ダヌアの空へ168
《…サア..イコウ…ドリスデン…トモニタタカオウ…》
ウィルハがゆっくりと顔をこっちに向ける。
手のひらの上のアタシの方に。
ウィルハの温かさが伝わる。
鉄仮面のような顔だけど、穏やかな表情…きっと。
….ビュウゥゥーーーーーーーー…
マンションの10階の高さ…。
ウィルハの指の間から地上が見える。
脚がすくむわ。汗
あぁ神よ。ナジマよ。
高所恐怖症のアタシに対して、何と言う仕打ち…。
覚えてらっしゃい。
…グググ…
ウィルハが、他のウィルハ達を見回し静かに頷いた。
他のウィルハ達も呼応して頷く。
まるでビル街を眺めような気分。
…ズーーーン…ドーーーーーン…
アタシを手に乗せているウィルハは、方向を変える。
ボルボーレのいる方角へ。
気を使ってくれている。
でも、アタシが食う衝撃はかなりのもの。
…ズーーーーーーーン…
このウィルハがリーダーなのかしら。
《…ミカエル…》
ミカエル…?。
あなたの名!?。汗
ミカエルが静かに頷く。
…ドン…ドン….
….ゴゴゴゴゴ..ゴゴ…
…ズドーン…
彼方で、結晶山の背後でボルボーレとハイドラ軍の激しい応酬。
煙幕でボルボーレが見えない。
タイクーダイと装甲歩兵が見える。
タイクーダイが…遂に。
信じられない。
今まで消えていたなんて。
途端に活気が戻って来た。
ペネループや、主力兵器、装甲歩兵への信頼がいかに大きいか。
…ボゥゥン…
この調子なら、もしかしたらウィルハの参入を待たず勝敗が着くかもしれない…。
《…キミタチハコノママデハカイメツスル…》
え!?汗。か、壊滅?。
….ググググ…
ミカエルが重心を下げた!。
アタシをそっと掴んだまま。
超高層エレベーターで落下する感覚。
恐怖で脚が寒いわ。
….ゴワァッ…
「ぎゃあぁぁぁ!汗」
ミカエルが飛び上がり、飛行体勢に。汗
…ウゥ…。
な、何なの?。汗
す、す、凄いG。
す、既にトップスピード。
ふざけないで。死ぬかと思った。汗
ウィルハ自体は光の繭に囲まれている。
この流線型のエネルギーシールドが、風を防いでくれている。
しかしこの激しいGはどうにもならない。
このデカい手のひらの中で潰れそうよ。
まるで手の中のハムスター。
いや、豆腐かも。
….ググググ…..
….ゴゴゴゴゴゴゴゴーーーーーーーーーー…
さっきの砂丘はもう数百m後方…。
次々とウィルハが重心を落とし、飛び上がって来る。
銀色の神兵。
次々と…。
ウィルハ達が追いついて来る。
ミカエルを中心に、編隊を組んで行く。
戦闘機の隊列、いや、渡り鳥の編隊と同じ。
中心にミカエル。
ミカエルがやはり1番大きく、強そう。
1番強い個体が風除けとなり仲間を先導する。
….ブゥゥゥワオオオォォォーーー…
強風がシールドに当たり音を立てる。
ミカエルが言う。
左はガブリエル、右にラファエル…。
3体の後ろに、4体のウィルハ…。
ウリエル…名前を伝えてくるけど、覚えられないわ。
この先頭の7体だけは一際大きく、背中に銀色の羽根を持っている。
ドラゴンでも、鳥でもない。
どちらかと言えば航空機の羽根?いや、天使の羽根に近い。
アトラの古い神話にある神と人間の狭間にある者。
天使。
兵曹に負けず劣らぬパワーを持つと言う。
ただ、そのパワー、アタシ達の知るパワーではないらしい…知らんけど。
少し離れ、ウィルハの大編隊も追って来る。
後方の大部隊は羽根も推進器も重力版も無い。
なのに飛んでいる。
神話ハイドゥク戦記の存在はアタシたちの想像を遥かに超えている。
この様子を見て、パスタップは大騒ぎになってる。
ラムダ8も、ピックたちも、アルガード隊も、航空艦隊も。
突然1000体の神兵が現れ、編隊を組んで空を飛んでいる。
その身体はアタシたちの想像を越え40mは悠に超える大きさ。
パスタップを切ったわ。
うるさいのよ!。
…モリトー…ラカ…イズモォリャー…チョイソバー..イズモォ…イストォリャー….
(天の神よ…あなたの…力を借りて…私は進みなん…あなたの…最強の光を借りて)
『…モリトー…ラカ…イズモォリャー…チョイソバー..イズモォ…イストォリャー….』
歌声?…どこから?。
「…ゴワッ…」
ひっ!汗
「びびびっくりしたぁ!いきなり声出さないでちょうだい!汗」
アタシ達は、一瞬でボルボーレの上空に到達した。
はっ!?汗
光…。
眩い光の斑点!。
ボルボーレの甲殻に!。汗
間穴線だわ!。
あ…。汗
…ピシュウゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーン…
「あぶないっ!汗」
!?
消えた?。
ウィルハが…。汗
あぁ…ぁ…。
…ヨガビー…ヨカービーズモーリャー…チョイソーバー…イズモォ…リスモーリャー…
(魂を…生命を持つ生きる物全て…神のご加護…力により…神の…ご慈悲による恩恵なり…)
『…ヨガビー…ヨカービーズモーリャー…チョイソーバー…イズモォ…リスモーリャー…』
これは…。
この歌は…。
バイキールの海女たちの…。
ハッ!?汗。
消えた間穴線の射線上のウィルハ達がまた現れる。
まるで次元潜航。
ウィルハ達はボルボーレの上に集結した後、大きな輪になりながら降下して行く。
戦場を丸く囲むように。
光を放ち、神が大きな光の円となって広がって行く光景。
なんと神々しい。
生きていて良かった。
《…ウヒ…》
ん?。
何かしら…。汗
《…ウヒッ…偉大なる神…聖なる守護神ウィルハよ…筆頭…守護天使..ミカエルよ…ご加護を賜り…心から感謝申し上げる…あなたがいなければ…防ぐことが出来なかった…アマルの神帝カー…そしてゾアーグ…ウヒヒ…》
大神官の声…。
脅かすんじゃないわよ。変態神官。
《…ナジマノシモベヨ…ワタシタチノチカラデハナイ…》
この声はミカエルでは無い。
あのウィルハ。
緑のライン…ガブリエル…。
…ズドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン…
うぅっ…。
腹を打ったわ。汗
痛てぇ!。
ミカエルが着地した。
ボルボーレから約1000mの距離。
ペネループの背後。
パスタップがはずみでONに。
『…バウ..ザ…レ…パード11..動く…ぞ!…』
『….ま..さ..…あれ…だ…の熱線…食らっ…!?…』
んん?。汗
何の話よ?。
…ズーーン…
…ズズーーーーーン…
…ドーーーン…
…ズーーーン…
…ドーーーーン…
ウィルハ達が次々と着陸して来る。
重い巨体。噴き上がる土砂。
だけど、凄い振動よ。
私のような小さな生き物には死活問題。
1000の神兵。
『….ジャ…ミ..ナキ….ロー…タ..来ま…』
『…い…生…て..る…』
会話が飛び交ってる。
《…あなた方ではないと?…汗..では一体誰が?ウヒッ..…大神官たちは3人とも旅立った…もう私しかおらぬ…汗…ゾアーグ達や…神帝に…到底太刀打ちは出来ない…ウヒヒ…》
アタシはもう慣れたわ。
真剣なのかふざけてるのか分からないこの人の喋り方。
《…アナタハヒトリデハナイ…》
『…信じれ…な…わ…ピーカーた…が…動いてい…ゾアー..にる…』
….ギュワアア..アアア..アアーーーーッ…
辺りに轟き渡る咆哮。
はっ!?。汗
ボルボーレに向かって行く。
こっちのジャミナキラも!。
ジャミナキラワン シカモアが!。
100m近い大きさ。
こんなに巨大化するなんて。
《…ワシ…わ..私が1人ではないと…》
『…シオ…ンさ..この老骨..ち..もう一度…出…すよ…』
こんなに大きなジャミナキラをアタシは見たことはない。
色は紅葉のような赤や黄色い身体。
楓のような大きな鱗が鬼カサゴのような
《…スデニ…ゾアーグヲフジウテイルモノタチガアル…》
《…ウヒヒ…それは一体誰が…汗….ウヒ…》
…イズモリャー…イズモォ…ビーモーリャー…ヨガビー…ーイズモォ…チョイソーバー…
(…力を抱く者…力と共に…死と生を…力を得て…最強の光となさん…)
《…キコエヌカ…イニシエノウタヲヒキツグモノタチ…》
《…海女達!?…バイキールの海女達が?汗…既に…敗北したと思っていたが…》
反対側にはジャミナキラ4ハスカップ。
ライムグリーンの身体。
血管のように濃い緑の模様が入っている。
シカモアとは対照的に、カシューナッツのような甲殻。
《…アマルノシンテイカーヲモフウジテイル…》
《…何と!?海女が…アマルの神帝をも…封じていると!?…》
《…ミミヲスマシナサイ…アナタハモハヤヒトリデハナイ…》
...ベルファーーーーー...ベーハァタイクーーーーーーーーー...
...オーークーーーーーー....オークドゥタイクーーーーーーーーーーーーー...
《…何と!..癒しの歌…と、トヨコ殿の…》
気のせいかしら…。
癒しの歌が聞こえる…。
空耳?。
《…トヨコ殿が戻って来られた?…黄泉の国から?…》
アタシ…疲れているのかしら?。
死んだはずの、バイキールの海女の舟唄や、大神官の歌が…。
...ゾーハーーーーーーーーーーーーー...ゾーハタイクーーーーーーーーーーーーー...
....オマハーーーーーードナカタイクーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
《…い…いや…と..トヨコ殿のものではない…汗…節回しが…節回しが違う..汗…い、一体誰が…》
《…アラタナルイブキガ…メザメテイル…トテモフカクトテモキョウダイナ….》
《…あ…新たなる息吹…新たなる息吹が神帝を…封じていると…あなたは言われるのか!?…ウヒウヒウヒィッ…》
何よ!。ふざけてんの!?怒
《…アラタナルダイシンカン…シジョウサイダイニシテ…サイキョウノ…ノウリョクシャ…》
ん?誰よそれ!?ガブリエル!。
シカモアは熱戦をボルボーレに照射している。至近距離で。
激しく眩い強い赤い光。
でもボルボーレには効いていない。全く。汗
《…な、な、何と!?汗…ウヒヒヒヒヒヒ…》
…ッッ…
…ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーン…
激しい巨体のぶつかり合い。
ピーカー達がボルボーレに取り付いている。
激しく土砂が噴き上がる。
ここからは良く見えない。
ハスカップが身体を張ってボルボーレを止めにかかっている。
…バッスウゥウーーーーーーン…
…バッスウゥウーーーーーーーーーーーーン…
あ!汗。
あれは…。ルイスのレオパード1。
そして、レオパード4 リプケン。
まるで巨大な蟹か蜘蛛のように、ボルボーレと対峙する。
2門の主砲アルカロンを連射してる。
戦艦並みの威力を持つ粒子砲門。
レオパードはとても大きい。
でもボルボーレの1/6ほどの大きさ。
この大きな陸用戦車、ジャミナキラ、ピーカーが束になってもボルボーレを止めることすら容易じゃない。
正にガチンコの殴り合い。
….TRRRRRRRRR…TRRRRRRRRRRRR…TRRRRRRRRRRRRRRRRRRRTRRRRRT…
はっ!?。汗
まずい..。
プリズムシールド!。汗
ボルボーレがプリズムシールドを展開するわ!。
ダメだわ!。汗
….TRRRRRRRRR…TRRRRRRRRRRRR…TRRRRRRRRRRRRRRRRRRRTRRRRRT…TRRRRRRRRR…TRRRRRRRRRRRR…TRRRRRRRRRRRRRRRRRRRTRRRRRT…….TRRRRRRRRR…TRRRRRRRRRRRR…TRRRRRRRRRRRRRRRRRRRTRRRRRT…
教えなければ!。
これの威力が増してるのペネループはきっと知らない!。汗
『…艦…ボル….ーレが…』
『…ペネル…ープは…』
『…パス..タップ…繋が…..せん…』
ペネループは確かに存在してるのに。
南西800mの位置で静止してる。
『…繋…がっ..た!ペネループと繋がったぞ…』
!。やったわ。
『…やったな!…』
『…ペネループ応答願います!ペネループ…』
『….』
『…反応が無い..汗…』
…。
ま、まさか….全員やられてるとか!?。汗
『…こちらペネループ…こちらペネループ…ピート•マーレン…』
!?汗
ほっ。ぺ、ペネループと繋がったわ!。
ピートと。
ペネループと言えばお馴染みの金髪前髪司令塔のピート…。
『…マー…ン…大尉..だ…』
ピート大尉が生きているわ!?。
「わわわぁぁーーーーーー!。やったわ!」
『…ワーー…ヮーー…ワーー…アンヌ提督…ワーー…ヮーー…ヮーー…ピート…ヮーー…ペネループ…ワーー…アンヌ提督…ヮーー…ワーー…帰って来たぞ…ヮーー…ワーー…ワーー…ヮーー…ヮーー…ヮーー…ワーー…提督…ヮーー…無事で良かった..ワーー…ヮーー…ワーー…ワーー…ヮーー…ヮーー…ヮーー…ペネループ…ワーー…ヮーー…ワーー…ピート…ヮーー…ピートが帰ってきた…ワーー…ワーー…ヮーー…帰って来た…ヮーー…ヮーー…ワーー…アンヌ提督ヮーー…ワーー…ヮーー…もう大丈夫だ..ワーー…ワーー…ヮーー…ヮーー…ヮーー…ワーー…助かった…ヮーー…ワーー…ヮーー…ワーー…ワーー…ヮーー…ヮーー…帰って来てくれた..ヮーー…ワーー…ヮーー…ワーー…ヮーー…ワーー…アンヌ提督…ワーー…ヮーー…ペネループ…ヮーー…ヮーー…ワーー…ヮーー…ワーー…ヮーー…ピート…ワーー…ワーー…ヮーー…ヮーー…ヮーー…ワーー…ヮーー…頑張り抜いたぞ…ワーー…ヮーー…ワーー…ワーー…ヮーー…ヮーー…ヮーー…提督…ワーー…ヮーー…ワーー…ヮーー…ワーー…ワーー…ヮーー…ヮーー…司令塔が帰って来た..ヮーー…ワーー…ペネループが…ヮーー…ワーー…ヮーー…ワーー…ワーー…ヮーー…ヮーー…ヮーー…ワーー…ヮーー…ワーー…ペネループ…ヮーー…ワーー…ワーー…ヮーー…ヮーー…ヮーー…ワーー…ヮーー…』
パスタップが大変なことに。
….ッッ…
…
…ッッツ…
!?汗
しまった!汗
ボルボーレ!。
…ツ…
「眩しい!」
….ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン…
『…プリズムシールドが!…』
…ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ….
炸裂した….汗
ジャミナキラ達の巨体が吹き飛ぶ。
まるでスローモーションのように。
黒煙を吐きながら。
爆風とともに飛ばされて行く。
まるで止まる気配が無い。
身体の一部が引きちぎれて空を舞っている。
ピーカー達の巨体が、鋼鉄の巨体が、黒煙を吐きながら空に舞い上がる。
重金属の巨大蜘蛛が宙を回転する。
何という威力なの…。
….ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド…
来るわ!。爆風が!。汗
土石の嵐が吹き荒れる。
ボルボーレのプリズムシールドの界面爆発によって粉々にされた大地。
一気に、ウィルハとレオパード達を呑み込んで行く。
…ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…
ボルボーレの足元から更に土が噴き上がる。
ダメだわ!。ボルボーレが進み始める…!。汗
『…こちらペネループ ピート。レオパード1, 3,4,7。直ちにアルカロン集中砲火…』
ペネループに指揮権が戻った。作戦は万全。
同盟国北アトラの頭脳ペルセアと、ペネループ艦載の量子フレームペリシーダの同期は一瞬のズレもない。
『…ボルボーレのトルカカ接近を、何としても阻止する…99個のプリズムドームが開いてしまえば…我々の戦いは厳しいものになる…』
あ、アンヌ提督の声!。懐かしい声、よ、良くご無事で!。
あぁぁ…神様、ナジマ様…。
これでもう大丈夫。千人力よ。
…ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…
地面の土砂が噴き上がる。
ボルボーレが加速し始める。
レオパード1号、レオパード4号がボルボーレの進路を塞ぐ。
ジャミナキラ7、ジャミナキラ8が突進して来る。
間に合わないわ。汗。
レオパードでは止められない。
このままでは犬死に。
「ダメだわ!」
『…ペネループ!止めて!レオパードじゃ止められない!…』
《…ドリスデン…ワタシタチニメイジナサイ…ワタシタチハキミノシジヲマツ…》
えっ?!汗。
な、な、何ですって!?汗。
ウィルハがなぜ私の指示を?。
《…ソウトウノダイシンカンガソウノゾンダ…キミヲエランダノダ…》
そうとうの大神官…。
双頭!エメドラド様!。
「エメドラド様が!?汗。」
《…ソウトウノシンカンハ…コノホシデモットモツヨイレイリョクヲモッテイタ…ソノチカラソノセイメイヲヒキカエ…アオキリュウ…アカキリュウヲハナチ…ダイチヲシズメ…ジクウヲタダシタ…》
「噴火や溶岩が一瞬で収まったのはエメドラド様の力だと?汗」
《…ハンジュウハンジンノナジマガワタシタチヲヨビ…ソウトウノダイシンカンガジクウヲタダシ…ワタシタチハココニキタ…》
ドンキをナジマだと勘違いした?。
「ウィルハが存在するのが正しい現実だと?…ウィルハは時空の捩れによって今まで消えていたと?」
《…ソウダ…ワタシタチハ…ゾアーグニヨリ…ベツノジクウニトラワレテイタ…アナタタチノナカマノヨウニ…》
理解が追いつかないわ。汗
一体なぜエメドラド様はアタシを選んだのかしら…。
もしかして死亡フラグ?。
《…サアドリスデン…メイジルノダ…テオクレニナルマエニ…》
手遅れ…。
ハッ!?汗。
ボルボーレが加速する。
レオパード7、レオパード9、ピーカー達。
身体を張って止める気でいる。
でも、大きさが違う。
質量が違う。
剛性が違う。
速度が違う。
威力が違う。
止められない。束になっても。
こんなに簡単に命を投げ出すなんて。
それしか方法が無いなんて。
….ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴドドドドドドドドドド…
レオパードに激突する!。汗
「ミカエル!ボルボーレを止めてちょうだい!レオパード達が踏み潰される!」
ミカエルが頷く。
「…ゴワッ…」
…ズドーーン…ドドーーーン…ズーーーン…ズドーーン…
1000体のウィルハが一斉に重心を落とす!。汗
一体何を….。
…..ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴドドドドドドドドドドドドドドド..
地鳴りのようにウィルハ達の足踏みが大地を揺さぶる。
ミカエルが腕を交差する!。汗
他の、全てのウィルハ達も…。
まさか。汗
これは…シュ…シュープリーム光線!。
うぅわっ!汗。
「眩しい!」
凄まじい光の洪水…。
全てのウィルハが同時に…。
….ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド…
『…ウ…ウィルハ….熱線…照射…全体…同時に…』
顔を上げたら目が焼ける…。汗
何て強い光なの…。汗
『…1200億…カルーデ…』
『…何!?…汗…』
『…ボル….ーレ..ボルボー…停止…ボルボーレ…完全に停止…』
1000体のウィルハのシュープリーム光線が、光の洪水が、ボルボーレを押し返している。
…
….グゥウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ….
….グゥウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ….
…
….グゥウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ….
….グゥウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ….
ボルボーレが激怒している。




