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3.オリバー・セルフリッジの提案

 その男は深々と頭を下げると、こう自己紹介をした。

 「申し遅れました。僕は社会学者をやっているオリバー・セルフリッジといいます。この度は僕が意見を述べる為の面会を許していただき非常に感謝しています」

 どうも、彼は勇者に何かしら意見があって、面会の許可を求めたようだった。

 因みに、彼も勇者を見て、“何故、髭?”と思いはしたけど、敢えてそれには触れなかったみたい。スネイルが言う。

 「ほぉ。社会学者。それにしても、あなたは随分と勇気があるお方のようだ。普通、国のトップの人間達に面会を求めるなどしないでしょう」

 彼としては、こういった場合の国のリーダー達の反応は、多分、こんな感じだろうと、いかにもそれっぽい口調で、それっぽく装ってみたつもり。一応、表面だけでも取り繕おうとしてみたのだ。勇者の髭はスルーしてくれているようだし。

 オリバー・セルフリッジは淡々と返す。

 「はい。前国王では、意見を述べただけで何らかの罪に問われ兼ねませんでしたが、今の国王…… 勇者様ならば大丈夫ではないかと思いまして…… それに、」

 「それに?」

 「今現在、我々の社会は危機的状況下に陥っています。避難民の衣食住の生活問題、取り分け、食糧問題を解決しなければ、この国は悲惨なことになってしまうでしょう」

 それを聞くとティナが言った。

 「つまり、あなたはその解決案を持って来たって訳ね?」

 それから勇者キークに目をやると、こう言う。

 「だからキークは、この男の面会をこの時間に設定したのかしら?」

 キークはにやりと笑うとこう返す。

 「もちろん、そうさ」

 が、

 「な、訳ないでしょう」

 とキャサリンが即座に否定。

 「分かってて言ったのよ」とそれにティナ。

 「この脊髄反射で生きているような男に、そんな考えがある訳ないでしょうが!」

 キークを指差しながらそう言う。それに構わず彼は相変わらずにやりと笑っていた。いや、どうしてなのか、よく分からないけど。

 オリバー・セルフリッジは、どうそのやり取りに応えたら良いのか分からず困ったような笑顔のまま柔らかく固まっていたりした。

 ま、困るよね。

 「いきなり部外者に、オレ達のグダグダをばらすなよ」

 そう言ったのは、スネイルだった。

 「うむ」と厳つく頷いてから「隠す気ナッシング」とゴウが言う。それからキャサリンがこう淡々と言った。

 「この人、頭が良さそうだし、多分、キークの髭を見られた時点で“なんかおかしい”とか思われているでしょーう。どうせそのうち直ぐにばれるわよ。なら、さっさと自分達から白状しちゃった方が、色々と気楽ってもんだわ」

 実際、セルフリッジは勇者の髭を見て“なんかおかしい”と思っていた訳だけれども。

 キャサリンの言葉を聞くと「まぁ、確かに構えたまんまだと疲れるわなぁ」とスネイルが続けた。

 「ん、ま、つまり、とにかく、この人の話を聞いてみようとは思ったって訳ね。取り敢えず、それくらいにはいきなり現れたこの人を信用してみる、と」

 そう言ったのはティナだった。

 「そうよ。どうせワタシ達に妙案はないんだし、最低限のこの人の人となりの調査は王様に話を持って来た時点で、下の人達がしているだろうし。ただ、それでも、問題点を敢えて言うなら、ざっと見る限り、この人は……」

 そう言いながら、キャサリンはセルフリッジを見やる。その視線を受けて、彼はさっき以上の困った表情を浮かべた。

 ま、こんな流れでそんな視線を受けたら、普通は困るよね。

 「この人は?」とスネイルが続きを促す。すると、彼女は言う。

 「ボケは、期待できそうにないわね」

 真顔。

 「あ、それ、実はわたしも思ってた」と、ティナが続ける。

 変な間が流れる。

 「ねぇ、みんな、そろそろ、この人の話を聞いてみない?」

 と、そこで勇者が。

 「黙れ!」

 そう他の四人が声を揃えて言った(ちょっと可哀想)。

 それから少しの間の後に、“話し始めるタイミングが難しいですね”とか思いながらも、セルフリッジがおずおずと口を開いた。「食糧増産は難しいと思われているようですが……」とかなんとか。幸いな事に、誰もそれを止めなかったし、ボケもしなかった。

 ボケが入ると、話が進まないし。

 「……実は食糧増産の手段がない訳じゃないんです。北方にあるクロナワ地方には、農地として利用可能な土地が余っているからですね」

 そうセルフリッジが言い終えると、スネイルが質問した。

 「ちょっと待て。クロナワ地方ったら、痩せた土地ってことで有名だろう? 農地として利用できるのか?」

 「はい。実はジャガイモならば充分に育てられると分かっているのです。もちろん、耕耘や多少の施肥は必要ですが、土質はまったく問題ないそうです。

 因みに、この話は国の資料庫で見つけたデータに基づいていますから、信頼はおけるのじゃないかと思います」

 それを聞いてティナがキャサリンを見ながら言った。

 「……だそうよ、農林水産大臣のキャシーさん」

 牽制球。

 「興味深い話だわね」

 と、それにキャサリン。淡々と。動じない。

 それから勇者キークがそれを聞いて、嬉しそうに言った。

 「なるへそ!」

 “なるへそ?”と全員が思ったけども、誰もツッコまなかった。多分、切りがないからだと思われる。

 「なら、そこでジャガイモを育てれば、それで食糧問題は万事解決するって寸法だね! ちゃっちゃとやろうじゃないか! ちゃっちゃと!」

 それにセルフリッジは困った笑顔を浮かべる。

 「それが、そう簡単にはいかないのですよ、勇者様」

 ティナが言う。

 「そろそろ“勇者様”じゃなくて、“天然バカ”って呼んでも良いですよ、セルフリッジさん」

 楽しそう。なんでか勇者キークはこの毒舌を、特に気にしてない感じ。

 セルフリッジは困った笑顔を引きつらせながらキークに言った。

 「まず、人手が足りません。広大な土地を農地に変えるのですから、それなりの人数が必要ですが、クロナワ地方はどちらかと言えば辺鄙な田舎で人口は少ないです」

 少し考えると、キークはこう返す。

 「なら、避難民達にそれをやってもらえば良いのじゃない?」

 セルフリッジは首を横に振る。

 「いいえ、それも難しいでしょう。さっきも言った通り、クロナワ地方は辺鄙な場所です。それだけの人数を迎え入れる施設がありませんから。それに、クロナワ地方に住む人達はどちらかと言えば排他的でして、避難民達を受け入れてくれるかどうかという問題もあります」

 キャサリンが言った。

 「なるほど。つまり、少ない人数で、なんとかそれだけの農地開拓をやってもらわなくちゃならないって事ね」

 ゴウが言う。

 「うむ。気合と根性で現地民にがんばってもらおう!」

 「いやいやいやいや」と、それに一同がツッコミを入れる。勇者まで。

 「それじゃ奴隷制と変わりないじゃない。それで食糧増産に成功しても、世の中は荒れるわよ。そんな事をしたら」

 ティナがそう言った。ゴウはやや不満そうにこう返す。

 「しかし、餓死者が出るよりはマシだろう?」

 「餓死者を出さない代わりに過労で死ぬ人が出たらシャレにならないでしょーう!」

 半ばツッコミを入れるようにそう言ったのはキャサリンだった。困ったような顔で、セルフリッジがその議論を止める。

 「まぁまぁ、焦らないでください。実は少ない人数で、農地を開拓できる方法がない事もない… かもしれないんですよ。ただ、問題は他にもありましてね。クロナワ地方の荒れ地を農地にする為には、肥料を運んだり収穫したジャガイモを運んだりする為に交通の便を良くする必要があります。ところが、現在、これも難しいのです」

 「どうしてです?」とティナ。

 「強力な魔物がクロナワ地方へ続く道がある森を棲家にしてしまっているのですよ。それで遠回りせざるを得ないのだとか」

 それを聞いて、一同はゴウを睨む。なんだか、今回は彼が悪者になる流れが多い。

 「なんで、そんなもんを野放しにしているのかしら? 防衛大臣!」

 ティナが言う。牽制球どころか、デッドボール。当てに来ている。ところが、それにゴウはやや憮然とした様子でこう返すのだった。

 「いや、俺だって倒していいのなら、倒すけどな。久しぶりにいい運動がしたいし」

 それを聞いてスネイルが「あー」と言って説明する。

 「魔王達との停戦協定があるから、下手に討伐できないのか」

 キャサリンが言う。

 「それを言ったら、そもそも、まだ魔物が“勇者領”にいるって時点で、魔王達の約束破りでしょーよ!」

 スネイルがゴウに質問をする。

 「当然、魔王達に退かせるようには言っているのだろう?」

 ゴウは「うむ」と頷く。

 「言ってはいるが、何にも返信がない。恐らくは、魔王が支配し切れていない魔物なのだろうなぁ。はぐれだ、はぐれ」

 ティナが言う。

 「そんなもん、魔王達になんか気を遣わないで、倒しちゃえば良いのじゃないの? 正当防衛よ」

 「いや、それが積極的に人を襲う訳でもないようでな……。通ったら襲って来るが。難しいラインなんだわ。こーいうの苦手」

 「ああ、それで“約束破りだ”って言われて、また魔物達が攻めてくる口実にされるかもって事ね」

 そこまでを聞いて勇者キークが言った。

 「よし! 倒しちゃおうよ」

 ティナが言う。

 「いや、あんた、今までの話を聞いていなかったの? だからそんな事をしたら、魔物の群がまたやって来るかもって……」

 「そうしたら、僕らもまた魔王達を倒しに行けば良い」

 それに「ああ、そうか」とスネイルが言う。

 「既にこの国は俺達のモノになっているし、仮に約束を破棄して魔王達を殺しても何にも困らない訳か。今更、前国王に国を返すはずもないしなぁ」

 キャサリンが手を合わせながら言った。

 「素敵。時々、発想が悪魔ね、勇者キーク様! この非道王!」

 淡々と。皮肉を込めているようには思えるけれど、あまり悪意はないみたい。「いやぁ、それほどでも」とキークは照れ、「褒めてないからね」とティナがツッコんだ。

 少しの間の後で、スネイルが口を開く。

 「で、そっちの魔物に関しては“倒しちまえ!”って事で良いかもしれないが、オレには農地開拓の方が気になるな。さっき、農地開拓の方法はあるって言っていたよな?

 なぁ、セルフリッジさん? それ、どうなの?」

 すると、それを受けてセルフリッジはようやく説明ができるといった様子でこう言うのだった。

 「はい。言いました」

 自信たっぷりの表情で続ける。

 「農地開拓の為の人数が少ない。なら、人数が少なくても農地開拓ができるようにすれば良いんですよ。

 つまり、技術を発達させればいい」

 それを聞くと、ただ一人、勇者キークだけが「おおぉ! そうか!」とそう感嘆の声を上げたが、後のメンバーは静かに固まっていた。その説明には疑問の余地がそりゃもうたっぷりあるといった感じだから。ティナが代表するように口を開いた。

 「いやいや、セルフリッジさん。それこそ、そんなに簡単にいかないでしょう? 技術なんてそんなにあっさりと発達するようなもんじゃありませんよ」

 ところが、それを受けるとセルフリッジはこう返すのだった。

 「いいえ、意外にあっさりといくと僕は考えています。何故なら、その技術を教えてくれる協力者がいるからです」

 「協力者? 誰よ、それは?」

 彼はにっこりと笑ってこう答える。

 「皆さんも知っている方ですよ。と言うか、だからこそ僕はここにこの話を持って来たのですがね。それは“闇の森の魔女”の異名で知られる魔法使い、アンナ・アンリさんです」

 「アンナ・アンリィ!?」

 その言葉にティナは過剰に反応して声を上げた。

 「いやいや、無理でしょ。あの人間嫌いの女が協力しっこないわ!」

 スネイルがそれに続ける。

 「ああ、確かに彼女なら何か農地開拓の役に立つような魔法技術を知っていそうだけどな。でも、すんなり教えてくれるかな?」

 続けてキャサリン。

 「性根が曲がっているし、そもそも人間に興味がなさそうだしね」

 それからゴウも「難しい御仁ではあるな」なーんて言う。

 なんだか“闇の森の魔女”さんは散々な言われよう。だけど、そんな風に皆が“闇の森の魔女”に対する決して良いとは言えない感想を述べるのを、一人、勇者キークだけが純な瞳で不思議そうに眺めていたのだった。

 「そーお? けっこう、良い奴じゃないかと僕は思うけど」

 「あんたは黙ってなさい」とそれにティナ。それからセルフリッジを見やると彼女はこう続けた。

 「とにかく、絶対にわたしは反対よ。頼みに行っただけで、何をされるか分かったもんじゃないわ」

 珍しくティナの言葉にキークが反論する。

 「でも、なんだかんだで色々と助けてもらったじゃない、彼女には」

 「それはあいつにとっても魔王が邪魔だったってだけの話でしょう? 言うなれば、利害の一致よ。もっと言っちゃえば、わたし達は利用されたのかもしれない。あいつは結局、最低限の労力で自分の土地から魔王の魔物達を退けられたんだから」

 その言葉にセルフリッジがわずかに反応を見せたけど、皆に特に気にした様子はない。

 「そうかなぁ?」とキークが言う。

 「そうよ」となんでか怒りながら、ティナは返した。ティナはどうやらアンナ・アンリを個人的に嫌っているようだった。キャサリンが次に口を開く。

 「まぁ、“利用された”は言い過ぎだと思うけど、そんなに簡単な相手じゃないってことは確かよ、セルフリッジさん。何かアンナ・アンリにとってもメリットがないと、絶対に協力してはくれないと思う」

 ところが、それを聞くとセルフリッジは大きく首を傾げてこんな事を言うのだった。

 「そうですかぁ? 社会学者をやっている僕の目からは、資料を観る限り、大いに協力してくれそうに思えるのですが。アンナ・アンリさんは、シルベット地方一帯を魔物達から守っていたのでしょう? 彼女が使役する“闇の森の獣達”を使って」

 その彼の言葉に、ティナはため息を漏らした。

 「甘いわ。あの女は単に自分のテリトリーを侵されたくなかっただけよ。そこに偶々人間達が住んでいたというだけの話。それに、あの女にとっては、魔物の群すらも、自分の可愛いペット達の餌だったみたいだし」

 「餌?」

 「そうよ。思い出しただけでも、ゾッとするわ。あの黒い闇の異形の獣達が、魔物達を呑み込んでいる姿は……」

 

 “闇の森の魔女”アンナ・アンリ。

 彼女はシルベット地方にある“闇の森”に住まう魔女で、転生を繰り返し、もう二百年以上も生きているらしい。光を吸収する“闇の森”にはそれをエネルギー源にして動く多種多様な“闇の獣達”がいる。と言っても“闇の獣達”は生物ではない。言うなれば、魔法で産み出された疑似生命。単に動いて、魔法を使うというだけのもの。闇の獣達は、そこで消滅と再生とを繰り返し、永遠に戦闘を続けている。そして、その過程で様々な魔法を生みだしてもいる。

 つまり、“闇の森”と“闇の獣達”は“闇の森の魔女”の巨大な魔法開発実験装置なのだ。ただし、もちろん、それだけじゃない。

 闇の獣達は同時に彼女のボディガードで召使でもあり、彼女の命令に従い、様々な仕事をこなす。彼女のいる地方に侵入してきた魔物達を倒していたのもその一つ。つまり、理由は違うけども、闇の森の魔女も勇者達と同じ様に魔王達と戦っていた事になる。

 そして、だからこそ、協力を得る為に勇者パーティ一行は、彼女の地を訪ねた。訪ねたのだけど……

 彼らはそこでおぞましい光景を目にしてしまったのだった。

 「ギヒィ!」

 と、その光景を初めて見た時、ティナは悲鳴を上げた。黒い顎しかないような闇でできた獣、その魔女の使役する異形の獣が、馬に似た姿の魔物を丸呑みにしている。ヘビでももうちょっと上品に丸呑みするんじゃないかという感じにエグイ。そういう系が駄目なティナは、その時点で既に完全にアウトだった。他のメンバーも、勇者キーク以外は闇の森の魔女に引いていた。

 こりゃ、いい人って訳じゃなさそうだ。

 なんて、その時点で思ってしまう。

 その後、彼らは闇の森を訪ねてそのおぞましい獣達と戦ったり、なんとか一応客として迎え入れられたりした訳だけど、“人間嫌い”で有名な“闇の森の魔女”アンナ・アンリは冷たい態度を彼らに見せ、「こいつは、嫌な奴だ」という印象を、拭い去れないものにしたのだった。

 ただし、何故か勇者キークだけは別だったのだけど。彼は彼女を気に入ったようで、積極的に仲間にしたいとまで言った。だからなのか、アンナ・アンリもキークにだけはちょっとばかり甘かったみたい。

 

 「絶対に反対!」

 と、ティナが言った。

 彼女が一番、闇の森の魔女を嫌っている。それは彼女の使役する“闇の獣”がエグイだけが原因じゃない。まぁ、書かなくても分かるかもしれないけども、闇の森の魔女がキークに甘いから。

 「っても、他に手段はないのじゃない? 駄目元でチャレンジしてみるってのは、アリだと思うわよ」

 そう言ったのはキャサリンだった。それを聞いて、ティナはキャサリンを睨みつける。“おお、怖い”と、キャサリン。心の中で。

 「そもそも、誰が説得に行くのよ。あの性悪女の所に!」

 そうティナが言ったのを受けて、キークが言う。

 「なら、僕が行こうか? セルフリッジさんも連れてさ」

 「は?」とティナ。

 「久しぶりに、彼女にも会いたいし」

 即座にティナは返す。

 「そんなの駄目に決まっているでしょうが!」

 思わずそう叫んだ彼女を、皆が見守った。変な間が流れる。

 「なんで?」とキーク。

 「それは……、ええっと、あなたが王様だからよ。王様があんな変で危険な女に会いに行くなんて有り得ないでしょう?」

 「危険なんて事はないと思うけど?」

 「それだけじゃないわよ。長い間、王様が国を空けるのも問題でしょう?」

 それにはキャサリンが答える。

 「でも、キークは実質、ほとんど何にもやってないじゃない。ぶっちゃけ、いるだけって感じよ。少しの旅くらい平気じゃない?」

 スネイルが続ける。

 「俺も別に問題ないと思う。多分、平気だろう」

 ゴウも頷く。

 「他に適任も、行きたがっている人もいないしな」

 その皆の言葉を聞いて、ティナはフルフルと震え始めた。

 「分かったわよ」

 と、そう言って続ける。

 「わたしが行けば良いんでしょ! わたしがセルフリッジさんを、あの女の所まで連れて行って説得するわよ!」

 ティナがそう言い終えると、パンッとキャサリンが手を打ってから言った。

 「はい、決定。じゃ、後はよろしくねー、ティナ」

 彼女は非常に面白そうにニヤッと笑っていた。

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