謀略9
...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
沈黙を破り爆発音が轟く。
今度はリンの体内から。
ここからの距離は500m前後。
サルファ•マスドラと私との中間地点。
上空800m。
...キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
ジェットタービンのような回転音が轟く。
たかだか10mの生物が体内からこんな爆音を放っている。
小さな点が光を纏い巨大化して行く。
空は今日も吸い込まれる様に青く、
地上はまるでジオシティーのようだ。
超高層ビル群、片側何10車線もの道、自然、河川や噴水、公園。
整然とした美しい風景が続く。
地平の彼方まで。
こんなに緊迫しているというのに。
...キィィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
...ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド...
爆音は続く。
巨大化は、風船が膨らむというより、ランプの魔人が実体化するのに近い。
顔の形も皮膚も、皮膚の模様も、職人が丹念に彫ったように有機的だ。
アスカ計画によって作られた、兵曹胚には、陽極星、陰極星、右結合、左結合などの粒子の種類がある。
他にも中央極星、中央結合などもあるらしい。
エネルギーの種類により、大きな違いは無い。
というより、よく分かっていない。
ただ、極星の胚は陰と陽があり、陽極の方が圧倒的にエネルギー規模が大きい。
リンの甲殻の模様。
間近で見るのは初めてだ。
渦潮のような模様。
リンは巨大化し続ける。
金属の身体。
左右に目は3つずつ。
七つの目は青い強い光を放っている。
ジェニファーと同じ放電毛も持っている。
形態が似ている。
斧のような放電翼が広がって行く。
まるでスキャナーに映し出されるように断面を輝かせながら。
見た目は金属の鬼かサタン。
レビンと同じく、北軍のデイライトやノーランと並ぶ、アトラでは巨大兵曹の部類。
時折、金属の羽根が光を反射し、地上を照らしつける。
しかし、それでもマナは圧倒的に大きい。
マナはドーム球場なら、レビンとリンは中層ビルほどの大きさ。
20〜30m級の兵曹は豆粒にしか見えない。
ドームと同じ大きさの化け物が、超高速タワーを登る。
どれだけ異常な事態か...。
『...スターク。レオが撃つ。...』
....ゥゥゥゥゥゥウウウウウウーーーーーーーーーーーーーーーーー...
レオは3S級の兵曹。
コウモリの羽根のような放電翼。
「ホンミン。そっちが射角だ。バリヤー。メリカトル•トーアを防御!。」
真っ白い光を放つ。
『...承知!...』
体長は50m。
....コーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
...見..ろ。マナに...何か...がスパ...ーク...してる...
...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
超絶大玉の花火が弾けるような音。
マナの背中で炸裂する。
...あぁ..あの緑がマナだ...
...キュワァァァァァァァアアアアアアアアーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
『...撃つぞ!。...』
...ほらスパークが...煙が噴き上がってる...
レビンが撃つ。
真っ青に光を放つ。
レビンのカジキのヒレ。
3列の大きな放電翼。
メリカル•トーア側。
「...ベーン!。アイリーン!。バリヤ張れ!。そっち行くぞ。...」
『...了解!。...』
『...オッケーよ!。...』
...ゴゴオオオォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
...スパーク?..スパーク..って...何だ?...
...違う..違う..ほら!...あ..の..隣に..浮い..てる..スズメバチから...豆粒みたいの...から..もほら..また...
『...ウッ、クッ...』
『...目が焼けそうだ...』
...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
『...こっちから行くぜ!。...』
ベンが撃つ。
....ゥゥゥゥゥゥウウウウウウーーーーーーーーーーーーーーーーー...
...ゴゴォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーー...
...ほら...あれ!...
...あぁぁ...ば...バカ..ありゃ...ありゃ兵曹だ!...来るぞ!...粒子線だ!...く、来るぞ...
...来る?...何が?...
伝わって行く。
地上に衝撃波が。
...爆風だよバカ飛ばされるぞ...
...ま...マジか...マジか...あわわ...
『...将..補!将ーーーーー補ーーーーー!上が...撃って..ます!撃っ...てし..まって...ます!...』
デブリが地上に降り注ぐ。
『...な、何?。...い、い...かん!。アッ..テ..ネー...タフ...ルアップ!。ファザ...スシ..ールド...最大...展開!。何で...連絡が...来ない。...』
すまない。
『...スサノ...オ。ラジュ...カム..のバイ...パスを..通して...ます...』
持ち堪えてくれ。
『...なぜ...バ..イパ...スを...』
『...ま...マナが通...信を妨害...して..いま..す。...』
...き、来たぞ...バババ...防風体勢...バババ...防風体勢...ババ...うわぁぁ...ババ...バシャーン...バリ...アッテネータ出力上げろ...バリ...パリン...ガシャン...バリバリ...来たぞ...バリバリ...ガシャーン......ババババ...ファザスを出るな...バババ...テスタロッサ移動させろ...バババ...バシャーン...バリバリ...パリン...ガシャン...バリバリ...デブリが...デブリが...多過ぎる...バリバリ...ガシャーン......バババ...くそ...前が見えない...バババ...衝撃波...兵士は...兵士は無事か?...ババババ...バシャーン...サラバスターが防御しています...来るぞ...バリバリ...パリン...サラバスターが兵士を防衛しています...ガシャン...バリバリバリバリ...衝撃波...ガシャーン......バババ...兵士は無事です...バババそれよりシムゴードが...ババババ...バシャーン衝撃波...来ます......バリバリ...パリン...ガシャン...シムゴードデブリで進行不能...バリバリ....デブリで進行不能...バリバリ...ガシャーン...
マナはタフだ。
登るのをやめない。
これだけの攻撃を受けているにもかかわらず。
一国の大艦隊を殲滅するほどの火力。
殆どダメージを受けていない。
クリスタルドームに向かっている。
カーン達兵曹が、地上の部隊を守っている。
デブリから。
激しい振動や衝撃波から。
必死だ。
恐らく呼吸する間も無い。
特にスズメバチからの閃光は規模が大きい。
地上では鼓膜が破裂するほどの爆音になる。
地面が揺らいでいる。
激震のように激しく。
マナは明らかにこの2匹のスズメバチを嫌がっている。
100m級のスズメバチの。
初めて抑圧を感じている。
『...こちらレオナルド。シールドコクーンの防御。配置に着きました。...』
80体の兵曹が、レオを中心に蛹を囲ってファザスを展開している。
緑色の光のシールド。
三重に光の多角形が蛹を囲っている。
『...スターク。ご苦労。...』
期せずして幻想的。
超高層タワー ガナンの前。
『...お疲れ。...』
ここより100m低い位置まで大蛹を押して行く。
700m付近。
私は一旦お役御免だ。
サルファ•マスドラの低層では、エレーンと20体の兵曹がギガサ二ー10体と戦っている。
飛び立たせたら終わり。
マナとの連携を始めたら、もうこちらに勝ち目は無い。
雄はまだ上手く飛べない。
その隙にエレーン達は羽根が白いうちに粒子線で吹き飛ばす。
吹き飛ばしても直ぐに生えてくる。
それの繰り返しだ。
『...スターク!。行ったぞ!。...』
来た!。
...ビュウウゥゥゥゥーーーーーーーッ...
マナの鋏が。
...ガツッッ..グゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
私の倍以上あるデカい鋏が。
...ガギィィン...
...ウッ!...
...キュゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーン...
この鉈は重い...。
...何か...が弾いて...るぞ!...マナ...の鋏を...
...長い鞭..みたい...なの..がこの..モニターのあの...ハサ..ミだ...
...空中で...見え...ない何..かに弾...かれてる...
それは私だよ。笑
「この大鉈が折れそうだ...。」
...スタークだ...
これはレビンの大鉈。
...ドーーーーーーーーーーーーー...
...ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...
しまった!。汗
『...鋏がガナンにぶつかる!...』
ガナンのフロアを破壊して行く。汗
...パリーーン...ドシャァーーーン...
ガシャーーーン...パリン...
マナは全てのものを同時に相手にしている。
クリスタルドームやエルタンカー。
そして我ら全ての兵曹...。
...キュワアアアアアアアアアアアァァァァーーーーーーーーーーーーーー...
放電翼が青白く光る。
燦然と光を増している。
『...その棘を焼く。射角にいる兵曹は注意。カーン。ファザスを頼む。...』
リンだ。
...ゥゥゥゥゥゥゥゥウウウウウウ...
燦然と光を増す。
『.......展開してる。...』
!
...ボウゥゥゥゥゥーーーーーーン...
マナの棘が命中した。
タンカー防衛の飛馬艇に。
いや、貫通している。
兵曹にも。
まるでミサイル。
『...あぁ...。ベンが!。ベンが墜とされた!。...』
黒煙を上げてエルタンカーを防御していた兵曹が墜落して行く。
『...親衛隊!。何してる!。援護を!。...』
『...む、無理だ...。棘が速すぎる。どうやって。...』
『...撃ち落とせ!。レーザーでも何でも。...』
『...エルタンカー着陸します!。...』
『...着陸!?。どこにだ?。機種番号は!。..』
『...クリスタルドームにちゃ...着陸します。機種ナンバー...機種ナンバー...ど...どこに...。時間が...。』
『...く、クリスタルドーム...。わ、分かった。了解!。着陸を許可する。マナの攻撃でクリスタルドームは不安定だ。頼むぞ。...』
『...ひぇっ。で、出来るかな...。い、いややるしかない!。...』
ま、眩しい。
リンだ。
...コーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
リンが粒子線を吐いた。
...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
マナの頭部で炸裂する。
...ブゥウワーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
爆風がファザスを激しく揺さぶる。
...パリーーン...ドシャァーーーン...ガシャーーーン...パリン...ドシャァーーン...パリン...ガシャガシャ...パリーーン...
衝撃波がメリカトルトーア、そしてガナンまで広がって行く。
『...炭化しました。棘が吹き飛んでいます。全て。成功です。...』
『...ガナン耐久率下がります。...』
『...メリカトルトーア!。め、メリカトルトーア耐久力低下。激しく低下。...』
『...サルファマスドラ。耐久率78%。...』
『...ちゃ着陸成功!。し、しましたっ。ハッチ、ハッチが...。みなさん!。ハッチを開けまーす!。直ぐに発進します。れ、レバーが...汗...こ、こ、これだ。...』
『...エルタンカーの君。通信を...必要な時...』
『...カーンだ。こちらが別回線を開く。そのままでいい。...』
...キャーー...キャアアァァァー...うわぁーーー...キャーーーー...おおぉ...ヒイィ...キャーーー...ギャァァァァァ...うおーーー...うわぁぁ...ギャァァァ...キャーーー...キャーー...キャアアァァァー...うわぁーーー...キャーーーー...おおぉ...ヒイィ...キャーーー...ギャァァァァァ...うおーーー...うわぁぁ...ギャァァァ...キャーーー...キャーー...キャアアァァァー...うわぁーーー...キャーーーー...おおぉ...ヒイィ...キャーーー...ギャァァァァァ...うおーーー...うわぁぁ...ギャァァァ...キャーーー...
『...子供を先に!。順番に!。押さないで!。ま、待って。待ってください。あぁぁ...。押さないで。飛べなくなる。閉まらなくなるから!。ハッチ!。ちょ!。待ってー。待ってください。...』
...キャーー...キャアアァァァー...うわぁーーー...キャーーーー...おおぉ...ヒイィ...キャーーー...ギャァァァァァ...うおーーー...うわぁぁ...ギャァァァ...キャーーー...キャーー...キャアアァァァー...うわぁーーー...キャーーーー...おおぉ...ヒイィ...キャーーー...ギャァァァァァ...うおーーー...うわぁぁ...ギャァァァ...キャーーー...キャーー...キャアアァァァー...うわぁーーー...キャーーーー...おおぉ...ヒイィ...キャーーー...ギャァァァァァ...うおーーー...うわぁぁ...ギャァァァ...キャーーー...
『...ダメだ。乗り切れない!。待って!。待ってください。もう一度来ます!。必ず。譲って!。子供が先!。あぁ。エルタンカーが、エルタンカーが。...』
『...ん...。んん...。あの若造があそこまでやってると言うのに。な、何をしておる。中央軍は何をしておるのだ!。おい。リン。何とかしてやれ!。...』
『...手一杯だ。あんたがしろ!。何言ってんだ!。ダメだこのおっさんは!。ガナンにいる兵曹!。誰か!。...ひっ!。...うぉぉ。...』
『...仕方がない。見ておられん。私が直々に援護する。...』
『...え?。隊長殿が?。...』
『...お前達!。私に棘が刺さらんように援護頼むぞ。救命隊のバドランサー達!。付いて来い!。...』
『...た、隊長!。りょ、了解です...。おい!。隊長殿を援護するぞ。...』
...オー...おぉぉ...おーー...オオー...おー...オーーー...オゥ...オー...おぉぉ...おーー...オオー...おー...オーーー...オゥ...オー...おぉぉ...おーー...オオー...おー...オーーー...オゥ...オー...おぉぉ...おーー...オオー...おー...オーーー...オゥ...オー...おぉぉ...おーー...オオー...おー...オーーー...オゥ...オー...おぉぉ...おーー...オオー...おー...オーーー...オゥ...
『...チッ...あいつら...上司の為には命かけるのか?。...』
『...良し!。いいぞ!。着陸しろ!。バドランサー!。小僧!。エルタンカーの小僧!。みんなに伝えろ!。もっと安全なのが5機来るぞと!。...』
『...バドランサーワン。着陸軌道に入ります。行きます!。...』
『...バドランサーツー続きます!。...』
『...おい!。スリーは待て。クリスタルドームが持たん。...』
『...やるじゃん。オヤジ。...』
『...誰だぁーーーーーーっ!。オヤジって言いやがったのは!。女ぁーーっ!。貴様許さん...。』
『...危ないっ!...』
...ビュウウゥゥゥゥーーーーーーーッ...
鋏がバドランサー3を...。
『...あぁぁ...』
...ゴゴゴゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
鋏に閃光が激突する。
...ズゴオオォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
タカムラの目からレーザーが。
『...あれ。え?。親衛隊のおっさんがやったのか?。...』
マナの鋏が空中で弾け飛ぶ。
粉々に吹き飛んで行く。
『...お、お、おっさんだと?。うぬら絶対に、絶対に許さん。怒...』
『...破片を散らしたらヤバイぞ!。...』
『...ちゃんと炭化しとるわ!。誰だ貴様は。無礼者!。この私を誰だと思っている。私は元老院直属の全体の長...。』
『...危ない!。』
...ビシュッッ...
...ガギィィーーーーーーーーーーーーン...
タカムラがマナの棘を弾く。
....ブウゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
容赦無くいくつもの棘が飛んで来る。
...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
タカムラが棘を蹴り飛ばす。
『...やりおるわ。あのジジイ。笑...』
『...無礼者!。レビン!。貴様!...』
私もまごまごしていられない。
中央軍の兵曹である私が、遅れを取るわけには行かない。
「私も兵曹を上げます。援護を!。」
『...あぁ。すまん。俺が援護するぜ。スターク。...』
『...雑魚は後にしろ。先に私が。全体の長として...』
『...レビン!。タカムラ親衛隊長殿が先だ!。エレーン!。聞こえるか?。カーンの兵曹上げ援護してくれ。そして上がって来い!。...』
『...俺だ。カーンだ。エレーンは今無理だ。変わりにケィティが行く。...』
『...マジか...。俺があのおっさんの...。その前に。取り敢えず。眼も焼いとこう。邪魔だろ。これ。...』
『...早くしろ。レビン!。貴様!。...』
...キュワアアアーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
レビンの放電翼が発光する。
口から閃光が迸る。
...ゴゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
....ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
砲撃がマナを直撃する。
頭部が炎を噴き上げている。
...ギュギュゴワワーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーゴワワワーーーーー...
マナが悲鳴を上げる。
『...め、メリカトルトーア耐久率低下します。...』
『...スサノオからアラート。...』
...ビュオウゥゥゥゥッーーーーーーー...
『... レビン後ろ。 ...』
『... ウッ...クッ。 ...』
『... 危ない!。 ...』
...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
...ドドドドーーーーーーーーーーーー...
シムゴートが爆発する。
『... い、命拾いした。ど、どこから?。 ...』
...ピシュウゥウゥ...
...ズガゴーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
『...熱線来やがった。...』
レビンがシールドで弾き飛ばす。
辛うじて。
『...複眼は健在!。寧ろ回復しています。...』
『...俺様のアレを食らって...。...』
『...お前らもあまり変わらんではないか。我が隊長殿の援護を先にしろ!。...』
...グワアアアアアアァァァァァァァァゴゴゴゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
マナが咆哮を上げる。
『...頭は吹き飛んでいます。複眼だけが...。』
...ビシュウゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーッ...
鋏が大蛹を襲う。
『...レオ!。...』
『...行くぞ!。みんな!。...』
...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
レオが粒子線を放つ。
『...レオ!。後ろっ!。...』
『...はっ!。...』
...ガギィィン...
...ガゥスゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
『...さ、サンキュー。ホンミン!。一体、どこから。汗...』
レオの率いる兵曹達が鋏を弾く。
ホンミンは電波塔並みの大槍を持っている。
『... あいつ...大蛹に気づいている。汗...』
太いツタが2つのビルを渡っている。
いつの間にか。
何だあれ?。
『...ヒノハラレンジャー ターボU離脱します。ヒノハラレンジャー ターボU離脱します!。...』
『...な、何だそりゃ?。...』
『...型番です..型番。...』
『...お?。おおぉ...。了解。民間のメガタンカー。ヒノハラレンジャー離脱するぞ。援護頼む。援護を。タカムラ親衛隊長殿。全体の隊長殿!。...』
『...な...何?。...うむ。コホン...。わ、分かった。わ、私に任せておきなさい。...』
『...バドランサーワン。離脱します。...』
『...バドランサーツー。続きます。...』
...キャーー...キャアアァァァー...うわぁーーー...キャーーーー...おおぉ...ヒイィ...キャーーー...ギャァァァァァ...うおーーー...うわぁぁ...ギャァァァ...キャーーー...キャーー...キャアアァァァー...うわぁーーー...キャーーーー...おおぉ...ヒイィ...キャーーー...ギャァァァァァ...うおーーー...うわぁぁ...ギャァァァ...キャーーー...キャーー...キャアアァァァー...うわぁーーー...キャーーーー...おおぉ...ヒイィ...キャーーー...ギャァァァァァ...うおーーー...うわぁぁ...ギャァァァ...キャーーー...
『...ど...どうした?。何だ!...』
『...クリスタルドーム!。傾斜が。持ちません。後続の着陸不可能!。...』
...ドォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
『...おぉぉ。し、親衛隊長殿が...。』
...キィイィィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
『...隊長殿!。隊長殿が兵曹を上げられる。...』
銀色の兵曹が巨大化して行く。
鋼鉄の何の突起も無い外観。
地蔵か赤ん坊のようだ。
三日月型の目が六つ目。
赤い強い光を放っている。
放電翼は悪魔の翼の型。
二本の角が生えている。
鋼鉄の鬼の様な角。
『...時間が無い。私がクリスタルドームを持ち上げる。バドランサースリー、バドランサーフォー、バドランサーファイブ、全機着陸せよ。...』
...キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
...ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド...
タカムラの悪魔の羽は水平に向き、下限が激しく赤い光を放っている。
両脚がスラスターに変わった。
ロケット並の強烈な噴射。
『...本当にやりおる。...』
レビンが嬉しそうだ。
タカムラもやはり100m超級。
...ガッツーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
...ググググググググーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
悪魔の赤ん坊がクリスタルドームを持ち上げる。
一気に並行まで
凄まじい力...。
『...伊達にX超級じゃないわい。笑。...』
タカムラは元老院を防衛するためアダムと3度戦い、3度殺されかけている。
つまり、3回追い返している。
全力で官僚的な男。
『...見ろ!。壁を!。サルファとメリカトルの間にも。腕が!。...』
『...どこだ?...。蔦しか見当たらな...つ、つ、蔦!?。汗。蔦?。う、うわあぁぁ!。い、いつの間に!。...』
『...こっちはメリカトルトーアの装飾に紛れてやがる。こんなに正確に擬態してる。...』
『...あぁ...。リン。ま、マナが壁面に沿って腕を伸ばしています。...』
何本もの腕を伸ばしている。
蔦や壁面の意匠に擬態して。
『...炭化する。行くぞ!。コクーン防衛してないやつは取り付け!。...』
『...気をつけろ。何を仕掛けてくるかわからない。...』
マナはコクーン(さなぎ)を狙っている。
確実に。
恐らく、溶けたユーライを飲んでしまおうとしてる。
ケィティが登って来る。
デュランダル•レビンの妹分。
レビンが臓器商人から最初に救った孤児。
レビンを心から尊敬している。
一緒に下層市民の子供を助けるボランティアをしてる。
レビンの兄バカな愛情は、実の弟リッキーと同じくケィティ達にも注がれている。
長い放電毛。
ダチョウに似た大きな放電翼を羽ばたかせて。
放電翼が真っ青に光を放っている。
ティアラの様な角。
体長は30m。
丸みのある女の兵曹。
さっぱりした性格。
姉御肌。
『...地上から援軍。ケィティが来ます!。地上軍のケィティ。...』
『...ミケーレ。あんた行ける?。...』
『...ウッス。任せて下さい!。...』
『...じゃ頼むわ!。気をつけて。相手はマナよ!。油断しないで。...』
『...姐さん!。俺も行こうか?。...』
『...でも第2ファザスが...。...』
『...姐さん!。レオさんの場所は俺が!。...』
『...悪いなホンミン。...』
『...頼むわよ。みんな。ありがとう!。みんなでメガラニアのコクーンを護り抜くわよ!。...』
...ラジャ...OK...任せろ...了解です...オーライ...了解...任せて!...おー...了解だよ...任せとけ...りょ!...オッケーだぜ......オーー...ラジャー...オーケー...任せてください...了解です...オーライ...了解だ...任せて!...おー...了解よ...任せとけ...りょ!...オッケーだぜ...ラジャ...OK...任せろ...了解です...オーライ...了解...任せて!...おー...了解だよ...任せとけ...りょ!...オッケーだぜ......オーー...ラジャー...オーケー...任せてください...了解です...オーライ...了解だ...任せて!...おー...了解よ...任せとけ...りょ!...オッケーだぜ...
『...あはw。...』
...ドーーーーーーーーン...
...グワァァァァァン...
レビンがマナの鋏を掴んだ。
高速で縦横無尽に飛ぶ鋏。
恐らく利腕だ。
他の鋏の倍以上ある。
ケィティの倍の大きさの鋏。
『...おりゃぁぁ!。掴んだぞ!。...』
まるで万力。
レビンが押さえ込んだ。
マナの鋏。
3列の放電翼が真っ青な光を放っている。
レビンの脚も既にスラスターに変わっている。
強力な噴射。
...
...ギュウゥーーグゥオオオーーーーーギュウゥーーグゥオオオーーーーーギュウゥーーグゥオオオーーーーー...
マナが咆哮を上げる。
...ドドーーーーーーン...
...キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー..
破裂音が響く。
...メリメリメリ...
鋏が炭化しはじめた。
黒い粉が大気中に溢れ出す。
...グゥオオオオオオォォォォーーーーーーーーーーーーギャワゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴーーーーーーーーーーーー...
マナが怯えている...。
『...スサノオがシュミレーションを始めました!。...』
マナの意識のシュミレーションを。
過去の莫大なデータから予測して。
巨大な鳥のイメージ。
見上げる高さの。
いや... 。
ただの鳩だ...。
マナ自身が小さい...。
地面から引きずり上げられている。
クチバシで挟まれ。
強い恐怖を感じている。
イメージが変わった。
今度はネズミ...いや、モグラだ...。
自分の数十倍の大きさのモグラ。
暗闇から現れ突然自分の体を食いちぎる。
鋭い歯で。
マナにはレビンがそれのどちらにも見えている。
過去の記憶。
遠い遠い過去の...。
...ビシュウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッ...
黒い影が空を横切る。
...バッスーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
何かがレビンのシールドに激突する。
甲殻の破片が飛び散る。
...ブシュゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
体液が吹き出す。
『...クッ...』
マナの舌だ。
擬態した腕。
マナには逃げるという意識が無い。
あくまでも全てを捕食する気だ。
貪欲に。
何もかも飲み込む気だ。
棍棒のような舌は肉の破砕球のような先端に、二本の鋭利な牙がついている。
マナがレビンを投げ飛ばす。
折れた鋏で。
...ブウゥゥオーーーーーーーーーーーーーー...
...ババババババババババ...バシャーン...バリバリ...パリン...ガシャン...バリバリバリバリ...ガシャーン......ババババババババババ...バシャーン...バリバリ...パリン...ガシャン...バリバリバリバリ...ガシャーン......ババババババババババ...バシャーン...バリバリ...パリン...ガシャン...バリバリバリバリ...ガシャーン......ババババババババババ...バシャーン...バリバリ...パリン...ガシャン...バリバリバリバリ...ガシャーン...
レビンが激突する。
ガナンに。
激しく回転しながら。
『...し、しまった。...』
...ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド...
ガナン上層が崩れる。
『...ガナン耐久率32%。ガナン耐久率32%...』
...グォーーーーーーーーーーーゴゴゴゴーーーーーー...
マナが猛り狂っている。
炭化しボロボロと崩れて行く。
利き腕の大きな鋏が。
...キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
レビンの高圧炉が必死に胸の傷を塞いでいる。
...ゴーーーーーーゴーーーーーーゴゴーーーーーー...
...バタバタバリバリバリバリバタバタバタバタバリバリ...
...ココーーーーーーコココーーーーーーーーーーーーココーーーーーーーーーーーー...
彼方でエルバーン(航空護送艦)が、茶色い錆だらけのエルタンカー(航空輸送船)を追い抜いていく。
『...救出終わりましたこちらバドランサーファイブ。サルファ•マスドラの全ての市民救出終わりました。どうぞ。...』
『...私達も作戦に参加する。雄を殲滅をしに行く。但し一体は捕獲とする。ノー様のご命令だ。無視することなど許されん。あ...あの方が一匹で納得されるとは到底思えんが...。オノエめがまた大騒ぎするに違いない。鬼の首を取ったようにな。...はぁ..。...』
鋼鉄の赤ちゃんがボヤいている。
銀色の巨体を持て余しながら...。
...隊長!...隊長殿!...我々は隊長殿の味方です!...ついて行きますぞ!...隊長!...タカムラ隊長殿!...我らは皆隊長と一心同体...隊長!...隊長殿!...
『...うむ。...』
マナの炭化し腕まで広がって行く。
...グォーーーーーーーーーーーゴゴゴゴーーーーーー...
マナが苦しんでいる。
!
レビンが来る。
ガナンから。
...
...
...
...ズドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
レビンがマナの頭を組んだ両腕で殴りつける。
地面に叩き落とそうとしている。
マナの4本の足がまた変形する。
ビルに吸着する。
巨大なナメクジのような足。
また変態をした。
一瞬で。
...コーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
...ゴゴゴゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
リンの粒子線がマナの背中に炸裂する。
...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
...ズドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
サルファマスドラからマナを引き剥がさなけらば。
しかし、マナはビルの鏡面に張り付いて剥がれない。
...バキン...バキ...ボゥン...バギバギ...
サルファマスドラの壁面に亀裂が入る。
...ビュゥウオォーーーーーーーーーーーーーゥ...
『...しまった!。...』
何かが(大蛹)シールドコクーンを捉える。
錐のように鋭い爪。
ガナンの逆側。
メリカトルトーアとガナンの間にも太いツタ。
凄まじい速度でコクーンに向かって飛んで行く。
『...姐さん。!...』
『...ハッ!。汗。い、いつの間に!。...』
『...後ろはノーマークだった...!汗。...』
『...ま、間に合わない。汗。ファザス!。ファザスーっ!。...』
貫通したら終わりだ...。
!
...ブゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンッッ...
...ズドゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
黒いスピーダがマナの複眼に激突する。
まるで蟻の様に小さい。
ライダーは灰色のブレザーを着た民間人だ。
マナの爪は僅かにコクーンを逸れ、空を切る。
...ビュウゥゥゥゥッ...
ファザスが風圧だけで激しく揺れる。
マナの複眼の殻が完全に砕け散った。
...バスゥ...
...バリバリバリバリバババ...
ギリギリのバランスで持ち堪えていたマナの複眼。
スピーダーの激突で粉々に砕け散って行く。
複眼の中身が大気に剥き出しになる。
...シュウウウウゥゥゥゥ...シュウウウウゥゥゥゥ...シュウウウウゥゥゥゥ...
複眼がドロドロに溶け白煙を上げる。
...ゴォーーーーゴォゴォーーーーーーーーーーーーーーー...
ギガサニーが、空中で吠えながらのたうちまわる。
『...飛んだ!。...』
メリカトルトーア目掛けて跳躍した。
...ズドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
『...あぁぁ..さ、さ、サルファがお、折れる!。...』
飛び立った衝撃でサルファマスドラがゆっくりとそして激しく揺れている。
態勢を崩したマナがメリカトルトーアの壁面に雪崩れるように激突していく。
300メートルの身体はあまりにも重く大きい。
...パリーン...ズガーーン...ババババババババババ...バシャーン...バリバリ...パリン...ガシャン...バリバリバリバリ...ガシャーン......ババババババババババ...バシャーン...バリバリ...パリン...ガシャン...バリバリバリバリ...ガシャーン......ババババババババババ...バシャーン...バリバリ...パリン...ガシャン...バリバリバリバリ...ガシャーン...
窓、壁は粉々に飛散し、鉄骨がむき出しになる。
マナの爪が柱ごと壁面を切り裂いていく。
...ババババババババババ...バシャーン...バリバリ...パリン...ガシャン...バリバリバリバリ...ガシャーン...ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド....パリン...パリーン...ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...
黒いスピーダーはガナンに激突した後、何回もビルにぶつかり粉々に砕け散って行く。
操縦していた人間は、紙切れのように回転しながらはじき飛ばされる。
放物線を描き落下して行く。
高度は800m。
ミニチュアのような地上に向かって。
あの少年...。
勇敢な少年。
死なせやしない。
絶対に。
この私の戦士としてのプライドにかけて。
絶対に。
...ダーン...ダン...ダーーーーーーーーーーーン...
助けてやる。
待ってろ。泣




