい。大丈夫です。」
『分かりました。では、続いてスキルを最大10個まで、お選びください。』
再び、別のウィンドウが目の前に現れる。
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■武器スキル.【剣術】【拳術】【刀術】【槍術】………
■魔法スキル.【火魔術】【水魔術】【土魔術】【風魔術】………
■戦闘スキル.【体術】【魔力刃】【魔力纏】………
■生産スキル.【調薬】【鍛冶】【裁縫】【木工】………
…………etc.
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多いな。時間をかけてじっくり選ぶのではなく。なんとなく良さそうなスキルを選んでいく。後、ロマン。
「決まりました。」
『以上で宜しいですか?』
「はい。」
『では、次にステータスを確認してください。』
またまた、新たなウィンドウが現れた。
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【名前】スノウ
【種族】■■
【性別】女
【職業】無し
【異名】無し
体力:■
魔力:■
スタミナ:■
≪スキル≫
【鉄扇術:Lv1】【体術:Lv1】
【魔力刃:Lv1】【武術:Lv1】
【調薬:Lv1】【採取:Lv1】
【料理:Lv1】【】
【】【】
スキルポイント:5
≪種族特性≫
【■■】【■■■】【■■■■】
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おいまて、確かによく女に間違われるが、れっきとした男だ! というか、システムにまで誤認されたのか!? ええい! このさい女でやってやるよ、喋りすぎるとボロがでそうだから、あまり喋らない無口キャラでいこう!
ちなみに、スキル枠が三つ空いてるのは、気に入るのが無かったのと、ゲーム内で欲しくなった時のためだ。
「確認出来ました。見れないところがあったんですが?」
『それは、種族をランダムにしたからですね、見れないところは種族ごとに違いますので。』
「成る程。」
『では、最後にアバターをカスタマイズしてください。』
目の前に、より女らしくした俺が映る。とりあえず、目をすこし切れ長にして、髪は肩にかかる程度。白髪に深い青目にして。これでいいだろう。うん。どこからどう見ても、女の子だね。
「オーケーです。」
『お疲れ様でした。それでは、Miracle world Onlineをお楽しみください!』
ホワイトさんの言葉とともに、視界が白く染まった。
始めてしまった。しかし、始めたからには最後までやります! 投稿は毎週土曜、2話づつ投稿です。(遅くなるかもしれません。)