東北大震災と菅総理
東北大震災(ウィキペディア参照)
地震発生2011年(平成23年)3月11日14時46分18秒(日本時間)、宮城県牡鹿半島の東南東沖130km、仙台市の東方沖70kmの太平洋の海底を震源とする東北地方太平洋沖地震が発生した。地震の規模はモーメントマグニチュード (Mw) 9.0で、発生時点において日本周辺における観測史上最大の地震である。震源は広大で、岩手県沖から茨城県沖までの南北約500km、東西約200キロメートルのおよそ10万km2という広範囲全てが震源域とされる。最大震度は宮城県栗原市で観測された震度7で、宮城・福島・茨城・栃木の4県36市町村と仙台市内の1区で震度6強を観測した。被害この地震により、場所によっては波高10m以上、最大遡上高40.1mにも上る巨大な津波が発生し、東北地方と関東地方の太平洋沿岸部に壊滅的な被害が発生した。また、巨大津波以外にも、地震の揺れや液状化現象、地盤沈下、ダムの決壊などによって、北海道南岸から東北を経て東京湾を含む関東南部に至る広大な範囲で被害が発生し、各種インフラ(人々の生活に必須な、いわゆるライフライン)が寸断された。2015年(平成27年)3月10日時点で、震災による死者・行方不明者は18,475人、建築物の全壊・半壊は合わせて403、621戸が公式に確認されている。震災発生直後のピーク時においては避難者は40万人以上、停電世帯は800万戸以上、断水世帯は180万戸以上等の数値が報告されている。復興庁によると、2015年2月12日時点の避難者等の数は209,862人となっており、避難が長期化していることが特徴的である。
福島第一原発地震から約1時間後に遡上高14 - 15mの津波に襲われた東京電力福島第一原子力発電所は、全電源を喪失。原子炉を冷却できなくなり、1号炉・2号炉・3号炉で炉心溶融が発生。大量の放射性物質の漏洩を伴う重大な原子力事故に発展した(→福島第一原子力発電所事故)。この事故は国際原子力事象評価尺度で最悪のレベル7、チェルノブイリ原子力発電所事故と同等に位置付けられている。同原発の立地する福島県浜通り地方を中心に、周辺一帯の福島県住民の避難は長期化するとともに、2012年からは「帰還困難区域」「居住制限区域」も設定された(→福島第一原子力発電所事故の影響)。その他に火力発電所等でも損害が出たため、東京電力の管轄する関東地方は深刻な電力不足に陥り、震災直後の一時期には日本国内では65年ぶりに計画停電が実施された。計画停電は東北電力管内でも震災直後に実施されたほか、翌2012年の夏前には関西電力管内でも大飯発電所(大飯原発)の再稼働を巡って論議が起き、計画停電の可能性が議論された。
東北大震災発生
仙台在住 木暮 十冬の実体験
2011年(平成23年)3月11日14時46分18秒
「あ~~お買い物も終わったし、御飯食べて、小説書かなくちゃ」
私は、1週間分の食料品を買い、一人住まいの身としては不似合いな大きな冷蔵庫に、食料品を収納し終えた。今日は、仕事は休みだったので、食料品の買い出し日となっていた。米は、田舎の両親から、送られた30キロがそのまま残っていた。砂糖、塩、醤油、味噌、ケチャップ、ソース等など足りないものはなかった。買い出しから帰った時間は午後1時30分頃には、アパートの部屋に戻っていた。買ってきた出来合のコロッケをメインに昼食を食べ終わったのは、午後2時過ぎ。
お腹も満たされ、パソコンをオンラインにし、趣味で書いている小説を書き始めた。
2011年(平成23年)3月11日14時46分18秒、遠く荒浜海岸の方角から、ドゴーン・ドゴーン・ドゴンという地鳴りが聞こえてきた。
「あっ、地震だ・・」
初めは、古屋のアパートが、カタカタと音を立て始め、直ぐに、
どっがっああああああーーん、だがっだがっだがっ、ガゴッドガッがっがだっがっがっああああーーーガシャガシャガジャグジャどがっどがっ・・
とアパートが大きく揺れだした。
「きゃっあああああーーーうわっあっああああーー・おっ・大きぃぃーー・・・」一瞬で、地震の大きさを悟った。
凄まじい大きな横揺れが始まった。同時に、部屋中の物が踊りだした。
ガッチャン・ガガガガッチャン・どがっあああーー
「きゃっあああーーあわっ・・ひぃっいいいいいーー」
私は悲鳴を上げながら、直ぐに立ち上がりパソコンを両手で押さえた。私の大切なパソコンは、小説の画面のままでいた。一番高い棚にハードディスクが置いてあったので、落下させないように必死に抑えて、揺れが収まるのを待った。
揺れは、止まらない。
これまでに経験した普通の地震、震度4クラスとか6クラスは、20~30秒とかで仙台では収まっていた。
揺れは、止まらない。
がだっあっあーーがじゃっああー・がじゃ・がじゃ・ばぎゃっばぎゃっ・どがっあっあああーどがっ・どがっ・どがっ・どがっ・どがっ・どがっ・どがっ・どがっ・どがっ・どがっ・がっちゃあああーー・・バジッ・バジッ・がっちゃあああーー・・バジッ・バジッ
揺れは、止まらない。
建物が歪むように揺れている。必死になって、ハードディスクを両手で抑えている。1分を過ぎても、揺れは激しさを増していく。凄まじい横揺れが続いている。まるで小舟に乗っているように建物が凄まじい音と共に、動いている。
がっあっがだっ、バジッ・バジッバジィィーー
と電気が点いたり消えたりし始め、過電流でパソコンのハードディスクから火花が出た。電気が切れた。
「きゃっああああーー・・とっ・止まんなぁぁぁーーーぃぃぃーー」叫び声を上げながら、必死になって抑えていた。火が吹いたハードディスクをそれでも両手で必死に抑えている。しがみついていた。何も考えれず、地震の収まりを待った。
揺れは、止まらない。
「きゃっあああああーーーたっ・助けてええええええぇぇぇぇーーーあっ・あ~~おっ・収まるっ・やっと収まるうううーーーー・・・きゃっあーああああああーーーー・ま・又っ・・き・来たああああーー」収まりかけた揺れが、再び、始まった。
凄まじい恐怖心で、身体が動かなかった。
「しっ・死ぬううううーーーきゃっああああああーーと・とまんなん~~いぃぃーー」
がだっあっあーーがじゃっああー・がじゃ・がじゃ・ばぎゃっばぎゃっ・どがっあっあああーどがっ・どがっ・どがっ・どがっ・どがっ・どがっ・どがっ・どがっ・どがっ・どがっ・がっちゃあああーー・・バジッ・バジッ・がっちゃあああーー・・バジッ・バジッ
凄まじい横揺れと凄まじい音は、止まらない。
部屋中の物が、倒れ、散乱している。棚から物が落ちていた。皿が落ちる、茶碗が破れる。どうすることも出来なかった。必死に、自分を支えるように、パソコンのハードディスクを抑えている。それしか、為す術が無い。
揺れてから、2分は過ぎていた。
「と・とっまってええええーーー」
それでも揺れは止まらなかった。
がだっあっあーーがじゃっああー・がじゃ・がじゃ・ばぎゃっばぎゃっ・どがっあっあああーどがっ・どがっ・どがっ・どがっ・どがっ・どがっ・どがっ・どがっ・どがっ・どがっ・がっちゃあああーー・・バジッ・バジッ・がっちゃあああーー・・バジッ・バジッ
そして、恐怖の時間は、止まった。
2分30秒も揺れ続けて、やっと収まった。部屋は、散乱していた。食堂は、割れた食器類で足を踏む場もない状態だった。
「にっ・逃げなくちゃああああーーくっ・靴っ・・靴ううううーーー・・こ・こ・コートーーセ・セ・セーター・・」やっと収まった地震に、身体中がガタガタガタと震えていた。玄関の靴を履いて部屋に土足で上がった。急いで、穿いていたズボンの上にズボンを重ね着して、着ていたセーターに更にセーターを着て、マフラーを巻きつけ、コートを着て部屋から出た。慌てて階段を降りると、外気の冷たさが衣服の中に滲み込んで、震える身体を更に震えさせている。
アパートの広い駐車場には、住人が何人かいた。
「大丈夫、怪我してない?」初めて見た同年代の女性から声をかけられた。
「うっ・うん・・だ・だ・・大丈夫・・うっ・・うっ・・」私は、泣きだしていた。
「もう、大丈夫よ・・泣いて良いのよ・・大丈夫よ」
「きゃっああああーーー又来たわ・・」
本震が終わって、直ぐに余震が始まった。余震と言われるようなレベルではなかった。本震のような強さの揺れだと思った。駐車場の真ん中に立って次々襲ってくる余震に怯えていた。
ガシャガシャッドガッドガッガシャガシャガガガアアアアアーーー
本震が、終わってから10分~20分間隔で、震度4クラスの地震が地面を揺さぶっている。
「つ・つ・津波は・・」私の住まいは、若林区の河原町。
「大丈夫よ、ここまで来ないわ・・」向かいのアパートから出てきた、老婆が囁くよう言った。
「けっ・けっ・携帯ぃぃーー・・み・み・見れるかしら・・」身体の震えも止まらない。声の震えも止まらない。ガタガタガタガタと死の恐怖から脱出する為の震えは、止まらない。
がちゃあああーーどがっあああーーガシャガシャガシャーー
「きゃっああああーー又ぁーーキタアああーー」駐車場は広い。真ん中に立っている。
余震だった。電信柱が、激しく横に揺れている。アパートのトタン屋根が、ガシャガシャと激しい音を出している。
「携帯電話は繋がらないわ・・ネットも駄目だわ・・」見たこともない若い女性だった。
「余震が酷いねぇーー・・きっと大津波が来るよ」
「えっここまで来るかしら・・」
・・・・も・も・もし来るなら・・に・逃げなくちゃ・・・・
兎に角逃げなくちゃと思った。
「来ないわよ、4号バイパスは越えないわ、安心して・・」老婆は、確信でもあるのか、再び、来ないと言った。
「わ・ワンセグ・・つ・つ・点けて見るわ・・」声が震えが止まらない。
・・・・大津波警報・・大津波警報・・海岸部の皆様は速やかに避難して下さい・・・3メートルを越える大津波が来ます・・沿岸部の方々は高い場所に避難してして下さい・・逃げて下さい・・・震度9弱の地震が発生・・・・
その時だった。
ぐっばっどっおおおおおおおーーーーん・・・ごおおおおおーーーん・・・・ぎゅいっいいいいいいいいーーーんど・・っおっおおおおおおおおおおーーーーーん・・・・
と、航空自衛隊のジェット戦闘機が、低空飛行で東の方角から、物凄いスピードで仙台上空に飛んできたのが見えた。それも相当に低い高度で突っ込んできた。凄まじい轟音が、仙台市の上空に鳴り響いた。仙台市上空を三周して、仙台空域からジェット戦闘機は、東方面に飛び去っていった。
「頼もしいわ・・」私は、何故かほっとしていた。
「偵察に来たのよあの飛行機・・まるで戦場・・みたいだわ・・」老婆が、小さな声で言った。
私達は、知らなかった。太平洋岸を襲った大津波が、これからどれほどの命を奪っっていくかなんてしる由もなかった。河原町は、海岸から10キロ以上離れている。ただただ生きている今の自分のことしか考えれなかった。
「きゃっあああーー又ぁぁーー来たわぁぁぁーー」
ガシャガシャッドガッドガッガシャガシャガガガアアアアアーーー
余震は、止まらない。それでも、小一時間も経つと、慣れてくる。部屋に戻ることにして、二階に上がると、白い雪が、舞い始めた。あっという間に、駐車場が真っ白く雪で埋まっていく。呆然と見ていた。
・・・・雪・・雪まで降るなんて・・神様はいないわね・・・・
雪が、初めて憎らしかった。アパートの部屋の中は、散乱している。ガラスで足を切らないように、土足のままで部屋に入って、更に、防寒着を身体に身につけた。
独り身のサバイバルが始まる。
・・・・み・水は・・あっ・・水は出る・・飲み水を確保しなくちゃ・・鍋・・水を鍋にいれるのよ・・・この寒さなら水は悪くならないし・・・そうだ・・焼酎飲もう・・身体を暖めなくちゃ・・あ~~良かった・・トイレが使える・・・あ~~ガスは・・駄目・・・電気も駄目ストーブも駄目ね・・寒いわよ・・夜は冷えるわよ・・夜が近いから準備をしなくちゃ・・食料品は間に合うし・・そうだ・・ガスコンロは・・え~~と・・あっ・有った・・ボンベが6本ある・・・お米は・・土鍋で炊けばいいわ・・良かったぁーー買い物した後で・・そうだ・・ロウソク・・無い・あ~~無いわ・・・確か・・電池式のライト・・・あっ・・電池が切れてる・・どうしよ・・・・
運が良かった。
アパートのドアーは広げて開けておいた。二階の外廊下に椅子を出して座り、コップに作った水割りの焼酎を飲みながら、白く降り積もる雪を見て思った。
・・・・酷い雪だわ・・真っ白くなるなんて・・神様なんかいないわ・・・・
どっがっああああーーーーガジャガジャガジャーーー
「きゃっああーーま・またきっ来たァァァーーー」
絶え間なく余震が、襲っていた。何度目の余震なのかわからなかった。胃の中に流し込んだ焼酎が強烈に熱く滲みていた。涙が、不意に落ちた。女一人味の不安が夕暮れと共に増していく。
「ワンセグは・・・どうかしら・・」祈るような気持ちで、携帯電話をワンセグに切り変えると、
「荒浜海岸に・・1000体の遺体が打ち上げられているという情報です・・」
恐ろしい言葉が、耳に入ってきた。
「せ・1000人も・・」
ひっきりなしに救急車が悲鳴を上げて荒浜海岸目指して何台も、何台も走っていく音が、聞こえていた。やっと、気がついた。自分の事で、一杯になっていた。他者の事など、気遣う余裕もなかった。津波が、海岸沿いを全て襲い流していたとは、内陸部の住民達は、想像すら出来なかったのは事実だった。津波が来ても、せいぜい2~3メートルくらいだろうくらいの思いしか無かった。その思いは、ワンセグを見ることによって、完全に打ち壊されてしまった。
安易な思い込みは、完全に間違った。
この時間、想像すら出来ないほどの大津波が、太平洋沿岸部を襲っっていた。海岸から4~5キロメートルまで、凶暴な破壊力で襲いかかり、無慈悲にも人命や建物全てを破壊し尽くしていた。暖かった団欒の家が、場所が、思い出が、人命が、愛玩動物が、牛が、馬が、記憶が、津波に押し流されてしまい破壊され尽くした太平洋沿岸地帯。津波に破壊された家々から、高速で逃げるように飛び跳ねた「白い物体」通称妖怪「塗壁」まで、はっきりとテレビに映しだされていた。鬼太郎に出てくる白い「塗壁」のような不思議な物体が、現れ、不意に消滅していく映像は、津波に奪われた命の名残り火か、それとも妖怪か?
白く冷たい雪まで襲いかかった仙台平野は、夜の闇に包まれていく。
東の方向に目を向ければ、夜空が赤くなっている。
「仙台港・・仙台港・・かしら・・燃えている・・」夜の闇をオレンジ色に染めている火事らしい明かりは、更に私の不安を高めていた。情けを知らない白い雪は、夕方止んだ。
余震に備えて二階の踊り場で、椅子に座って飲んだ気付けの焼酎でも、心の怯えと不安は収まることはなかった。夜は、闇が確実に押し寄せてくる。
夜の闇が、暗さが、心の不安を増幅していく。
階下の住人から、蝋燭を借りて、余震の続くアパートの部屋に入った。散乱している台所の割れた皿やコップをそのままに、椅子に座って皿の上に蝋燭を灯した。
ぽっと、火が点いた蝋燭の炎の揺らめきが、闇を仄かに照らしている。
「うっ・・うっ・・ぐすっ・・くっくっうっ・・」
蝋燭の炎を見つめていると、自然と涙が溢れ出てきた。涙で滲んだ揺らめく炎は二重にも三重にも重なり、小さな灯りだったけど、頼もしく思え、ほっと心が安らいでいく。暫く、涙を流し続けていた。泣くことによって、心の平穏が少しづつ蘇っていく。
・・・・夜がきたわ・・今のうちに寝床の準備をしなくちゃ・・生きてるんだものね・・うん・・・・
覚悟した。サバイバルの準備だと思って覚悟した。
・・・・お・お湯を沸かなくちゃ・・電気は・・駄目・・そうだわ・・ガスコンロよ・・水道は・・あっ出るわ・・お鍋を洗って・・・・
仙台市河原町周辺は、水道だけは出た。電気もガスも駄目だったけど、水道だけは見事に出ていた。小さな鍋を洗って、ガスボンベ用のガス器具で、お湯を沸かした。お米は、冷たいままで残っている。おかずも冷蔵庫の中の物を食べれる。
水が出て、食事も出来ると言う事は、相当、運が良かった。
びぃぃーーびぃぃぃーー
フューチャーフォーンが、不気味な音を出して鳴り出した。遠くから、ドゴンドゴンと不気味な音が聞こえてきた。
「きゃっああーー・又、きたわあああーー・地震が来るぅぅーー」叫びながら、玄関ドアーを開けると、直ぐに、
どっどっどどどどおおおーーどじゃっあああ・・がしゃっあああああ・・どどどどどおおおおおーーーん
震度4以上と思われるクラスの余震だった。あれから何度も、何度も余震に襲われていた。古い作りのアパートが、凄まじい音と共に、激しく揺れている。アパートの大家さんは、金に糸目をつけない人間で、鉄筋筋外耐震補強は、何年か前には、完了していた。
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