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トリスタンの皇帝  作者: Jota(イオタ)
PR
42/382

謀略6


私の名はエイブラハム•ウィリレ。


....ンンーーーーーーーーーー...


...


...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...


墜落して来る。


飛馬艇やアパッチが...。


爆炎を噴き上げながら。


...ゥゥウウーーーーーーーーーーーーーーーーー...


...


...ズドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...


もうもうと真っ黒な綿のような煙を引きずって。


レディエードで、反重力板のアッテネータが異常反転した結果。


水の分子が電磁波で極性が変わり摩擦熱が起きるのと同じ。


レディエードは、生命エネルギーであるアルマダイに直接働きかけて、激しく粒子スピンを引き起こす。


ジニリウム装甲すら沸騰させる。


生体(アルマダイ)兵器として言うなら最強だ。


墜落する機体はどれも、装甲が激しく溶けて変形している。


中の人間は蒸発している。


恐らく一瞬で。


ボワガイガーの船外モニター。


マナと戦うユーライ(メガラニア)が見える。


...ゴゴゴゴ.......ゴゴ...ゴゴーーーーーーーーーーギギギギギ...ギギギギギーーーーーーーーーーーー... ...ゴゴゴゴ.......ゴゴ...ゴゴーーーーーーーーーーギギギギギ...ギギギギギーーーーーーーーーーーー...


上空からマナの咆哮。


...ゴゴゴゴ.......ゴゴ...ゴゴーーーーーーーーーーギギギギギ...ギギギギギーーーーーーーーーーーー... ...ゴゴゴゴ.......ゴゴ...ゴゴーーーーーーーーーーギギギギギ...ギギギギギーーーーーーーーーーーー...


まただ...。


メガラニアが近づいてからずっと。


齢15の兵が、荒くれ者ばかりの屈強な兵曹団を従えていることが驚きだ。


ダンナはリンを説得したらしい。


リンはアダムの元にいて、アダムと共にユーライを滅ぼそうとしていた。


ダンナは決戦の場で、死にかけたユーライに加勢した。


その場でリンを仲間に引き入れた。


あの誠実なリンが寝返るには、余程の理由があったはずだ。


アダムが危険な存在である事は、誰もが知っている。


また、その力にアトラが頼らざるを得ないことも。


リンもそれを知っていた。


なのになぜ。


我がボス、スレーターはザネーサーに殺されかけてまでメガラニアの元に馳せ参じた。


ハイドラの明王マジアとマジゥはそれぞれ12歳、11歳でアンティカになったと言う。


史上最強のアンティカ達。


ハイドラの歴史上初めて、ハイドゥクの戦闘力を上回るアンティカ。


2人同時に。


しかも、まだ幼さの残る少年。


そんな事が現実にある訳がない。


抑止力にするためのプロパガンダだろう。


だが、メガラニアを見れば、全くのでまかせではない気もする。


!


...ゴゴゴゴ.......ゴゴ...ゴゴーーーーーーーーーーギギギギギ...ギギギギギーーーーーーーーーーーー... ...ゴゴゴゴ.......ゴゴ...ゴゴーーーーーーーーーーギギギギギ...ギギギギギーーーーーーーーーーーー...


マナがユーライを掴もうと暴れている。


サルファ•マスドラの壁面に吸着しながら。


ガマガエルに似た一つ目のセミ人間。


壮絶な大きさ。


体長300mのガマガエル。


奴が暴れるたび地上まで振動が伝わって来る。


ユーライがダブルドラゴンでギガサニーの腕をなぎはらう。


...バッスゥゥ...


!


モニターの映像が激しく揺れる。


...ギギャーーーーーーーーーッ...


ギガサニーの右の腕が吹き飛んだ。


この映像は航空戦車(シムゴード)テスタロッサMKからのもの。


...ガッシャーーーーーーーーーーーーーーーン...


...パリーーン...ドシャァーーーン...ガシャーーーン...パリン...ドシャァーーン...パリン...ガシャガシャ...パリーーン...


...ドダーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...


腕は一区画先のビルに激突。


地面に落ちて行く。


ファザスに激突したら厄介だ。


「おい!。おっさん女!。レズ野郎!。ボサっとしてないでアッテネータの点検でもしろ!。」


「あ、あぁ...すまん。」


「ボサっとしやがって!。ったく。使いものにならねぇな!。おまえみたいな女、何のために生きてんだ?。」


流石に傷つく。


私は短髪でガタイも良い。


日焼けもしてる。


だが、これでも女だ。


こいつはトム。


3等市民の兵士。


30代後半の男。


私より10歳以上年下。


こいつ以外は皆良い奴なのに。


テスタロッサMKは重厚で黒く平たい大型戦車。


最新鋭の超重量級ハイテク シムゴード(航空戦車)。


補正機能も最新のはず。


にも関わらず、斬撃で激しく機体が揺れている。


『...おい!。何やってる!。...』


え?。ま、また...。


『...エイブラハム!。おまえだ。エイブラハム!。...』


え?。


え!?。


す、す、スレーターだ。汗


沿道の向こう。


スレータがシムキャストの上から手招きをしている。


『...え?。私...。は、はい!。将補!。...』


スレーターはシムキャストの上にいる。


自分と同じく白い色のシムキャスト。


豪華な城のような戦車。


『...おまえの名はエイブだろうが。俺の隊にエイブはおまえしかいない。...』


スレーター声がラジュカムから聞こえる。


至近距離だから耳が痛いほどの音量...。


20mの兵曹の乗る戦車。


『...は、はい。...』


私はジニリウムボウルキャタピラの半分の大きさも無い。


『...後方で休んでいろと言ったが、なぜそこにいる?。...』


し、し、しまった...。汗


シムキャストは低層ビル並みに大きい。


兵器は戦車に乗る兵曹そのもの。


『...は、はっ。申し訳ございません!。中にいた私は奴らを少し分かります。戦況次第によってはまた出撃もあるかと。...』


トムがニヤニヤして見てる。


『...バカ者!。命令は絶対だ!。...』


『...ひっ...はっ、は...はっも、申し訳ございません!。...』


トムが睨みながら道にツバを吐いている。


周りの兵士達の白い目...。


『...そこにいるなら、上がって来い!。...』


え?。


え?。汗


わ、私が?。


わ、私のような下級戦士がシムキャストに!?。汗


トムの表情がひきつる。


周りの兵士達の驚いた顔。


『...しかし。...』


『...命令だ!。バカ者!。最上段まで来い!。直ぐにだ!。...』


え...。


さ、最上段...。


参謀級しか登れないはず。


『...おい。アルト。登り方教えてやれ。...』


『...はっ!。早くしたまえ。エイブラハム3尉。...』


シムキャストから階段が降りてくる。


アルト大尉が階段を駆け下りて来る。


シムキャストは3層になっている。


中央に鋼鉄の巨人である兵曹。


各階の前方には操縦士。


各階にはアンドロイドや装甲兵。


上に行くほど階級が上がる。


最上段は参謀級。


兵曹のブレイン役だけが登ることを許される。


『...ハッ!。...』


私はシムキャストに走って行く。


慌てて。


転びそうになりながら。


白い戦車に。


今度は誰も笑わない。


嫌がらせもしない。


全兵士が道を開けてくれる。


さっきまで軽蔑していた視線。


羨望の眼差しに変わる。


...ドドドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...


巨大生物同士の戦いの壮絶さが伝わって来る。


遅れて届く爆音。


地面から直に。


化け物の腕が落ちてくる。


首が痛くなるほどの高い空。


回転し体液を撒き散らしながら。


スローモーション。


大き過ぎる。


...ガゴゴゴゴゴゴ...


300mのガマガエルは脚を滑らせた。


遥か上空で。


...ゴゴゴォォーーーーゥゥ...ゴゴゴゴゴゴーーーーーーーーーーーーゥゥ...


悲鳴を上げている。


...ドドドド...ガシャン..ドスッ...バスッ...ガスッ...パリン...


メリカル•トーアの残骸が降り注ぐ。


奴は今片手でぶら下がっている。


...ブシュゥーーーーーーーー...


...シュウウウウーーーーーーーーーーーー...


飛沫が周囲のビルを沸騰させている。


上空に白煙が立ち込め始めた。


濃霧の空のように。


上が何も見えなくなった。


...ゥゥウウーーーーーーー...


...ドドドドドドドドドドドド...


化学装甲車が


『...中和開始...中和開始..リゾルバー射出...』


『...風が強い...風向きは...』


『...mn12...y4027散布。...』


『...一機じゃ間に合わないぞ。...』


なぜかラジュカムも切れ切れ。


異臭を放っている。


ファザスには隙間がある。


異臭がすること自体危険。


どこまでも害のある怪物。


特にマナは。


...ボウゥー....ー...ーーー..ーン...


...キーーーー....ーーーーーーー....ーーーーーーー...


上空で破裂音が。


シムキャストのモニター。


大きくて見やすい。


豪華だ。


マナの傷はあっという間に盛り上り再生して行く。


これが炉の力。


...ゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...


...ズド...ウォンーーーーーーーーーーーーーーン...


...うぉおぉ...キャァァァァァーーーーーーーーーー...


アスファルトの破片が飛び散る。


マナの腕が地面に落ちた。


!


色が変わって行く!。汗


形も!。


ピンク色のムカデに変形にして行く。


幼体...。


ギガサニーの幼体。


これが特定危険生物の幼体。


...ゴゴゥゥーーーーーーーーーーーー....


...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...


...ゴォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーー....


...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーン...


!?


な、何の音?。汗


あらゆる場所で爆炎が上がってる。


『...雄のギガサニー達が熱線を放射し始めた!。...』


何て?。


そんな...。


雄たちはまだ成熟していない。


『...まだグレード3だ!。熱線を吐けるはずがない!。...』


『...今のレディエードでグレード7まで成長した!。既存の雄が!。スサノオのデータだ。3分前に更新されてる。...』


グレード7?。


完全な成体...。汗


あ、あ、あんな短いレディエードで?。


ケラムの生き物は成長が早い。


成体になるまで数年。


早くても半年はかかる。


まごまごしてたら他の種に食い殺されてしまうから。


でも、一瞬で...。


『...奇形がいる。仲間に喰われてる。...』


ただ、レディ•エードによる急激な成熟は、歪みをもたらす。


寿命は確実に半分以下だ。


奇形だったり。


その逆もある。


『...全装甲兵に告ぐ。直ちに最後尾まで撤退。またレディエードが来る。...』


!?


え?。汗


スレーター?。


い、一体何を...。


青い目を持つ白い鉄仮面は微動だにしない。


肩のラジュカムだけが点滅している。


間近に見るスレーターの頭は大きい。


まるでドックに入った船。


私たちはクレーンを操作する小人か妖精のようだ。


『...おい...カ..ーン!。装..甲兵...をさ..げて...どうする?。誰...が指..揮を...取る!。...』


ダンナの声だ。


『...こちらスサノオ第七ゲート。再びトリオールの攻勢が強まりました。アンドロイドでは無理です。装甲兵を戻して下さい。...』


『...黙って待ってろ。作戦っていうものがあるんだ!。...』


『...あ..のク...ソ.ハ..ゲ。ま..た..キレ...て..るぜ。...』


ダンナ...。


その呼び方は...。


また大喧嘩になる。


...ブゥウオーーーーーーーーーーーーン...


?!


進軍ホーンが鳴る。


...ザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッ...


さ、さ、サラバスター。


これがサラバスター。


曰く付きの最新鋭軍用アンドロイド。


ルコントのスーパースターの失踪事件。


6等市民から這い上がった希望の星。


下層、いや全ての人々に希望を与えてくれた。


儚いけど偉大なる夢、希望。


私たち人類の歩むべき道を示してくれた若きルコント•プレイヤー。


アユム•ジ•オンリーワン。


最下層市民で苗字も無かった彼に、国民は、いや世界の人々はセカンドネーム、サードネームまでつけた。


1等市民しか持てないサードネームまで。


ジ•オンリーワン。


皆がどれだけ彼を愛していたか...。


あのザネーサーをも動かした。


あの冷徹な最終兵曹の凄まじい怒りを呼び起こした。


ザネーサーは、武器•臓器商人ガスター社を叩きつぶした。


虫1匹残さず。


世界最大級のマフィア組織をガスター•コングロマリットを。


忘れない。


私は。


いつまでも。


あの子がコパーソンズとして使われている。


GM11(ジーエムイレブン)最新型軍用アンドロイド。


サラバスター。


この120年の間に世界を変えると言われている。


メガラニアと同じく希望の星。


最前線に出て来る。


装甲兵達と入れ替えで。


数は約10000。


サラバスターは攻撃力が弱くアンドロイドとしての耐久性も低い。


GM10(通称バラクター)の30倍の機体価格であるにもかかわらず。


しかし、極めて人間に近い。


知能や感受性が高い。


初めてコパーソンズ〔※1〕を導入したタイプ。


〔※1コパーソンズ:生きた人間の脳を取り出し、寿命が尽きるまで人工知能などの1部品にすること。平均で120年生きる。その後廃番にならなければ、別の人間があてがわれる。〕


ガスター社に変わり、GM11を供給しているデスマ社は主にアマルに武器を提供している武器商人。


アマルが導入を拒否した。


...どいてくれ!。...


...ダッダッダッドタドタドタドタダッダッダッドタドタドタドタダッダッダッドタドタドタドタダッダッダッドタドタドタドタダッダッダッドタドタドタドタダッダッダッ


!?


...どけ!。...


アマルの赤碧帝が神帝に逆らい拒絶した。


だから、アトラの主力軍用アンドロイドとなった。


...ダッダッダッドタドタドタドタダッダッダッドタドタドタドタダッダッダッドタドタドタドタダッダッダッドタドタドタドタダッダッダッドタドタドタドタダッダッダッ...


神帝に逆らって生きている王。


...邪魔だ!。どいて!。...


トリスタンに人類が誕生して以来、赤碧が初めて。


...ドタドタドタドタダッダッダッドタドタドタドタダッダッダッドタドタドタドタダッダッダッドタドタドタドタダッダッダッドタドタドタドタダッダッダッドタドタドタドタダッダッダッドタドタドタドタ...


...どけ!...


今日は長い1日になりそうだ。


長い長い...。


...ドタドタドタドタダッダッダッドタドタドタドタダッダッダッドタドタドタドタダッダッダッドタドタドタドタダッダッダッドタドタドタドタダッダッダッドタドタドタドタダッダッダッドタドタドタドタ...


...どいてくれ!。...


...出る。道を開けてくれ!。...


...ダッダッダッドタドタドタドタダッダッダッドタドタドタドタダッダッダッドタドタドタドタダッダッダッドタドタドタドタダッダッダッドタドタドタドタダッダッダッ...


装甲を落とした兵士が一斉に戻って行く。


サラバスターの連携作戦が始まる。


『...おいおい...。装甲...無しで戦わ..せる気か?。...』


ダンナは上空でマナと激戦中。


でも、この声はダンナのもの。


ダンナは優しいから、兵士のことが心配でならない。


リンとダンナはいつもそうだ。


でも、スレーターの作戦は完璧。


いつも。


サラバスターは人間の思考を読み取り動く。


テレパシーのように。


それも確実に。


サラバスターは一般的な成人よりも遥かに賢い。


そして、人間の知的運動神経と、動物の運動能力が究極のレベルで融合している。


更に、それが科学の力で極限まで高められている。


サラバスターに無いのは意思だけ。


そうおっしゃってましたよね?。


スレーター。


サラバスターは一体でバラクター(GM10)の一個大隊を殲滅させると。


ではなぜあの赤碧が拒絶したのか...。


スレーターは知ってる。


重大な軍事機密。


『...スサノオの試算。想定有効攻撃率 56倍に跳ね上がりました!。...』


56倍?。


予想を遥かに超えている。


『...どうだ?。エイブ?。...』


!?


汗。


『...はっ、はっ、ハイ!。いや、ハッ!。...』


『...想定内だぞ。予想外などではない。...』


え!?。


汗。


『...そこに呼んだのはお前の経験を活かすためだ。頼むぞ?。...』


『...は、ハッ!。命をかけて精進致します!。...』


『...そこまでかしこまらなくて良い。笑。お前は立派に任務を果たしたのだから。難しい任務をな。ハッハッハッハッ。...』


スレーターが笑うのは珍しい。


私はもしかしたら...。


もしかしたら!。


き、気に入られているかもしれない。泣...


『...装甲を外した兵士とサラバスター。全ポジションから攻撃開始。...』


『...良し。殲滅作戦を開始する。このまま行く。...』


ここは見晴らしが良い。


いくつものモニター。


既にトリオールはその多彩な攻撃に対応しきれていない。


『...リンだ。ギガサニーの群れが勢力を増している。数も増えた。今のレディエードで、全ての幼体がサナギを飛ばし成体になってしまった。...』


!汗


『...な、何?。さ、サナギを飛ばした?。...』


スレーターも驚いている。


この生き物達の生命力は異常だ。


トリオールとギガサニーはパンデミア生態系において同化し勝ち抜いてきた。


トリオールが、ギガサニーを一時的に利用する。


ギガサニーの頭部に手を入れ脳神経を繋ぎその力を存分に。


トリオールは、幼体のギガサニーには取り憑かない。


幼体は、変化が激しくトリオールが幼体に吸収されてしまうからだ。


ギガサニーの成体の身体に猿人の骨や頭骨が付着していることが多いのはそのためだ。


ギガサニーもトリオールも、ザバナという種に対して、根強い遺伝的嫌悪感を持っている。


対して、ザバナはミルゲリア生態系の覇者。


人型の陸イカ ザバナは、タイオールと知能の程度は同じだが、圧倒的に戦闘力が高く貪欲だ。


人の形をした、イカにもカエルにも似ている。


体長は全て30mを超えている。


緑色をした両生類のようなねっとりとした皮膚。


カタツムリのような目が複数ある。


口はイカのロートのような形で牙がある。


身体の、骨格はしっかりとしていて、格闘家のように筋肉質の太い脚をしている。


良く見ると、4本の退化した小さな脚が、ついている。


ザバナの先祖モンタギューは、タイオールの祖先オール猿を主食としていた。


そして、ギガサニーは幼体の内はザバナの格好の餌。


長く遺伝的に刷り込まれた敵愾心を消すことは無い。


ザバナはギガサニーよりも知能が高い。


しかし戦闘力では及ばない。


成体のサバナは知能の高さにもかかわらず逆転して捕食される。


トリオールはタイオールの突然変異体だ。


6万年前からしばしばタイオールの群れに生まれるようになった。


トリオールは当初タイオールの群れと供に暮らしていた。


群れの中では虐待されていてタイオールは自分たちと違う外見のトリオールを宴などの際のご馳走として生きたまま食べたという。


そもそもタイオールもトリオールも食人猿だ。


そしてタイオールが神と畏怖するザバナへの生贄にもトリオールは頻繁に差し出された。


身体の違う者への激しい差別は人間に限ったことではない。


トリオール達は群れを離れようと試みた。


しかし、圧倒的な数の違いによりことごとく失敗し、トリオールはその度に厳しい虐待を受けた。


約18000年前、トリオールの数がタイオール全体の1パーセントになった時、ついにトリオールはタイオールの群れから離れた。


これはバグー連邦共和国の歴史書 ハーメンの記に記載されている。


トリオール同士の子はやはりトリオールの子が生まれた。


トリオールだけの遺伝子が強まるに連れトリオールは賢く大きくそして強くなって行った。


タイオールが連携して同じ動きをする二つの脳を持つのに対し、トリオールは別の動きをする三つの脳を持っている。


トリオールは今やケラムの中央食物連鎖系パンデミアの頂点に立ちタイオールを主食としている。


タイオールに虐待された暗黒の時代の記憶がトリオールを容赦のない獰猛な生き物に変えた。


かつてケラムのパンデミア生態系に50億体いたというタイオールは、今や3億体と数を大きく減らしている。


トリオールは種の存続のため新たな食となる種と棲家を探している。


食物連鎖はどこでも過酷だ。


!


『...見ていろ。エイブ。奴らに何かおかしな動きがあれば躊躇することは無い。直ぐに教えてくれ。...』


『...ハッ!。...』


...ゴゴゴゴゴゴゴゴーーーーーーーーーーー...


...ゴゴゴゴゴゴゴゴーーーーーーーー...


航空戦車(シムゴード)隊が旋回して行く。


『...シムセプト隊前面へ。粒子砲射撃を開始。ザバナをエリア9まで追え。...』


...ゴゴゴゴゴゴゴゴーーーーーーーーーー...


...ゴゴゴゴゴゴゴゴーーーーーーーーーーーー...


巨大な鋼鉄のカブトムシが頭上を飛んで行く。


『...ギガサニーの群れ、エリア9包囲しています。兵曹隊粒子砲照射中。...』


シムキャストのモニターは全てエリア9を映している。


眩い閃光が次々と地上に照射されている。


まるで雷のように。


黒い航空戦車から次々と地上の群れに向かって。


『...ザバナとギガサニー合流します。...』


『...遺伝子をこれ以上操作されてないことを祈る。...』


スレーターは2種を戦わせる気だ。


...ギギギュワーーーーーーーーーーー...


...ギギギュワーーーーーーー...


ザバナがギガサニーに飛びかかる。


ザバナの方が数が多く、個体が大きい。


ここにいる個体は恐らく、サナギを飛ばして成体になったもの。


『...よし!。いいぞ!。...』


『...始まった!。...』


...ギギギュワーーーーーーーーーーー...


...ギギギュワーーーーーーーーーーーーー...


数で圧倒的に勝るザバナはギガサニーを追い成体の背中に取り付いた幼体を捕食している。


成熟した個体の少ないギガサニーは下位種のザバナに押されている。


...ギギギギギャーーーーーーーー...


ギガサニーが悲鳴を上げている。


ザバナは一体のギガサニーを複数で囲み、火炎を吐き焼いている。


『...エリア11トリオール拘留中。トリオール拘留中。...』


『...ギガサニーの個体数間も無く3000を切ります。...』


成体になる前のギガサニーをザバナを使って減らす... 。


やはりスレーターの作戦は的確だ。


『...まだだ。スサノオの試算では1000体。1000を切るまで減らせ。...』


『...気持ち悪りぃ。あんな残酷な殺し方。...』


『...あの猛獣が哀れに見える。...』


若いギガサニー達は無数のザバナの前になす術がない。


『...あれ見ろや。助けて欲しいってザバナに頼んでるぜ。...』


『...頼む姿は人間と同じだな。あぁぁ...顎が引き裂かれてる。...』


『...見てられねぇ。あいつ生きたまま皮剥かれてる。...』


『...ギガサニー数987。ギガサニーの個体数987!。ギガサニー最後の抵抗を始めました。融合爆発が懸念されますを...』


『...良し。トリオールを解放しろ。トリオールとギガサニーを引き合わせろ!。...』


...ギギギャーーーーーーーー...ゴゴゴゴゴーーウ...ギギギャーーーーーーー...ゴゴゴゴゴーーウ...ギギギャーーーー...ゴゴゴゴゴーーウ...ギギギャーーーーーーー...ゴゴゴゴゴーーウ...ギギギャーーーーーー...ゴゴゴゴゴーーウ...ギギギャーーーーーーーーー...ゴゴゴゴゴーーウ...ギギギャーーーーーーー...ゴゴゴゴゴーーウ...


『...おぉぉ...み、見ろ!。...』


『...トリオールがトリオールがギガサニーに。...』


『...トリオールとギガサニー。結合し始めました。...』


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