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トリスタンの皇帝  作者: Jota(イオタ)
35/364

謀略6-2


地上のギガサニーの群れが一気に数を減らした。


怪しい緑が消え、アスファルトが露出する。


グレード5までのギガサニーに取って、ザバナは天敵。


やはりカーンの作戦は的確。


思いつかない手ではないが、実現してしまうのが凄い。


タイミングも大胆さもリンですら一目置く。


キレなければもっと上に行っている男だ。



ザバナの群れが、ギガサニーから距離を取り始めた。


トリオールの群れがザバナを牽制している。


デカい化け物がここから見るとまるでフィギュアだ。


『...良し。いいぞ。...』


『...おい!。聞こえるか?。カーン。私だ。元老院親衛隊のおさ タカムラである。...』


あ?。汗


何だ?。


『...元老院の勅命を伝える。全てのギガサニーは捕獲とする。...』


あ?!。


捕獲だ?。


誰だ!。


とぼけたこと言いやがって。


「バカな!。捕獲だと?。」



兵士が浮上して来る?。


飛馬艇...。


我々とは戦闘服が違う...。


平常体のまま。


兵曹団だ。


低層で止まる...。


迷惑な。


この取り込み中に。


『...バカだと?。誰だ貴様?。...』


「アドリアン•スターク。識別コードxxx005だ。」


『...ナンバー5?。わしは元老院の勅命を受けている。つまり、親衛隊のみではなく、全軍のおさということになる。貴様ごときと話すいわれはない。...』


な...。


失礼な!。


「何だと?。」


親衛隊...。


官僚的で口先ばかりの奴ら。


元老院付きの。


アトラ軍と言っても大まかに3種類ある。


クシイバ達の支配する軍。


元老院直属軍。


そして、大統領府付き領府直属軍。


一般的に、元老院直属軍は「親衛隊」。


大統領付きは、「直属軍」と呼ばれる。


かつては、親衛隊が最も数が多く強力だった。


しかし、ジェニファーやアダムゼロの出現により、立場は逆転した。


例えば、我らがユーライの中央軍。兵士総数188万。内軍事兵曹数36万。


親衛隊は兵士総数19万。内軍事兵曹数6万8000だ。


直属軍は兵士総数8万。内軍事兵曹数2万3000。


と、戦力に圧倒的な差がある。


直属軍は数は少ないが精鋭が多い。故に特選隊とも言われる。


因みに、アトラ最大のザネーサー軍は兵士総数4200万。軍事兵曹数197万2300と、べらぼうな数だ。


しかし、これは世界最大のアマル銀帝軍の100分の1にも満たない。


ザネーサーはネオヤマトを掌握するために、アトラ統一を諦めざるを得なかった。



逆に、要所に世界最強の兵曹ザネーサーがいることが、アマルのアトラ侵攻絶望的なものとしている。


アマルの神帝以外の世界中の神々が発祥した地。


ハイドラに次いで、この星で最も純度が高く豊富な生体資源。


そして、戦略的に他国への要所にある。


更に、ザネーサー軍にはクシイバを凌ぐ軍事兵曹バスクトールがいる。


『...見当違いなことを。我々の出撃要請を断っておいて今更何だ。...』


カーンは苛立っている。


『...ふん?。スレーター•カーンだな?。出撃要請をしたと?。貴様らごときが元老院直属軍の我々に要請をしたと言うのか?。...』


何だ?。こいつは。


我慢ならない。


「あんたはこの事態が分からないのか!。」


『...下がれ!。この下級兵曹が!。全軍のおさの...』


『...こちらケイティ。グレード7超えのギガサニーの雄。集まって来ています。人間の悲鳴を聞いて。...』


ケィティは、デュランダル•レビンの妹分だ。


『...我々でしのごう。エレーンと私そしてケィティ。おまえだ。あと、アイスが合流する。余裕を持って叩けるはずだ。...』


『...貴様!。カーン!。私を差し置いて勝手なこ...』


何だこのオヤジは。


『...いえ。カーン。それが...。奴らは雌と同じく翼を持っています。飛ばれてしまえば私達は何も出来ません。一刻の猶予もないんです。...』


つ、翼を...。


『...カーン貴様!。若造どもを黙らせろ!。検体の殲滅など私が許すと思うか?。...』


だから...。


何なんだこのオヤジは...。


『...すまんが黙ってくれんか?。大切な話をしてる。このチャンネルは我々専用。あんたは特例で参加させてる。オブザーバーとしてな。...』


しかし、この個体...。


ニューロンEの値が3000?。


おかしい。


そんなはずは...。


腕のバンドルがギガサニーのデータを空中に映し出す。


どれも異常値を示している。


まるで軍事兵曹だ。


『...な、な、何だと!?。お、お、オブザーバーだぁ?!。き、き、貴様!。私は元老院直属。親衛隊の長だぞ?。あいつらを黙らせろ!。ギガサニーは捕獲せよ!。オノエ様もそうおっしゃている!。...』


いや、間違い無い。


アルマダイの純度も自然炉の倍はある...。汗


「こちらスターク。カーン。この個体は人為的に高圧炉が取り込まれています。自然炉じゃない。」


『...ダメっ!。まずいわ!。ギガサニーが!。カーン!。グレード7の雄。飛翔します!。ギガサニーが飛翔!。...』


こ、こんなに急に...。汗


まだ5分も経っていない...。


どうする?。汗


カーン?。


一体...。


『...まずいわ!。他も羽が!。汗。そっちへ行くわ!。...』


『...カーン。貴様!。わしの声が聞こえ無かったのか!。このバカ者!...』


バカか?。このおっさん。笑


『...やむを得ん。アッテネータ出力全開!。兵曹隊6A、4C、8D!。生体ミサイル射出!。...』


そ、そうか...。


....キーーーーーイイイイィィィィィィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...


アッテネータが唸りを上げる。


やはり...。


一気に炭化を...。


...ヒューーーヒューーーーーーヒューーーーーーヒューーーーーーヒューーーーーーヒューーーーーーヒューーーヒューーーーーーヒューーーーーーヒューーーーーーヒューーーーーーヒューーーーーー...


...ズズドーーーーーン...ズズドーーーーーン...ズズドーーーーーン...ズズドーーーーーン...ズズドーーーーーン...ズズドーーーーーン...


『...着弾します!。総員防風体制!。着弾します!。総員防風体制!。...』


『...イザナミからアラート!。イザナミからアラート!。ガナン躯体にダメージ!。ガナンの躯体にダメージ!。耐久現存率55%。...』


『...よし、貴様、その態度覚えていろ!。貴様が聞こえないフリをするなら、力尽くで止めるまでだ。...』


...ドンッ..ドンッ...ズドーーーーーーーーーーーーーーン...ドンッ...ズドーーーーーーーーーーーーーーン......ドンッ..ドンッ...ズドーーーーーーーーーーーーーーン...ドンッ...ズドーーーーーーーーーーーーーーン...ドンッ..ドンッ...ズドーーーーーーーーーーーーーーン...ドンッ...ズドーーーーーーーーーーーーーーン...


生体(アルマダイ粒子)ミサイルが次々と炸裂する。


地上が爆炎に包まれる。


何も見えない。


『...グッジョブ!。いい感じ!全部落ちて来たわ!。地面に激突してる!。笑。いい気味!。...』



何?!。


上がって来る。汗


煙の中から。


兵曹団だ...。


あれはタカムラ...。


頭はツルツル。


チョビ髭を生やしている。


眼光が鋭く体格も良い。


が...赤ちゃん体型だ。


魅惑の赤ちゃんボディ。笑


何だあいつ。笑


「将補!。親衛隊長殿が、サルファに向かって来ます。親衛隊120騎引き連れて。お帰り頂きますか?。」


笑。


...ブウゥワオオオオオーーーーーーーーーーーーーー...


...ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴーーーーーーー...


...ブウゥワオオオオオーーーーーーーーーーーーーー...


...ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴーーーーーーー...


...ブウゥワオオオオオーーーーーーーーーーーーーー...


...ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴーーーーーーー...


爆風がここまで到達した。


煙幕で視界が曇る。


『...放っておけ。指揮系統が違う。あいつは、あれでもX級だ。暴れられても困る。部下を無くして後悔すれば良い...』


X級?。


あれで?。


『...ちょ。聞こえてますよ。これ。笑...』


ケィティが。


しかし...。


「しかし、こちらに来られても。」


『...知るか。リンがいるだろう?。そっちの指揮はリンの管轄だ。...』


出た。


またキレそうだ。


私は今中層に居る。


メガラニアの上空部隊とカーンの地上軍を見ている。


手薄な場所にバックアップに入る。


『...ガナンに人はいるのか?。念のため確認しろ。...』


リンが後方の兵曹に指示を出す。


『...こいつはヤバいぜ。ガナンがもたねぇ。...』


ダンナが。


『...レビン!。ギガサニーの母体が復元する。...』


『...おい。また形態を変え始めたぜ?。何だこいつ?。...』


また形態を...?。


...ガッツーーーーーーン...


上空。


衝撃が来る。


ダブルドラゴンの斬撃。


硬いものに弾かれている。


『...ダブルドラゴンの刃を弾き始めた。...』


やはり...。


『...接触し過ぎだ。刃がかけた。自己再生力が弱まっている。ユーライ。ダブルドラゴンを休ませろ。...』


...ゴゴゴゴーーーーーーーーーー...


ユーライが咆哮を上げる。


ほぼ真上。


ガナンとサルファ•マスドラの間。


真っ青な空に羽根を羽ばたかせる銀色の兵曹。


アマトの大天使ガブリエルはこんな感じなのだろうか。


ガマガエルにも似た体長300mのセミ人間と対峙してる。


アマトの神話の時代はきっとこんな感じだったのだ。


怪獣と戦う天使達。


我々も。


メガラニアのように。


リンやレビンだけじゃない。


俺も他の兵士も。


兵曹を上げる必要がある。


しかし、衝撃波がビル群の駆体を破壊する。


タイミングが難しい。


色んな意味で準備不足だ。


...バキバキバキバキバキバキ...ガリガリガリ...


音がビル群に反射しエコーする。


ダブルドラゴンをギガサニーの複眼にねじ込んでいる。


...ギュギュギェーーーーーーーーーー...


...ピーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...


...ビビーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...


...ピィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...


...ピーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...


閃光が走る。


ダブルドラゴンの刺さった複眼からだ。


めちゃくちゃに熱線が放射されている。


あらゆる方向に。


照準が合わず辺り構わず拡散している。


あらゆるものを溶かしながら。


...助け...キャーーーーー......ギャー...キャー...ゴア...うわぁぁぁぁ!助け...キャー......ギャーグヌフ...ゲェ...キャー...ゴア...グボァ...助け...キャー......ギャー...キャーーーーー...ゴア...助け...キャーキャーーーーーーー......ギャー...キャー...ゴア...助け...キャー......ギャー...キャー...ゴア...助け...キャー......ギャー...キャーーーーー...うわぁぁぁぁ!キャーーーーー...キャーごはぁ...ゴア...助け...キャーーーーー...



しまった!。汗


...ババババババババババ...バシャーン...バリバリ...パリン...ガシャン...バリバリバリバリ...ガシャーン......ババババババババババ...バシャーン...バリバリ...パリン...ガシャン...バリバリバリバリ...ガシャーン......ババババババババババ...バシャーン...バリバリ...パリン...ガシャン...バリバリバリバリ...ガシャーン......ババババババババババ...バシャーン...バリバリ...パリン...ガシャン...バリバリバリバリ...ガシャーン...


熱線がクリスタルドームを直撃した。


ガラスが砕け散る。


この熱線はレディエードと本質的に同じもの。


クリスタルドームのガラスの実体は、透明のジニリウム。


熱線の干渉を強く受ける。


な...何てことだ。汗


『...最悪だ...最悪の事態だ...』


多くの人々が一瞬にして蒸発した。


『...あぁぁ...』


『...クリスタルドームが!。...』


...キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...


ダブルドラゴンの音だ。


マナの体内で激しく回転している。


自らの意思で高圧炉を逆回転をさせている。


負のアルマダイを放出するために。


『...止まった...。マナの動きが。...』


傷が再生されず、おびただしい量の体液が流出している。


体液はまるで硫酸のスコールだ。


地上に降り注ぎ白煙が噴き上げる。



...ギャアーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...


女の悲鳴。


地上からだ。


避難壕から出て来てしまった女が、飛沫を浴びのたうち回っている。


バンドルのモニター。


女を映し出す。


私の意識がそこに向いたから。


ウッ...。


頭だけ骸骨...。


頭の肉や髪、目玉、筋肉、何もかも一瞬で溶かされる。


白煙を噴き上げる頭。


本当に頭だけ骸骨だけになっている。汗


...


...


...キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーゴゴゴゴゴゴゴゴ...


ダブルドラゴンがマナの体内で反応し続ける。


『...ギガサニー沈黙後7分経過。スサノオの解析。体内構造に変化無し。体表、体内温度変化見られません。...』


マナはタワーに張り付いて動かなくなった。


まるで彫刻のように。


...


『...このまま死んでくれると良いが...。』


...


『...あぁ。そう願いたい。...』


そんなに甘いはずがない...。


奴が。


!!


...ドーーーーーーーーン...


...ドーーーーーーン...


...ドーーーーーーーーーーーーーーン...


...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...


破裂音が!。


...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...


...ドーーーーーーーーン...


炉がある証拠だ!。


...キーーーーーーーーーーーーーーーーー...


...キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...


やはり...。


破裂音が連続して轟く。


沈黙を破って。


回転音が唸りをあげている。


『...自然炉がこんな数ある訳が無い...汗。...』


そうです。


リン。


「こいつは人間の手で改造されてます。しかも我々の知らない高度な技術が使われている。」


『...また形態を変えたわ!。雄がグレード8になった!。私の手に負えない!。援軍をお願い!。ねぇ!。...』


狼狽えてる。


地上のケィティが...。


『...捕獲をしろ。殲滅はするな!。...』


チッ...。な、何を!。


『...貴様!。正気か!?。それでも人の子か!?。恥を知れ!。クリスタルドームの人達が大勢死んだだろうが!。...』


ブチ切れた。


ダンナの声。


『...貴様だと?!。私を誰だと思ってる!私は、わ、私...。あゎゎ...汗。...』


タカムラが絶句している?。


奴は今ダンナと同じ空域にいる。


ダンナと遭遇したに違いない。笑


ダンナはまだ第1兵曹のまま。


人間に近い形態でマナと闘っている。


信じられないことに。


体長は10メートル。


人間の状態でも肥大化して元の大きさには戻れない。


ある意味障害だ。


顔や首に刺青がある。


舌や鼻耳に鋲やビスのピアスをしている。


目は既に青く強い光を放っている。


既に放電翼もある。


まるでネプチューン。


髪の毛はオレンジ色でアートのように刈り込まれ、筋肉が極限まで盛り上がっている。


ごつい首の後ろは、脂肪の段ができている。


あれ以上凶悪な顔つきは無い。


デュランダル•レビン。


ダンナの本名...。


『...わ、私...私...わ、わ、私...』


動揺している。笑。


ダンナの見た目は未だに私も怖い。


遭遇したタカムラには同情する。



...ビシュゥ...


...ズゴーーーーーン...


『...うをおぉぉぉ。...』


『...A312に直撃!ギガサニーの頭部甲殻がレーザーを反射!。...』


人間の情報は全て触覚でキャッチされている。


触覚を焼いていた上空軍のレーザー。


反射して中層ビル アバロン312を直撃した。


『...撃ち方やめ!。撃ち方やめーー!。...』


...ビシュゥ...


... ドーーーーーーーーーーーーン...


今度はタカムラの飛馬艇の前面を直撃する。


『...ば、バカ!。バカ者!。バカバカバカ!。な、何を!。バカバカ!。...』


飛馬艇が火を噴く。


タカムラは必死にコントロールしようとしている。


『...親衛隊に告ぐ。...』


タカムラは飛馬艇の制御に必死だ。


まるでロデオだ。笑


メガラニアが。


『...だ、誰だ。...』


『...私の名はユーライ...』


『...何と。貴様がユーライ。メガラニア...。貴様がユーライか......。良し、分かった。全軍のおさとして聴こう。全軍の上の存在である親衛隊の長であるこの私が...。...』


どこまで尊大なんだ?。


このオヤジは..。


『...クリスタルドームの人々を退避させてくれ。私がこの形態のままマナを倒すのは不可能になった。我が軍は逼迫している。援軍が必要だ。...』


『...最初からおまえが私と対話すべきであった。軍の長同士....。良かろう。力になろう。かのメガラニアの頼みとあらば。...』


『...恩に着る。タカムラよ。...』


『...親衛隊全軍。これよりクリスタルドームにいる市民を防衛し避難をさせる。総員、私に着いて参れ。...』


...ハッ!...御意!...ハイ!...承知しました!...了解致しました!...承知!...全軍の長 親衛隊長殿!...ハッ!...


親衛隊は一枚岩だ。


完全に統率が取れている。


タカムラを中心に。


その点は評価すべきかもしれない。


タカムラが隊を引き連れ浮上し始める。



...シュウウウウーーーーーーーーーーーーーーーーーーンン..


...ボワゥン...


...バリバリバリ。...


...助け...キャーーーーー......ギャー...キャー...ゴア...うわぁぁぁぁ!助け...キャー......ギャーグヌフ...ゲェ...キャー...ゴア...グボァ...助け...キャー......ギャー...キャーーーーー...ゴア...助け...キャーキャーーーーーーー......ギャー...キャー...ゴア...助け...キャー......ギャー...キャー...ゴア...助け...キャー......ギャー...キャーーーーー...うわぁぁぁぁ!キャーーーーー...キャーごはぁ...ゴア...助け...キャーーーーー...


『...し、し、しまった!汗...。』


マナは箱型の口を突然伸ばした。


『...う、迂闊だった。汗...』


最悪だ...。


『...100m以上伸びたぞ。汗...』


『...まるでヤゴだ。...』


『...何だこの口!。いつ変わった?。...』


...バゴーーーーーーーーーーーーーン...


...ギャーーーーーーーーーーァァ...


...助け...キャーーーーー......ギャー...キャー...ゴア...うわぁぁぁぁ!助け...キャー......ギャーグヌフ...ゲェ...キャー...ゴア...グボァ...助け...キャー......ギャー...キャーーーーー...ゴア...助け...キャーキャーーーーーーー......ギャー...キャー...ゴア...助け...キャー......ギャー...キャー...ゴア...助け...キャー......ギャー...キャーーーーー...うわぁぁぁぁ!キャーーーーー...キャーごはぁ...ゴア...助け...キャーーーーー...


...ギャーーーーーアァァ...


...ギャーーーーーァァ...


マナの口から鮮血がほとばしる。


マナは数100人の人々を掬い取った。


クリスタルドームの強化ガラスごと。


...ボンゴリゴリゴゴゴリゴンゴンガギゴリゴリ...


...ギャー...キャー...ゴア...助け...キャー......ギャー...キャー...ゴア...助け...キャー......ギャー...キャー...ゴア...助け...キャー......ギャー...キャー...ゴア...助け...キャー......ギャー...キャー...ゴア...助け...キャー......ギャー...キャー...ゴア...助け...キャー...


鈍い音が響く。


人々を咀嚼し始めた。


多量の血が地上に落ちていく。


...ボコボコボコボコボコ...


背中の甲殻が泡立ち、透明な気泡がいくつも浮き上がる。


目が!。


目が背中に再生した。


頭で大きなウジ虫のようなものも蠢いている。


!?


ウジ虫じゃない。


触覚だ。汗。


...ズボウッ...ズボッ...ズボッ...ズボウッ...ズボッ...ズボッ...ズボウッ...ズボッ...ズボッ...ズボウッ...ズボッ...ズボッ...


触覚が一気に生える。


兵曹達のレーザーで焼き尽くされたはずの。


....ゴゴゴゴーーーーーーゴゴゴゴゴーーーーーーーーーーーーーーーゥゥゥ...


女王が低く唸っている。


背中に再生した複数の目を見開きながら...。


私は復活した。


前にも増して強くなって。


そう言っているようだ。



...ググググゴゴゴゴゴゴゴ...


タワーのクリスタルドームが大きく傾いている。


...ギャー...キャーーーーー...うわぁぁぁぁ!キャーーーーー...キャーごはぁ...ゴア...助け...キャーーーーー......ギャー...キャー...ゴア...うわぁぁぁぁ!助け...キャー......ギャーグヌフ...ゲェ...キャー...ゴア...グボァ...助け...キャー......ギャー...キャーーーーー...ゴア...助け...キャーキャーーーーーーー......ギャー...キャー...ゴア...助け...キャー......ギャー...キャー...ゴア...助け...キャー......ギャー...キャーーーーー...うわぁぁぁぁ!キャーーーーー...キャーごはぁ...ゴア...助け...キャーーーーー......ギャー...キャー...ゴア...うわぁぁぁぁ!助け...キャー......ギャーグヌフ...ゲェ...キャー...ゴア...グボァ...助け...キャー......ギャー...キャーーーーー...ゴア...助け...キャーキャーーーーーーー......ギャー...キャー...ゴア...助け...キャー......ギャー...キャー...ゴア...助け...キャー......ギャー...キャーーーーー...うわぁぁぁぁ!キャーーーーー...キャーごはぁ...ゴア...助け...キャーーーーー......ギャー...キャー...ゴア...うわぁぁぁぁ!助け...キャー......ギャーグヌフ...ゲェ...キャー...ゴア...グボァ...助け...キャー......ギャー...キャーーーーー...ゴア...助け...キャーキャーーーーーーー......ギャー...キャー...ゴア...助け...キャー......ギャー...キャー...ゴア...助け...キャー...


無数の人々が、悲鳴を上げる。


人々が落下していく。


足を滑らせて。


7000m下の地面めがけて。


まるでフィギュアだ。


落ちていく。


あらゆる方向に向きながら。


!!


うわっ!。


何だ。


地上に花が咲いて行く。


巨大な花!?。


気味の悪い...。


幾つもの半透明の。


油紙で作ったような箱。


巨大な紙袋。


!!


雄の口だ!。


ギガサニーの雄達の口。


炭化し損なった出来損ない供の。


大口を開けて待っている。


短時間で進化させた口。


一斉に開けて。


雛鳥のように一斉に。


気持ち悪さしかない。


落ちてくる人間を一網打尽に。


この光景を何と表現したら良いのか...。


まるで踊り食い。


うっ。


吐き気が...。



...ゴゴゴゴゴゴ...


...ドドドドドドドドドドドドドドドド...


タカムラの部隊がクリスタルドームに近づく。


...バスッ...


...バス...バスッ...


『...うわ!。何だこりゃ。...』


...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーン...


先頭の飛馬艇が爆発した。


『...奴が何かを発射したぞ!。...』


...バスッ...


...バス...バスッ...


...バスッ...


...バス...バスッ...


『...うをわぉ!。...』


...ビュウゥゥーーーーーーーーーーーーーーッ...


『...ひぃぃっ!。...』


...ビシュウゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーッ...


『...棘です。棘が飛んでます!。...』


...ガスゥッ...


またタカムラ隊の飛馬艇に掠った。


まるで巨大な弾丸。


...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...


『...親衛隊!。全軍!。下がれ!。下がれ!。後退!。後退!。...』


親衛隊が一気に後退して行く。


タカムラの指示で。


部下は大切にするらしい。


臆病なほどだ。


上空。


ビルの切れ間を。


何かが...。


航空機材が飛んでいる。


...キィィーーーーーーーーーーーーーーーーィイィィーーーーーーーーーーーーーーーーーー... ...キィィーーーーーーーーーーーーーーーーィイィィーーーーーーーーーーーーーーーーーー... ...キィィーーーーーーーーーーーーーーーーィイィィーーーーーーーーーーーーーーーーーー...


救助に来た!。


アトラ軍の特別救助隊。


エルバーン(大型航空救助船)が5隻。


数百mの半径で旋回している。


近づけないでいる。


マナの牽制で。


な、何とかしなくては。


親衛隊!。


何とかしろ!。


!?


何だ?。汗


今度は何だ!?。


...ウイィーーーーーーーーーーーーーーーー...


黒いスピーダー(飛行バイク)が向かって来る。


猛スピードで。


ギガサニーの熱線を縫って。


黒いスピーダー。


乗っているのは?。


乗っているのは....。


!?


グレーのブレザーを着た男?。


華奢だ。


巧みにスピーダーを操っている。


ショットバズーカを構えている。


...バッスウゥッ...


バズーカを放った。


...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...


マナの複眼で炸裂する。


弱点を知っている。


だがその火力では無理だ。


挑発している。


マナに迫って行く。


!?


手を振っている。汗


何の合図だ?。


後方の何かに...。


『...何だ...?...あれ...。...』


レビンが茫然としている。


訳が分からない。


こんな危険な場所に民間人の子供が...。


辺りは刺激臭が充満している。


特殊な油の匂い。


この臭.....。


!?


化石燃料だ!。汗


...ゴォオオオオオオオオオオオオオオオ...


...バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ...


けたたましいエンジン音が轟く。


工事用の古いメガタンカー(航空輸送船)。


化石燃料と反重力板で空を飛ぶ旧式のメガタンカー。


けたたましい騒音。


聴覚の鋭いギガサニーには耐えられない。


『...そういう手があったか...。』


リン!。


何をとぼけた事を!?。


メガタンカーが旋回をしている。


クリスタルドームに入るために。



このパイロットも生身の民間人?。


防護スーツも着ていない。


やはりグレーのブレザーを着てる。


『...こいつらどこの特殊部隊だ?。...』


「レビン!。違います!。民間人です!。」


『...何?。民間人?。...』


パイロットが何か叫んでいる...。


「...護頼む!。おじさ...達っ!。早...!。」


若者だ!。


金髪。


『...おぉ民間人だぞ。...』


「た、タンカーを擁護する!。上空部隊!。」


... ラジャ!...良し出番だぜ!...おお!... よし!...任せろ!... 行くぞ!...okだ!...承知!...助けに行くぞ!...了解!...行くぜ..なんて奴だ。笑...任せろ!...待ってろ!...了解! ...民間人だぜ?...


少年が合図を送る。


コックピットから身を乗り出して。


兵曹達が防護シールドを一斉に展開する。


タンカーとマナの間に割って入る。


擁護し始めた。


閃光がビルの壁面を溶かす。


...ズドーーーーーーーーーーーーーーーーン...


兵曹達が飛来する棘を打ち返す。


次々と。


マナ目掛けて。


命がけだ。

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